「今年こそはお金を貯めよう」と決意はするものの、貯金できるどころかお金を使い切ってしまうという方は、貯金の目的が漠然と「将来のため」というように曖昧になっていないでしょうか。

また、食費の節約を始めても、リバウンドでその後散財するというパターンを繰り返している場合は、固定費という大きな出費の節約部分を見逃していることもあります。

何をしても貯まらないという方には、残ったお金を貯めるよりも自動引き落としによる先取り貯蓄が向いています。貯まる体質になるための節約や生活、目的の設定の仕方、先取り貯蓄の方法などを紹介しますので参考にしてください。

1.貯金の目的を考える

公的年金の不安定さから老後に不安を覚え、20代から老後のためにお金を貯めてばかりいると、自己投資の妨げになりかねません。そして、老後のためにという目的はまっとうに見えるかもしれませんが、実はSMARTの法則に当てはめるとあまり現実的な目標とは言えません。

若いときに自己投資をして将来職を失うことがないようにするためには、まず実現可能な小さなゴールから始める必要があります。大きなゴールを達成するためにも、小さなゴールから始められるよう目標を設定しましょう。

小さなゴールでOK

目標を立てるとき、「SMARTの法則」を利用して実現可能な小さなゴールを設定すると、計画だけで終わるという状態から抜け出すことができます。

S (Specific)は具体的であること、M (Measurable)は計測ができることです。A (Achievable)は達成可能であること、R (Result-oriented)は成果に基づき現実的であることを指します。そしてT (Time-bound)は期限が明確で短期間で達成できるようにすることです。

あいまいに「貯金する」ではなく、「毎月○○〇円を定期預金に預ける」というように、具体的かつ短期間でも達成できるゴールを設定すれば、後はそれを実行するだけです。ゴールがぼんやりとしているとピントが合わず距離感が掴めなくなります。貯金のペースを掴むためにも、まずは小さなゴールから始めましょう。

貯金の癖がついたら大きなゴールを設定する

大きなゴールは小さなゴールを積み重ねた先に見えてきます。小さなゴールが達成できるようになってきたら、大きなゴールを設定しましょう。「5年後に〇○○万円の車を買う」というような目標です。

小さなゴールができている人ならば、大きなゴールがあってもやるべきことを実行できる体質になっているので、十分実現可能です。

大きなゴールを設定すると、そのためにはどうしたらいいのかを繰り返し考えることになります。目標に向けて今年はいくら貯めなければいけないのか、毎月にするとどのくらい貯蓄しなければいけないのかを落とし込むようにしましょう。

目標に向けて「新たに貯蓄口座を開く」といった小さなステップにも気付けるようになります。

2.固定費から削減する

食費や交際費は少し我慢するとすぐに減らせるかもしれませんが、そのひとつひとつの額は小さく、本人の決死の努力がなければ続けることは難しいです。本人の努力を必要としなくても続けられるのが、毎月支払っている固定費の削減です。

毎月一定額払っている金額を減らすということは、出費を継続的に少なくすることにつながるので、意識しなくとも節約することができます。特に住居関係である家賃やローンは額が大きい部分であり、最初に減らせないかどうか検討してみましょう。保険料や通信費も無駄な部分がついていないかだけでも確認してみてください。

家賃

現在支払っている家賃と手取りの収入額を見比べてみてください。家賃は手取の30%以内に収まっているでしょうか。できれば家賃は手取額の20%以内に収め、残りの10%は貯蓄に回すようにしたいところです。

もしも家賃の相当額を超えているのであれば、引越しも視野に入れましょう。しかし、引越しは大きな出費です。家賃だけではなく、その初期費用も頭に入れなければいけません。引っ越すことで発生するコストが家賃の支払い減少額に見合うようにしましょう。

敷金や礼金が無料のところを選ぶなど、初期費用をなるべく抑えられれば家計への影響を防げます。家賃を下げるための引越しであれば引越し時期はある程度自由がきくので、一番安い日に引越しできるようにするのも手です。

保険料

保険料も毎月一定額を支払うものなので固定費になります。貯蓄が全くないにもかかわらず保険にたくさん入っている方は見直しをかけてみてください。また、今加入している保険の内容を把握できていない場合も1度内容を見返す必要があります。

保険に加入したときと今の状況は必ずしも同じとはいえないので、保険内容が適切ではない可能性があるからです。必要のない補償については契約する必要はないですし、収入の範囲内で継続して支払える金額にすることが大切です。

保険料は多くても毎月の手取り額の2割以内に収めるようにします。それ以上かけている場合はリスクや不安をかけない程度に減らしましょう。いくら貯蓄性のある保険だといっても、収入の実態以上の保険に入ると家計を圧迫してしまいます。

