メディアでも資産運用法のひとつとして取り上げられることが多くなった、「個人型確定拠出年金イデコ(iDeCo)」。自分の老後の資産や財テクのひとつとして興味を持ち利用する人が増えているようです。

確定拠出年金は国や企業が強制的に加入させる制度ではなく、個人で加入する私的年金です。個人型確定拠出年金イデコ(iDeCo)とはどんなものなのか、その仕組みや資産運用におすすめだという3つの理由から、加入方法にいたるまで解説していきます。

個人型確定拠出年金(iDeCo)とは

確定拠出年金は企業などから強制されて加入するものではなく、自分の意志で加入するもので、申し込みや掛金の拠出、運用方法を選ぶことができる私的年金制度です。

現役として働いている間に掛金を納め、納付した資金を資産運用した結果にともない受給金額が変動します。確定拠出年金法により、税制の優遇措置があり国民年金・厚生年金などと組み合わせて老後の資産形成方法として利用する人が増えています。

個人型確定拠出年金の仕組み

個人型確定拠出年金(iDeCo)は自分で掛金を拠出し、掛金も自分で設定することができます。保険商品や投資信託、定期預金といった運用商品を自分で選択して運用していきます。これは、国や企業が加入を強制するものとは違い、受けとることのできる金額が個々によって異なる年金です。

自分に合わせた掛金を設定し、加入タイミングがそれぞれ違うため、掛金の合計や運用期間が違ってくることに理由があります。取扱商品は元本を確保するタイプのものもありますが、投資信託などは元本を下回ってしまうこともあります。

個人型確定拠出年金の対象者と拠出限度額

個人型確定拠出年金イデコ(iDeCo)は個人で加入することができますが、加入対象となる人の条件には基本的に国民年金の第1~3号の被保険者という条件が付きます。

第1号被保険者の加入対象者は、日本国内在住で20歳以上60未満である、学生、フリーランス、自営業者、また基礎障害年金の受給者などです。しかし、第1号被保険者に該当していても、農業年金に加入していたり、国民年金の免除を受けていたりする人は加入することができません。拠出限度額は国民基礎年金か国民年金付加保険領との合算枠になり、月額6.8万円(年間81.6万円)となります。

第2号被保険者の場合は60歳未満でサラリーマンや公務員といった厚生年金の被保険者が対象となり、基本的に勤めている会社が企業型確定拠出年金に加入しているのであれば加入することができませんが、個人型の確定拠出年金の加入を認めていれば入ることも可能です。

会社で企業年金に加入していないケースだと、月額2.3万円(年額で27.6万円)、また企業型確定拠出年金に加入しているのなら、月額2万円(年額で24万円)、企業型確定拠出年金と確定給付年金に加入している、確定給付年金のみに加入している、あるいは公務員のような特定の職種の場合は、月額1.2万円(年額で14.4万円)が上限です。

第3号被保険者の場合は、20歳以上60歳未満で厚生年金に加入している人の扶養に入っている配偶者が加入対象となり、月額2.3万円(年額で27.6万円)まで拠出することが可能です。

拠出金額は最低5,000円からで1,000円単位で個人の自由な金額を設定が可能で年1回金額の変更をすることができ、2018年1月からは加入者が決めた年1回以上の任意月にまとめて年単位を拠出することが可能になっています。

個人型確定拠出年金がおすすめの理由3つ

個人型確定拠出年金イデコ(iDeCo)が老後の資産形成におすすめだという理由は、税制上のメリットが大きいからです。拠出金の控除や非課税で投資が可能、満期になって受け取りするときにも控除されます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1.掛金は全額所得控除になる

例えば、毎月の掛け金を1万円に設定して個人型確定拠出年金イデコ(iDeCo)を運用するとします。 この場合は、拠出金額が全額税金の軽減対象となるので、所得税・住民税をそれぞれ10%として計算すると、1年間で約2.4万円の減税を行うことができます。

所得控除の手続きに関しては掛金の払込方法・加入者区分によって変わっていくので確認しておく必要があるでしょう。

2.運用益を非課税で再投資できる

一般的に定期預金や投資信託などの金融商品で資産を運用していくと、運用して発生した利益に対して源泉分離課税で20.315%課税されてしまいます。個人型確定拠出年金イデコ(iDeCo)の場合は、源泉分離課税が非課税になり、運用で発生した利益分を再投資することが可能です。

3.受け取りの際も控除される

個人型確定拠出年金イデコ(iDeCo)では、年金として分割にする、一時金として一括で受け取る、分割と一括を併用して受けとるという3つの受け取り方の中から、好きな方法を選ぶことができます。

