普通預金、定期預金というと、普通日本円での預金のことを指します。実際に日本円で預金を利用している人は多いでしょう。しかし、銀行などの金融機関では、日本円以外でも預金ができることをご存じでしょうか。外貨預金といって、金融機関では広く扱われている金融商品です。
そんな外貨預金の魅力は、円預金と比べたときの利息です。利息は円預金より高いといわれていますが、実際のところどうなのでしょうか。外貨預金の活用のしかたも合わせてご紹介します。
外貨預金とは?
銀行など、金融機関での金融商品の選択肢は、日本円の普通預金や定期預金ばかりではありません。外貨を持つ、外貨預金という方法もあります。金融商品によって対象は変わりますが、新たに外国で口座を作らなくても、外貨を預金として持つことが可能です。それでは外貨預金は具体的にどのような金融商品なのか、普通の預金とどう違うのかをお話していきます。
■外貨預金とは?
外貨預金は、日本円ではなく、外国の通貨を銀行に預け入れることです。わざわざ換金した外国通貨を外貨預金の専用口座に入れるのではなく、基本的には日本円の普通預金の一部を契約によって外貨に換えて持つことになります。
金融機関によって選択できる外貨はさまざまで、有名なのが米ドル、豪ドル、NZドル、ユーロ、英ポンドです。スイスフラン、香港ドル、トルコリラなど、マイナーな外貨を扱っている金融機関もあります。
外貨預金の大きな特徴は、購入した外貨の金利が適用されること。日本円は世界でもかなり低金利な部類に入るため、海外の金利はどれも魅力的にみえます。日本のバブル期のように、金利1%を超えてくる外貨も少なくありません。
■外貨預金の仕組み
「預金」という言葉がついていることからわかるように、外貨預金も、預け入れた額に対して利息がつくという仕組みは普通預金と変わりません。円預金と異なるのは、購入の際に日本円を外貨へ、売却の際に外貨を日本円へという通貨の交換が行われること。
FXなど通貨の取引をしたことがある場合はわかるかもしれませんが、日本円も外国の通貨も価値は一定ではありません。取引が行なわれる平日の間は毎日、24時間通貨の価値は変動しています。
通貨の価値が変動するということは、日本円から外貨に交換あるいは、外貨から日本円に交換する際にずれが生じるということ。これを為替差益(損)といい、交換時に購入時の価格に対して利益や損失が生まれることがあります。
■外貨預金の種類
外貨預金の種類は大きく、外貨普通預金、外貨定期預金の2つにわけられます。基本的にはどちらも、日本円の普通預金、定期預金の考え方と同じです。
まず、いつでも引き出しが可能な、流動性の高い外貨普通預金は、必要なときに必要なだけ、自由に取引できる点が魅力です。外貨預金の特徴でもある為替差益を見極めながら引き出すこともできるでしょう。ただし、日本の普通預金と同じように、自由度が高い分、金利は抑えられています。
次に、一定期間外貨で預金する外貨定期預金。普通預金よりも金利が高めに設定されている金融商品です。外貨預金のキャンペーンで表示される金利は、外貨定期預金のものがベースになっていることがあります。預け入れの期間が決められた商品のため、為替の状態がどうであっても取引が実行される点には注意したいです。
外貨預金のメリット・デメリット
ここまで、外貨預金の特徴や種類についてお話ししてきました。外貨預金のだいたいの内容はわかってきたかと思います。日本より金利が高く設定されている外貨もあることから、実際に利用してみたいと感じた方もいるかもしれませんね。それでは、外貨預金は本当に利用すべき金融商品なのでしょうか。
外貨預金のメリットとデメリットを知って、外貨預金がどのような性質を持っているのか確認してみましょう。
■外貨預金のメリット
外貨預金の大きなメリットは、日本円で預金するよりも高い金利がつく可能性があることです。日本はバブルを過ぎてから低金利が続いており、定期預金でも0.01%の低い金利で設定されていることも珍しくありません。利息によるリターンはまず見込めないでしょう。一方、外貨預金は金利1%を超えるような通貨もあります。日本で預けるより、金利による利息を得られる可能性があります。
さらに、購入したときよりも外貨預金を売却したときの方が以下の価値が高い場合、為替差益といって利益を受け取ることが可能です。このように、外貨預金は、うまくいけば2重に利益を得られる機会があります。
そしてもう1つ知っておきたいメリットが、資産を分散できること。日本でも将来、インフレによって物価が上がり、普通預金や定期預金で持っている資産が目減りしてしまうかもしれません。そうしたときに、日本円とは違う動きをする外貨を持っていると、日本の景気の影響を受けないため資産の目減りを抑えることができます。
■外貨預金のデメリット
外貨預金のメリットの部分で、為替差益が出る可能性を紹介しましたが、反対に購入したときよりも外貨の価値が下がると、為替差損が発生します。日本円の預金のような元本保証はないので、場合によっては元本を下回ることもあるでしょう。
そしてもうひとつ知っておきたいデメリットが、預金保護の対象にならないことです。たとえば銀行が破綻した場合、利用者の損失を抑えるためにペイオフといって、預金保険機構が銀行に代わって預金額の一部を補償します。ペイオフによる預金の補償は1,000万円までが対象となりますが、あくまでも日本円の預金に対しての補償です。外貨預金に対しては補償がありません。
つまり、外貨預金と日本円の預金合わせて1,000万円でも、外貨預金を差し引いた分しかペイオフでは戻ってこないということです。
外貨預金の注意点
外貨預金のデメリットの部分で、為替差損が発生する可能性があること、ペイオフ対象にならないことなどをお話ししました。ほかにも、外貨預金を利用するなら、為替手数料が発生することも注意しておきたいです。商品内容次第では、せっかくの外貨預金の利益も、手数料によって一気に減ってしまう可能性があります。このように、メリットばかりでなく、デメリットや注意したいポイントも多い外貨預金はどのように運用するべきなのでしょうか。
■外貨のリスクを考慮し円預金とバランスよく
外貨預金を活用するうえで注意したいのが、外貨預金にばかりに資産を振りすぎないということです。確かに、日本円と比べて高い金利が魅力ではありますが、為替手数料に為替差損などが発生すると、資産がマイナスになる可能性もあります。
これがもし外貨預金に9割振っていたとしたらどうでしょう。90万円を外貨預金に入れて、0.5%の損をすると4,500円のマイナスです。この4,500円を日本の定期預金にすると、1年預け入れた場合、いったいいくら預金すればよいのでしょうか。金利0.01%なら4,500万円預け入れなければなりません。
外貨預金は金利が高いことが魅力でもありますが、日本円の普通預金や定期預金のような元本保証がありません。外貨預金ばかりに注目するのではなく、円預金も活用して、バランスよく資産を持つようにしましょう。
まとめ
日本円の普通預金や定期預金と比べて、金利が高い通貨もあることから注目される外貨定期預金。金利が高いメリットはあるものの、為替差損や為替手数料などで、せっかくの金利も水の泡になってしまうことがあります。外貨定期預金を効果的に取り入れたいと思ったら、外貨定期預金だけに絞らないことが大切。元本保証のある日本円の定期預金も織り交ぜて、バランスよく資産を持つようにしましょう。外貨預金に興味があるものの、相談しながらじっくり決めていきたい場合は、金融機関の窓口で相談されることをおすすめします。