普通預金と比べて金利面でのメリットがある定期預金ですが、普通預金よりも本当にお得なのでしょうか?定期預金の場合、期間的な縛りが出てくるため、少し利用をためらってしまう部分もありますし、気になるところではありますよね。
定期預金は金融商品としてどうなのか、定期預金を利用するメリットと、デメリットの両方を知って、自分に合った金融商品選びに役立てましょう。客観的に見た場合の、定期預金のことをお話しします。
定期預金での貯金のメリットは?
普通預金と比べて、定期預金の方がお得そうだからと、定期預金に興味を持っている人も少なくないかと思います。それでは、定期預金を利用するメリットは本当に金利面だけなのでしょうか。普通預金と比較したときの定期預金のメリット、投資信託などほかの金融商品と比較したときの定期預金のメリットを洗い出してみましょう。
■ 金利が高い
定期預金の魅力といったら何か、やはり普通預金と比べたときに金利が優遇されていることでしょう。金融機関によって金利の設定は変わってきますが、普通預金の金利と比べたときに5~10倍、もしくはそれ以上の金利で設定されているところもあります。
金利が高いということはその分、利息を多めにもらえるということ。普通預金口座にお金を預けているよりも、お金が増えるということです。同じ貯金なら、少しでも多く利息が付いた方がうれしいですよね。定期預金なら普通預金よりも高い金利で、そんな貯金の幸せを味わえます。
ちなみに、定期預金は基本的に期間が長いほど金利が高くなる傾向にあるので、当分使わないことが決まっているお金なら1年など長めで運用した方がお得です。
■ 金利優遇キャンペーンがある
定期預金は、期間限定などで金利優遇キャンペーンが設けられている商品も多いです。それは、定期預金の契約が金融機関側にとってもメリットになるため。定期預金で一定期間引き出されないとわかっていれば、金融機関本来の業務である融資の計画が立てやすくなります。定期預金の金利優遇キャンペーンがよく実施されているのは、利用者を呼び込み、定期預金で金融資源の確保を図るためなのです。
ちなみに、金利優遇キャンペーンは6カ月や1年など、そこまで長期でない期間で設定されることが多くなります。理由は、短期だと景気の影響を大きく受けないためです。しかし、金融機関側としてある程度は定期預金でお金を預けてほしいので、程よい6カ月や1年でキャンペーンが実施されることが多くなります。
■ 元本保証がある
預けたお金を元手にもっとお金を増やしたいと思うなら、投資信託や外貨預金という選択肢もあります。こうした金融商品は、思うように値が動けば普通預金や定期預金よりも利益を得ることができますが、その分リスクがあります。
それは元本が減ってしまうリスクです。はじめに預け入れた分よりも、値動きや決済のタイミングによってお金が減ってしまう可能性があります。
一方、定期預金は元本保証のある元本が減らない金融商品です。2000年代からは日本銀行の金融緩和や景気の影響もあって低金利が続いていますが、リターンが少なくても預けた額を下回ることは定期預金ではありません。確実にお金を貯めることができます。
■ 短期間でも預けられる
定期預金というと、どうしてもある程度の期間預け入れて引き出せないというイメージがあるかもしれませんね。確かに3年、5年など長期の定期預金もありますが、割と短期で利用できる商品も多いです。
金融機関によっては、2週間、3週間など週単位で契約できる定期預金もあります。週単位であれば、気軽な気持ちで利用できるのではないでしょうか。
週単位でなくても、定期預金はだいたい1カ月から契約できる金融機関が多いので、まあまあの短期間で預け入れできます。6カ月後、1年後、もしかしたらお金が必要になるかもしれないと不安な場合は、短期間の定期預金を活用してみても良いですね。短期間なら、中途解約の心配も減ります。
定期預金での貯金のデメリットは?