通信費

通信費用がかかるものには固定電話にインターネット、携帯電話などがありますが、そのなかでも気にしておきたいのが携帯電話の料金です。特に契約してから1、2年経つころには見直しは必須となります。無料で利用していた初期設定のオプションがいつの間にか有料化し、よけいな料金を支払っている可能性があるからです。

携帯電話の料金は複雑であることが多いので、新たに契約するときはよく内容を確認しておきましょう。すでに契約している人も、内容を見て無駄なプランが入っていないかどうか確かめてみてください。

最近は利用明細を郵送するケースが減り、WEB上で見ることが多くなりました。そのため明細を確認する頻度は減少傾向にあるので、定期的に見直して料金プランを明確にしておくことが無駄な通信費をなくすことにつながります。毎月意識して見るようにしましょう。

格安スマホ

スマホの料金自体が通信費の大きな割合を占めているということであれば、格安スマホの利用を検討してみてください。格安スマホは大手通信会社からネットワークを借りて運用しています。その分インフラコストを抑えられ、さらに店舗を持たないことにより利用料金を安くしています。格安SIMを使うだけで毎月のスマホ料金を今よりも安くすることが可能です。

ローン

日本銀行がマイナス金利を導入すると住宅ローンの金利は下がりますので、ローンのある人は見直しをかけてみてください。

見直しでは個々に相談をして、実際に借り換えで金利が下がるかどうかを検討する必要があります。ローンがいつ組まれたものなのか、どのような返済方法かによって金利に差が出てくるからです。

借り換えをするときは最初に手数料などの経費がかかります。それも合わせて検討しなければ本当に借り換えでお得になるとはいえません。目安としては金利差1%が基準になりますが、金利の差だけではなく残高や返済期間も視野に入れなければならないので、相談先にまとめて算出してもらいましょう。

借り換えをしなくても、金利を割り引いてもらえる場合もあります。借り換えよりも簡単に、しかもコストをかけずに返済額を抑えられるので、まずは今の金利を割り引いてもらえないかどうか掛け合ってみてください。

3.貯金専用口座に先取り貯蓄

生活をギリギリまで我慢して、残ったお金を貯金しようと考えていませんか?お金はあるだけ使う体質の人がこの方式をとると逆効果になりがちです。ダイエットで言うとリバウンド状態に見舞われてしまうので、残ったお金ではなく先取りで貯蓄する方法に変えてみましょう。

会社勤めの人は財形貯蓄制度や社内預金制度がないか確認してみてください。会社に制度がなくても金融機関の定期預金自動積み立ても先取り貯蓄として使えます。

住民税や所得税の支払いが多い人は個人型確定拠出年金(iDeCo)で税金対策ができますし、貯金を殖やしてみたいという人は積立投信という手があります。

定期預金自動積み立て

定期預金自動積み立ては、あらかじめ設定しておいた日に毎月一定額を積み立てることができます。お金が貯まったらまとめて預ける形ではないので、貯金が苦手な人でも貯められる方法です。給与の振込日を引き落とし日にしておけば、天引きで貯めるのと同じようにお金を貯めることができます。

定期預金自動積み立ての魅力は、個人の選択の幅が広いことにあります。余裕のある月は追加で入金したり、ボーナスのときには額を多めに設定したりするなど、臨機応変な対応が可能です。また、預金残高が指定しておいた額よりも超過した場合、その超過分を自動的に積み立てられるような方法も提供されています。

積立期間や目標日を設定することもできれば、全く決めずに継続させるという選択もでき、一定期間が経過すれば一部を払い戻せるなど、個人の事情に合わせて設定しやすいです。大きな目標に向けて積み立てたお金が使用できるように、期間や金額を定めてみることがポイントです。

財形貯蓄制度・社内預金

会社勤めをされている方であれば、財形貯蓄制度や社内預金制度がないかどうか調べてみてください。どちらも給与から天引きしてお金を預けることになるので、これらの制度を利用すると貯金への近道になります。

社内預金制度の場合は会社にお金を預けますが、財形貯蓄制度は提携している金融機関に預けることになります。社内預金制度は定期預金平均利率よりも必ず上に設定、さらに最下限利率は0.5%として利率の変更も0.5%ずつ行うように厚生労働省が定めています。(2018年5月現在)

ただし、社内預金制度は銀行と違い会社が破綻したときに保証がありません。安全措置として金融機関と結んでいる保証契約がどのような内容になっているのか確認しておきましょう。

財形貯蓄制度には預金保護(ペイオフ)が適用されますが、金利に関しては定期預金よりは高いものの社内預金よりも低いです。一般財形と住宅財形、年金財形のうち住宅と年金は550万円を上限に利息が非課税となり、そのまま受け取ることができます。

