海外に住む家族に仕送りをする、海外の業者から直接商品を購入するなどの場面で、海外送金を利用することになります。海外送金には手数料がかかりますが、どれくらいかご存じでしょうか。国内の銀行間で行う送金と比べると手数料がとても高いので、しっかりチェックしておく必要があります。

いざ海外送金をしようとしたとき、「本当にこのやり方で良いのかな?」と悩んでしまうこともあるでしょう。海外送金で失敗しないために、海外送金の仕組みや流れ、手数料について知っておくことが大切です。

銀行の海外送金の仕組みは?

まず、海外送金はどこに依頼すればいいのでしょうか。送金を取り扱えるのは、銀行はもちろんのこと、内閣総理大臣の登録を受けた資金移動業者のみになります。最近では資金移動業者が増え、どこに海外送金を依頼するか選択肢が広がっています。海外送金をお得に行うためにも、まずは仕組みを理解しておきましょう。

■ 銀行で海外送金ができる

資金移動業者を利用しての海外送金は、銀行よりも手数料が安く、着金スピードが速いという傾向があります。勝手が分かっている人や、インターネット上の取引に抵抗がない人は検討してみる価値があります。送金先の銀行や通貨、送金額などによって手数料は変わってくるので一概には言えませんが、手数料の水準を比較すると、資金移動業者がもっとも安く、ネット銀行、銀行の順に手数料が高くなっていきます。

しかし資金移動業者による送金は、1回あたり100万円以下までと法律で定められているので、限度額を超すお金を送金したいときには、手間も手数料も増えてしまうことになります。結果的に、トータルでは銀行で海外送金する方がお得になる可能性もあります。また、「これまで利用したことのない業者でお金のやり取りは不安」「海外送金についてまったく分からない……どうしよう」と、悩んでしまう人もいるかもしれませんね。そのような場合は、銀行からの海外送金をおすすめします。銀行という安心感に加え、店舗型であれば海外送金についてひとつひとつ説明を受けながら手続きができるので、不安も解消できるでしょう。

■ 海外送金の流れ

海外に送金するためには、基本的に口座が必要になります(不要なところも一部あり)。海外送金に利用したい銀行や資金移動業者に口座がない場合には、口座開設をすることから始めましょう。

海外送金の流れは、まずは送金人が銀行や資金移動業者で海外送金の手続きをします。海外送金依頼書の提出をするか、インターネット上で依頼の操作をし、送金したい金額と手数料を支払います。海外送金にかかる手数料の中に中継銀行手数料や受取銀行手数料がありますが、これらは受取銀行に着金してみないと正確な金額は分かりません。状況によっては、あとから追加で請求される場合もあるということを覚えておきましょう。

海外送金で送られるお金は、送金銀行・中継銀行・受取銀行と、いくつかの銀行を経由して、数時間~1週間ほどで受取銀行の口座に届きます。着金スピードは利用する銀行や資金移動業者、送金先の国や地域などによって差があります。急ぎの送金の場合は、どれくらいで着金するか、直接問い合わせて詳細を確認することをおすすめします。

■ 日本では個人間送金は禁止されている

近年、個人間送金サービスが世界中で急速に普及してきています。個人間送金とは、個人から個人に送金できるサービスで、低コストで簡単に送金ができる便利なサービスです。個人間送金サービスを利用して、海外送金をすることも可能です。

しかし、日本では「資金決済法」という法律により、資金移動業者での送金は1回あたり100万円以下、本人確認が必須などの制約があります。このため、資金移動業者の提供する個人間送金サービスはあまり利便性が高いとは言えず、なかなか普及が進んでいない現状です。

たとえば、海外送金に対応しているインターネット決済サービスの中には、日本で開設したアカウントでは個人間の送金ができないものもあります。商品購入代金の支払いには対応しているので、海外通販の決済には利用できますが、仕送りはできないということになります。

日本で個人間送金サービスをするには資金移動業者にとってハードルが高く、提供している業者はまだまだ少ないです。個人間で海外送金ができるようになれば、海外送金がより簡単に、よりお得に行える可能性が高いですが、法律が変わらない限り実現は難しいかもしれません。

海外送金にかかる手数料

海外送金には必ず手数料がかかります。手数料は銀行や資金移動業者によって異なるので、手数料が安いところを選ぶとお得です。ここでは、どんな手数料が必要になるのか確認しておきましょう。

