会社員としてお勤めの皆さんの多くは、給料から差し引かれている項目のなかに、所得税や住民税などとともに、国民年金もあるのではないでしょうか。しかし、その一方で、日本における公的年金制度がどういう仕組みなのかをきちんと説明できる人は少ないでしょう。そこで今回は、公的年金の仕組みについて解説します。

日本の年金制度ってどういう仕組み?

年金制度は、国民の老後の生活を保障するためのものです。具体的に言えば、2018年現在、日本では65歳以上の方が老後の生活費の補てんに備えて国民年金を、会社員の場合は上乗せとして厚生年金を、さらにご自身で用意している方は民間の年金を受け取ることができます。つまり、ライフスタイルやワークスタイルにより、受け取ることができる年金制度は異なるため、その点を押さえておく必要があるということです。

では、それぞれの年金制度は、どのような仕組みなのでしょうか。

よく聞く日本の公的年金は3階建てってなに?

ライフスタイルによって受け取れる保険金が変わる年金制度。実際に自分では、どんな年金を受け取ることができるのかご存じでしょうか。検索してみると「日本の公的年金制度は3階建ての建物のような仕組み」という言葉を目にすると思います。

しかし、そうは言われても年金制度の知識がない方にとっては、どういう仕組みなのか分からないかもしれません。今回は、階層別に例えられるそれぞれの年金制度がどのようなものなのか紹介します。

1階部分は全国民共通の国民年金

まず、国民年金。こちらは日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入するものです。国民年金に加入することにより、65歳以上となったとき、または障害状態になったとき、死亡したときに基礎年金を受け取ることができます。国民年金は、フリーター、会社員、会社員の配偶者など職業問わずに加入する年金制度です。すなわち、老後の年金制度の基礎となる部分です。そのため1階部分と表現されています。

2階部分は厚生年金と共済年金

1階部分と表現される国民年金に対し、2階部分と表現されるのは厚生年金と共済年金です。厚生年金は、厚生年金保険の制度がある会社に勤務している人が加入できる制度です。一方の共済年金は、公務員や公立・私立学校の職員が対象の制度です。どちらも給料の支給時に天引きされ、保険料を納めることになります。また、厚生年金と共済年金に入る人は第2号被保険者にあたり、これらの年金に加えて国民年金にも自動加入する仕組みです。一方の第1号被保険者は、国民年金にのみ入ることができる自営業やフリーターの方のことを指します。つまり、第1号被保険者の方から見ると、厚生年金や共済年金は上乗せとなる年金です。そのため、建物の2階部分と言われるのです。

3階部分は独自の上乗せ

実は、公的年金制度は2階部分までとなります。では、「年金が3階建ての建物」と表現されるのはなぜなのでしょう。それは、1階と2階部分の年金制度では、老後の年金は賄いきれないからです。具体的には、現在30歳の会社員の場合、65歳以上となったときにもらえる額は月に20万円に満たないと言われています。

もしも一軒家を持っていたり、子どものための教育資金がまだ必要だったりした場合、これではとても足りないでしょう。そのため、自分で会社の年金制度や個人年金などで備える必要があるのです。また、自営業の方も国民年金基金などで備えることをおすすめします。

ぜひ、具体的にいくらもらえるのか計算して、自分で必要な額を自分自身で備える準備をしてみましょう。