いずれの財形にしても、住宅を購入するときに残高が50万円以上ある場合はその10倍の金額を借りられるという「財形住宅融資」が利用可能になります。この制度の融資最高額は4,000万円までであり、住宅購入費用の80%を上限に借りられるので将来借入先の確保に困りません。

投信積立

今の時代、預金よりも株のほうが利益を得られるとわかっていても、仕事が忙しいし手続きも面倒、よくわからないし預金よりもリスクがあり不安だという人は投信積立が向いています。投信積立は最初に設定しておけば毎回注文しなくても毎月自動的に積み立てられるという方法です。

毎月少額からでも積み立てることができるので、まとまったお金を用意する必要もありません。もちろん、株であることには変わりないので元本割れのリスクはありますが、毎月一定額を投資することにより株価の値動きリスクも避けることができます。

株価が「上がった、下がった」を気にせず投資を続けられるので、株に詳しくない方でも始められる方法です。

投信積立はデイトレードと違い、長く続けることによりリスクを下げるという方法です。そのため運用期間もあとどれぐらいなのか見ておくのもポイントになります。また、国内株式と外国株式、国債など複数に分けて投資することでリスク分散することも大切です。

そして手数料をなるべく抑えるためにも、ファンドを選ぶときは買い付け手数料や管理費用、換金手数料も見て決めるようにしましょう。

個人型確定拠出年金(iDeCo)

個人型確定拠出年金(iDeCo)には所得税や住民税が減税されるというメリットが存在します。しかも掛金の全額が所得控除の対象です。毎月かかる税だけではなく、運用によって得られる配当金や売却により得た利益もすべて非課税になります。

年金で受け取る際も公的年金の控除が適用となり、一時金で受け取る場合でも退職所得控除の適用が受けられます。年金なので60歳にならないと引き出すことはできませんが、このように税金面での優遇措置が高いため、iDeCoは早く始めれば始めるほどメリットが得られます。

60歳まで解約できないということは、その間貯めたお金に手を出さずに済むということです。すぐにお金を使ってしまうという人も、iDeCoなら預金を崩すということなく貯められます。

iDeCoで提供されている商品は販売手数料がかからないなど、よけいなコストをかけずに済む商品が揃っています。手数料などの負担をよく検討しなくても少ないコストで投資が始められるので、得をしながらお金を長期的に貯めたい人はiDeCoを始めましょう。

4.コンビニのついで買いをなくす

コンビニに行くと、必要がなくてもつい買ってしまうということはありませんか。コンビニには消費を促す仕組みがあるので、客側にその気がなくても買いたくなってしまいます。

コンビニでいつもついで買いをしてしまうという方は、買うものを決めてからお店に入る、意味もなく行かないといった点を意識するようにしましょう。どうすればついで買いをなくせるのか、そのポイントをお伝えするので自分なりの対策を立ててみてください。

目的外の物を買わない

コンビニに立ち寄る前に何を買うのか決めておくことで、それ以外のものを買わないという意識を持つことができます。お買い得のものや限定商品があっても、目的以外のものには手を出さないようにしましょう。レジ前の小物も要注意です。ひとつあたりの単価が安いモノや値引きしたモノ、セットで買うと安くなるモノが置かれていますが、ついで買いの原因となります。

コンビニは価格が高く設定されているものが多いので、普段から通販やスーパーをチェックし相場観を身に着けることも大切です。そのときにどうしても必要なものでない場合、コンビニの高い値段でわざわざ買う必要はありません。

仕事で時間がなく、しかも近くにコンビニしかないという方は予算立てをすると余計なものをあまり買わずに済みます。今まで気軽に購入していた飲み物を家から持参したり、週末に安いお店で購入したりしてストックしておくなど、予算にあった買い物の仕方にかわるからです。

「コンビニに寄らない」という選択肢も

ついで買いの衝動に抗えないという方は、最初からコンビニに近づかないようにしましょう。暇な時間ができるたびに行っているような状態だと、コンビニのついで買い戦略にはまることになります。

コンビニには陳列だけでもついで買いをさせる工夫が施されています。つまり、お店の中のものを物色するだけで、つい買いたくなってしまうということです。

コンビニがなぜこんな戦略を取っているかというと、ついで買いによりお店全体の売り上げがアップするからです。1個当たりの金額は小さくても、たくさんの人についで買いをしてもらうと相当な額になります。

確かにいつでも開いているコンビニは便利であり、支払いやコピーなど細かな用事を同時に済ませることができるのでこの便利さは大いに利用したいところです。

その便利な点だけを利用する賢い消費者になるためにも、用事がないとき以外は立ち寄らないようにしましょう。

5.身の回りを整理整頓する

自分の持ち物を把握することにより無駄な買い物を減らすという方法があります。同じものを2つも3つも持っていないかどうか、身の回りを1度整理整頓してみましょう。持ち物を把握できるようになると買い物上手に変身し、本当に必要のないものは購入しないようになります。

いつも何か足りない気がしてお店に寄る度に買ってしまう人は特に、押入やタンスに眠っているものがないかどうか確かめてみてください。もう十分足りているかもしれません。

無駄遣いしてしまう人は部屋も無駄だらけ?