受け取り期限は60歳~70歳までの間と決まっていますが、自分が必要とするタイミングで受け取ることが可能です。また、年金として受け取った場合には「公的年金等控除」の対象となり、一時金として受け取った場合には「退職所得控除」の対象になります。

個人型確定拠出年金に加入するには

個人型確定拠出年金イデコ(iDeCo)は個人で加入する年金のため、手続きは自分でしなければなりません。ここでは個人型確定拠出年金イデコ(iDeCo)の加入方法を見ていきます。

銀行、証券会社、保険会社で加入できる

自分が個人型確定拠出年金イデコ(iDeCo)の加入対象者で、拠出する金額も決まった場合どの商品にするか、リスクや資産運用の知識などなどについて知る必要があり、2018年5月現在約160の銀行や証券・保険会社といった金融機関で取り扱いを行っています。

銀行や証券・保険会社によって取り扱っている運用商品や手数料などが異なるので、複数の金融機関を比較したうえで自分にあった金融機関を選びましょう。興味のある金融機関であれば、資料請求や窓口、コールセンターなどに問い合わせることで、より具体的な商品内容などを知ることができます。

加入手続きに関しては金融機関からもらった個人型確定拠出年金イデコ(iDeCo)の加入届書に必要事項を記入・捺印して、必要書類と一緒に提出するだけです。このとき加入者が厚生年金の被保険者だった場合は、申し込み時に勤務先の事業主に記入してもらった証明書を提出する必要があります。

個人型確定拠出年金の運用対象

個人型確定拠出年金イデコ(iDeCo)では拠出元本を保証している預貯金型の商品や国内・海外債券、株式といった投資信託型の商品があります。基本的に運用商品はいつでも変更が可能ですが、それぞれの特徴やメリットをしっかりと理解したうえで商品を選ぶことが大切です。

それぞれどのような運用メリットがあるのか見ていきましょう。

元本確保型商品(預貯金)

一般の銀行や保険会社の商品のような定期預金のことを言い、決められた利率で利息が上乗せされていきます。

元本保証といっても銀行の預貯金と同じで1000万円までしか保証されません。仮に同じ銀行で通常の貯金が1000万以上ある場合には、個人型確定拠出年金イデコ(iDeCo)の拠出金額は保証対象外となります。

投資信託

一般の証券会社の取扱商品と同じく、国内外の債券・株式といった商品を運用していく方式です。加入者から集めたお金を資金にし、運用の専門家が株や債券に投資して運用した結果、成績に応じて利益を分配する仕組みになっています。

資金の投資に関しては個人が指示することはできず、定められた運営方針に従って専門家が行いますが、市場や経済状況などによって成績が 変動するため、損失が出ることもある点は注意が必要です。

投資信託の運用方法に関しては、日経株価のような市場平均とほぼ同じ動きを行います。手数料を低く抑えることのできる商品がほとんどの「パッシブ型」と、市場価格を超える利益を目指す「アクティブ型」の2つがあります。

投資信託の取扱商品ごとに見ていくと、国内債券型は国や政府の機関、株式会社の発行する債券に対して投資する方式です。投資信託消費の中では一番リスクが低く利益も低いという特徴があります。

それに対し外国債券型は債券の発行者が日本以外の国の債券を対象にした投資です。満期日や利率が最初から設定されているため、リスクが低く国内債券よりも利回りが高いです。

国内・海外の株式はどちらも企業の株を購入して企業に投資するので、企業の業績や景気の影響をうけます。国内の株式の場合は上場企業など有名な企業が多く、株価に関してのニュースが新聞やインターネトなどで情報をとつかみやすいという特徴がありますが、海外株式の場合だと、日本ではあまりなじみのない企業が多いです。

海外の株式は世界的に有名な企業や今後発展していくと期待される新興国や、その国の企業も投資対象にすることができるというメリットがあります。

国内債券・外国債券・国内株式・外国株式の順に、リスクと収益が大きくなるという特徴があるのを踏まえた上で商品を選びましょう。

まとめ

個人型確定拠出年金イデコ(iDeCo)について解説してきました。税制上の優遇がかなり大きく、拠出金額の上限はあるものの、自分で毎月の掛金を設定することができ、自分の好きな商品を選ぶことができるというのはとても魅力的ではないでしょうか。

60歳まで解約をすることはできませんが、途中で商品の変更や設定金額を変更することも可能なので、老後の資産運用を考えている人にはよい商品と言えます。

いきなり窓口に行くと長時間待たされることが多いですが、あらかじめ予約していくことでスムーズに相談することができます。一度詳しく話を聞いてみたいという方は予約をしてから相談しに行くことをおすすめします。