■ 手数料の種類

海外送金にかかる手数料は主に4つあります。

1.送金手数料:送金側の銀行に支払う手数料

送金手数料は銀行ごとに設定されていて、送金額の大小にかかわらず一律になっていることが多いです。

2.為替手数料:円から外貨、外貨から円へ両替する際の手数料

円から外貨へ両替するときには、仲値(基準のレート)に為替手数料をプラスした「TTS」というレートが、外貨から円に両替するときは、仲値から為替手数料をマイナスした「TTB」というレートが適用されます。

円から円、外貨から外貨(同一通貨)で海外送金する場合、為替手数料の代わりにリフティングチャージ料という手数料がかかることがあるので、必ず確認しておきましょう。

3.中継銀行手数料:中継銀行に支払う手数料

銀行によってどの中継銀行を経由するか、いくつ中継銀行を経由するかは異なります。

経由する銀行が多くなるほど中継銀行手数料の負担が大きくなり、着金までの期間が長くなる可能性もあります。

4.受取手数料:受取側の銀行に支払う手数料

送金人が必ず支払うことになる手数料は、送金手数料と為替手数料です。中継手数料と受取手数料は、基本的には受取人負担で送金額から引かれることになりますが、銀行によっては送金人負担を選択できることもあります。

海外送金の手数料を節約するには?

送金額以外にも必ずかかってしまう手数料。仕送りなどで何度も海外に送金が必要な人は、結構な額の手数料を支払わなければなりません。少しでも負担を軽くできるよう、手数料を安くする方法を知っておきましょう。

■ 為替レートをチェックする

為替手数料は公表される為替レートに含まれていて、通貨はこの為替レートをもとに両替されます。同じ金額を送る場合でも、その日の為替レートによって相手が受け取る金額が変わってきます。たとえばアメリカに2,000ドル相当を送金したいとき、為替レートによって日本円の送金額にどれくらい差がでるのか比較してみましょう。

【為替レート:1ドル=110円】2,000×110=220,000円

【為替レート:1ドル=112円】2,000×112=224,000円 4,000円の差

このように、円安になるほど送金人が円で支払う金額は増えてしまうのです。送金額が多くなれば、為替の差はもっと大きな影響を与えます。日々のレートをチェックして、少しでも円高のタイミングで送金するのがポイントです。

送金手数料が安い銀行を選ぶのも手数料を節約できる方法ですが、日々の為替レートにも注目することで、さらに安く海外送金をしましょう。

■ 外貨預金口座を活用する

外貨預金口座を使うと、手数料を安く抑えられることがあります。外貨預金の為替手数料と海外送金の為替手数料を別々に設定している銀行では、海外送金より外貨預金の方が為替手数料を安く設定されていることが多いようです。

また、外貨から外貨(同一通貨)の送金にリフティングチャージ料がかからない銀行が多いです。これは、外貨預金をする際に、すでに為替手数料を含んだレート(TTSレート)で両替されているからです。

中には、外貨から外貨の送金でもリフティングチャージ料がかかる銀行もあるので、リフティングチャージ料がかからず、外貨預金の為替手数料が安い銀行を選ぶと2重でお得になります。

■ 中継銀行を挟まずに送金できる銀行を利用する

だれでも、少しでも手数料を抑えたいもの。「なんで銀行を経由するの?直接受取銀行に送れないの?」と疑問に思いますよね。実は海外送金をするには、銀行同士が外国為替取引を行うための提携(コルレス契約)を結び、お互い口座を開設しておかなくてはなりません。しかし、ひとつの銀行が世界中のすべての銀行と提携を結ぶのは現実的に不可能なので、契約を結んでいる銀行を間に挟んで間接的に送金を行うのです。銀行によっては、いくつも銀行を中継しなければいけないこともあります。

逆に、提携銀行同士であれば、直接送金できるので中継手数料は不要になるということ。大手の銀行であれば提携を結んでいる銀行が多い可能性があり、中継銀行を挟まずに、もしくは少ない中継銀行数で海外送金を行えるかもしれません。

コルレス契約を結んでいる銀行については、インターネットではほとんど公表されていないので、銀行の窓口で確認してみるとよいでしょう。

まとめ

海外送金の仕組みや手数料について大まかにでも理解できましたでしょうか。手数料が高額になりがちな海外送金は、いかにコストダウンできるかがポイントになります。お得に、そして安心して海外送金するためにも、銀行や資金移動業者の比較をしっかり行ってくださいね。