ここまで定期預金を利用するメリットについて紹介してきました。金利面だけでなく、元本保証があること、短期でも契約できるメリットはうれしいですね。しかし、手放しに喜んでばかりはいられません。お得そうに見える定期預金にもデメリットはあります。どういった場合、定期預金のデメリットの影響を受けてしまうのかも合わせて、定期預金のデメリットをお話しします。
■ 中途解約できない
定期預金は、期間を決めて金融機関にお金を預け入れる金融商品です。そのため、期間の途中で解約することは基本的に想定されていません。
厳密にいうと中途解約自体はできるのですが、中途解約すると定期預金の魅力である金利の恩恵を得られなくなってしまいます。中途解約したからといって元本が減るわけではありませんが、契約時の金利が適用されなくなり、もっと低い金利で計算されるためです。
中途解約には、こうした金利面でのペナルティがあるため、定期預金は中途解約できないものと思って利用した方が良いでしょう。
■ 普通預金のほうがお得な場合もある
定期預金は金利が高めに設定されている、金利優遇のキャンペーンが多いなど、定期預金のメリットを紹介してきましたが、必ずしも定期預金の方がお得になるとは限りません。金融機関によっては、顧客を集めるために普通預金金利を優遇しているケース、キャンペーンを実施しているケースもあるためです。結果的に、普通預金の方がお得になることもあります。
たとえば、先に紹介したように定期預金は中途解約によるペナルティがあると紹介しました。ペナルティが発生すると、利息がほぼ普通預金の利息と同じくらいにまで下がってしまいます。普通預金が金利のキャンペーンをしているタイミングだと、普通預金の方がお得になることも十分考えられます。
定期預金の注意点
ここまで定期預金のメリットとデメリットを紹介してきました。定期預金に関しての見方も少しは変わってきたのではないでしょうか。もちろん、定期預金はお得な金融商品ではありますが、中途解約のリスク、普通預金との金利比較なども合わせて検討していく必要があります。
しかし、それだけでは十分とはいえません。定期預金を契約した後に「こんなはずでは…」と後悔しないためにも、定期預金の契約で注意したい復興特別所得税、ペイオフについて知りましょう。
■ 復興特別所得税とは
普段あまり意識しないかもしれませんが、普通預金や定期預金で利息を受け取る際、税金が引かれています。原則は、国税15%、地方税5%の計20%が差し引かれて利息として口座に入ってくるのですが、実は2013年1月1日より税金の計算に変化がありました。
「復興特別所得税」が創設されたためです。復興特別所得税とは、2011年の東日本大震災を受けて、復興の財源確保のために設けられたもの。2037年12月31日までの期間限定の適用にはなりますが、原則である所得の20%からさらに税金が差し引かれるようになりました。
復興特別所得税の割合は、所得に対して0.315%。国税や地方税と比べると割合的にはだいぶ抑えられていますが、預け入れる金額が大きいと地味に復興特別所得税が響くことがあります。利息が思ったよりも少ないと感じたときは、復興特別所得税分が引かれている可能性があるでしょう。ちなみに利息少ないと、復興特別所得税分は1円に満たないため計算に入ってきません。
■ ペイオフとは
2000年代に入って、大きな波も来ていないことから、私たちは金融機関に対して、倒産することはないと妙な安心感を抱いてはいないでしょうか?しかし、定期預金を利用する金融機関が破綻しない可能性は0ではありません。仮に金融機関が破綻すると、預け入れた分が戻ってこない恐れがあります。
そうなると、大きな社会問題になるため、客から預かった分をできるだけ未払いにしないために、各金融機関は預金保険に加入しています。預金保険とは、金融機関が客から預かった額に対して、預金保険機構などが一定額を補償するという制度。
ペイオフは、そんな預金保険の支払い方式のひとつで、破綻した金融機関に代わって、預金保険機構が契約者に直接補償するものになります。
ここで注意したいのが、ペイオフには補償される額に限りがあるということ。補償されるのは、破綻した金融機関の1預金者につき1,000万円までの元本のみです。定期預金に限った話ではありませんが、1,000万円以上を定期預金で利用するとき、ペイオフによって全額補償されないことがあります。
まとめ
定期預金は金利面や元本保証などの面でメリットのある金融商品です。ただし、中途解約によるリスクもあります。普通預金と比べたときどちらがお得かは、どのようなお金を預け入れるのかによって変わってくるでしょう。定期預金は、一定期間使わないと分かっているお金で運用した方がお得です。ただし、定期預金契約の際は、復興特別所得税、ペイオフなどの注意点もあるので、内容を把握したうえで利用するようにしましょう。