夢のマイホームを購入するために住宅ローンを組む方は多いです。ここ約10年間は金利水準が比較的低く、住宅ローン控除も受けられることから、ローンが組みやすい状況といえます。
住宅ローンを組む際に検討する項目は、総借入額、借入期間、借入金利などがありますが、月々の返済額をいくらに設定するか、ということも重要です。
住宅ローンの返済額はどのくらいがよいのか、月々の返済額を決めるポイントについて解説します。
住宅ローンの返済額はどれくらいが妥当?
住宅ローンを借りる際は金融機関のローン審査を受け、承認が下りた金額を借ります。
金融機関は、申込者の収入や勤務先、その他の借入状況などから総合的に判断して審査結果を出しますが、この審査結果のとおりに借り入れすると月々の返済額が多すぎてしまうこともあります。
住宅ローンの月々返済額はどの程度が妥当なのでしょうか。
住宅ローンのひとつ、フラット35を提供している住宅支援機構が発表した「フラット35利用者調査(2017年度)」の結果を参考に考察します。
■平均額は?
上記の調査によると、世帯年収平均は598万円、年収に対する返済比率(総返済負担率)は、平均は21.2%、全体の70%程度が25%未満という結果でした。
この数値から算出すると、平均の月々返済額の平均額は「約12.6万円」という結果になりました。実際にはボーナス返済により月々返済額を少なくしている方もいるため、9〜12万円程度が目安になるでしょう。
■家賃と同じ額をイメージするのはNG
月々の返済額を決める際に、現在支払っている家賃と同額にする方もいますが、これは危険です。
家賃は契約によって決められており、変動することはまずありません。もし不都合があれば、別の物件に引っ越すこともできます。
対して、住宅ローンを最近人気の変動金利で組む場合、金利変動によって月々の返済額も変わります。また、収入が減少したり無収入になったりしても、返済し続けなければいけません。
このため、月々の返済額は余裕のある金額にするのがおすすめです。
月々の返済額を決めるポイント
次に、月々の返済額を決めるポイントについて解説します。
月々の返済をきちんと継続することは、住宅ローンを完済する上で重要です。返済額を無理に大きくすると、最悪の場合、返済を滞納し、せっかくのマイホームを手放すことになるかもしれません。
30歳以上の方は、定年までに完済できるよう、返済期間を調整して検討しましょう。
下記を参考に月々の返済額の目処を立てたら、総借入額を計算し、希望の物件が無理なく購入できるか確認します。もし総借入額が多すぎる場合は、自己資金を増やすか、金額の低い物件に変更して対応しましょう。
■生活の支出やライフステージも考慮に
まず、月々返済額を計算する際には、ローン審査で申告した額面年収ではなく、実際の手取り年収・月収を元に算出します。より現実的な金額に設定するためです。
次に、毎月確実に支出する生活費に加え、臨時的に支出するライフイベントの金額の概算を出します。第一子・第二子の出産費用や、子どもの学費などは目処が立ちやすいと思います。
また、持ち家にすると、固定資産税や都市計画税などの税金や、火災保険や地震保険、マンションは管理費などの諸費用もかかるようになりますので、これも加味して計算します。
そして、毎月の生活費と臨時費用、持ち家ならではの諸費用を加味した上で、ローンの返済に回せる金額を算出しましょう。
■ボーナス払いや繰り上げ返済も検討する
月々の返済額は、手取り収入の20%程度が目安ではありますが、自分の家庭に適した金額を算出し、決して無理な金額を設定しないことが大切です。
もし月々の返済額が理想よりも高くなってしまう場合は、ボーナス払いを設定し、ボーナス時にまとまった金額を支払いましょう。
逆に、月々の返済額に余裕がある方は、返済期間を短縮するか、毎月の返済額が一定になる代わりに金利が多くなる「元利金等返済」ではなく、初期の返済金額が多くなる分金利が減る「元金均等返済」を選択するのもおすすめです。
また、予想よりも余裕を持って返済できる時期には、繰り上げ返済をします。
ローンは借りる期間が長いほど金利がかさんでしまいます。
予定よりも前倒しで返済することを意識して、早期完済を目指しましょう。
まとめ
住宅ローンの月々の返済額は、自分の家庭の支出状況や、持ち家ならではの諸費用、今後のライフイベントを加味した上で、余裕ある金額に設定するのがおすすめです。
もし月々の返済額が理想より高くなる場合は、ボーナス返済も併用しましょう。
一方で、月々返済額に余裕がある場合は、返済期間の短縮や、元金均等返済の利用も検討できます。
そして、余裕を持って返済できる時期には繰り上げ返済を行ない、早期に完済することを目指すと良いでしょう。