部屋はその人のお財布事情も表すことになります。どこに何があるのか把握できない状態であれば要注意です。冷蔵庫やタンス、押入の中のものが把握できていない場合も無駄遣いのもとになります。

まずはしまい込んでいるものも把握できるよう、その中身をすべて出してみましょう。服であれば着ていないものは捨て、着るものだけを残すようにします。

再び収納するときは把握できる量を自分でわかりやすいように納めていきます。すると次に同じようなものを購入するとき、家にもあったことに気付くことにより無駄遣いを減らせます。

持っているものが把握できていると、家にあるものを使うか新たなものを購入して使うかの判断もしやすいです。買ったはいいけれども使わずに捨てるという事態を避けられます。

6.買い物をするときに心がけること

買い物をするとき、本当にほしいかどうか考えることはあっても、それが自分にとって最低限必要なものかどうかまで考えたことはあるでしょうか。

無駄遣いを防いで貯まる体質になるためにも、その支出が自分にとって何に該当するか考えることは大切です。支出は「消費・浪費・投資」の3つの基準で分けることができます。自分が無駄遣いしていないかどうか、まずは3つの基準で仕分けをして支出の割合を理想の状態にもっていけるようにしましょう。

浪費に該当するもの

必要のないものを無駄に買ってしまった場合は浪費に該当します。浪費は家計において5%以内にとどめるのが理想であり、1番少なくするべき支出項目です。買ったはいいけれども1度も使わずに捨ててしまったものがいい例になります。

必要もないのに服や美容にお金をかけ過ぎていたら、それは消費や投資ではなく浪費に値します。モノだけではありません。もしも仕事上という名目で何の成果にもつながらない飲み会を繰り返している場合、人付き合いのためであっても浪費に該当します。

価値観の違いは人それぞれですが、その価値観は周囲に流されて形成されたものかもしれません。自分の本当の価値観を築き、自身を貯める体質に変えるためにも、今1度その支出が無駄になっていないかどうか考え直してみましょう。

消費に該当するもの

日々の生活を送るうえで最低限必要なものがこの消費に該当します。理想的な消費支出の割合は70%です。例えば食費は必要な消費ですが、外食ではなく自炊にすることで健康も手に入れられ、医療費の節減にもつながります。ただし、やり過ぎて疲れてしまい続かないと意味がないので、無理なく続けられる範囲にしましょう。

朝と晩だけ自炊で頑張り、仕事に出ているお昼のみ外食にするなど、できるところから始めてみてください。朝晩しっかりと食事を摂ることにより、外食や間食の量が減り、余計な出費である浪費を減らすことにもつながります。消費の基準は自分次第となりますので、自分にとって何が必要最低限必要なのか振り返ってみましょう。

投資に該当するもの

勧められるがままセミナーを受けたり習い事をしたりしていませんか。こうした自己投資は全くの無駄にはなりませんが、結果につながるものでなければただの自己満足に過ぎない浪費になってしまいます。

もちろん、それでストレスがなくなり仕事を頑張れるということであれば、必要なものになるかもしれません。しかし、身につきもしない習い事を複数かけもちしたり、自分に必要のないセミナーまで受けたりするのは投資になりません。

セミナーは本当にいいと思うものだけ、習い事も身に付くものをひとつに絞るなどにしましょう。本当にそれは仕事につながるのか、人生を豊かにできるものかどうかなど、よく考えてみてください。

人脈作りの交際費も投資になっている方もいれば、ムダになっている方もいます。投資の支出割合が理想の25%に近づくよう、見直しをかけてみましょう。

まとめ

貯まる体質になるための、すべての方法を一度にはじめることは難しいです。まずはできるところから行動してみましょう。財形貯蓄制度やiDeCo、積立投信であれば、節約が続かない人でも1度始めれば後は気にしなくてもいいので続けやすいです。

家のローンの借り換えや資産形成の相談は無料で行われているので、始め方がわからず踏み出せていない人は相談してみてください。お金が全然貯まらず将来がいつも不安という状態から抜け出せます。