財形制度をご存知でしょうか。財形制度は、会社が社員のために行う福利厚生の1つです。実は、財形制度を利用することで、会社にも社員にも大きなメリットがあります。ひとくちに財形制度といってもいろいろな種類があり、自社に合うものに加入することが肝心です。ここでは、財形制度とは何か、どのようなメリットがあるのかをご紹介します。

1.財形制度って、どんな制度?

財形制度とは、正式名を「勤労者財産形成促進制度」といい、勤労者財産形成促進法に基づき従業員の財産形成と生活安定の促進を国と会社が一緒になって援助する制度です。

財形制度を導入すると、会社は、社内に預金や融資の制度(に準ずる制度)を確立することができるので、優秀な人材を確保しやすいというメリットがあります。また、社員にとっても、自分のライフスタイルに合わせた貯蓄を無理なく行うことができるので、人生設計がしやすくなるメリットがあります。

2.財形制度の目的と対象者

財形制度とは、会社が率先してさまざまな目的に対して、従業員の貯蓄を推奨する制度です。

日本の財形制度には大きく分けて、「財形貯蓄制度」と「財形持家融資制度」、「財形給付金制度・財形基金制度」の3つがあります。それぞれで制度に加入する目的が異なります。そこで、財形制度の内容を理解し、自社に合ったものに加入する必要があります。

従業員の貯蓄のための財形貯蓄制度

財形制度でもっとも一般的なものが、財形貯蓄制度です。具体的には従業員に支払う賃金の一部を「財形貯蓄」として積立をし、従業員の家計を安定させる制度です。

この財形貯蓄制度には使い道が自由な「一般財形貯蓄」のほか、住宅資金のための積立貯蓄である「財形住宅貯蓄」や、公的年金とは別に老後資金を積み立てる「財形年金貯蓄」があります。

会社が従業員の毎月の給料から、財形貯蓄分を天引きし、金融機関等の専用口座に振り込みます。従業員は無理なく貯蓄をすることができます。

安心の住宅ローンである財形持家融資制度

財形持家融資制度とは、財形貯蓄を行っている労働者が利用できる住宅ローンのことです。

また、住宅の購入(中古住宅も含む)だけでなく、住宅の建設やリフォームにも使うことができます。

また、財形貯蓄取扱金融機関等から会社を通じて、財形貯蓄の残高に応じた融資額を受けることが可能です。この制度のメリットは、一般的な他の住宅ローンに比べて、長期で低金利であるということです。会社としても、大きな資金的負担をすることなく、社内融資制度を構築することができるメリットがあります。

福利厚生になる各財形制度

このほかにも、従業員にとって福利厚生になる、財形給付金制度や財形基金制度があります。これらの財形制度は、従業員だけでなく会社も掛金を拠出し、一定期間が経過した後に、従業員が受けとることができる制度です。この2つの制度は、事業主にとっても、掛金が会社の経費になるというメリットが存在します。

財形制度を検討している事業主は、まず金融機関に相談し、制度の導入を検討するようにしましょう。働き方の多様化が推奨されている昨今だからこそ、財形制度は従業員の労働環境にプラスとなる制度といえます。