将来や老後の生活を考えて、より安心できるように投資を検討する方は多くいます。投資というとリスクがともなうイメージがあり、興味はあってもなかなか踏み出せないという方は少なくありません。

そこで今回は、初心者でも始めやすいとされる積立投資についてご紹介します。積立投資には種類があるので、それぞれの特徴やメリット、成功させるコツについても詳しく解説しています。積立投資をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。

積立投資が初心者におすすめの理由

投資の種類はさまざまありますが、中でも積立投資は初心者におすすめの方法です。投資というと難しく、大きな金額をかけないといけないのではと考える方も多くいますが、積立投資は少額から始めることができます。

さらに自動的に投資ができるという特徴があるので、初めての方でも気軽に始めることができるのです。それでは、その理由について詳しくみていきましょう。

少額から始められる

積立投資は、月に3,000円など少額から始めることができます。そのため、投資を始める方や投資をするには大きな金額が必要だと感じていた方には、嬉しい特徴なのではないでしょうか。月3,000円程度であれば少し節約するだけで算出できるので、家計の負担になることも少ないでしょう。

また、月3,000円だけではあまり大した金額にならないのではないかと感じるかもしれませんが、例えば年率3%増の投資信託あれば、30年後には利益が約66万円にもなるのです。総投資額が108万円にこの利益が加わるので、総資産額は約174万円になります。

投資に慣れてきて、途中から投資額を上げたいといった場合でも変更することができ、投資額を増やせば将来の資産も多くなるでしょう。

自動的に投資ができる

投資というと毎回注文しなければならないものもあり、手間がかかると感じる方も少なくありません。しかし、積立投資は自動的に投資を積むことができるので、余計な時間をかけることもないでしょう。

自分に合った投資信託を始めに選んでおくだけで、今月はいくら使おうかなどと悩んだり、考え込んだりする必要もありません。自動的に同じ金額が毎月引き落とされるので、忘れてしまう恐れもありません。

初めての方はもちろん、忙しくて時間がない方やあれこれ考えるのが面倒だと感じる方にも適している仕組みだといえるでしょう。引き落としの日時や金額も決まっているので、家計などのお金の管理がしやすいこともメリットにあげられます。長期的な投資をする場合は、積立投資がとても魅力的です。

ドルコスト平均法のメリット

積立投資の基本はドルコスト平均法です。ドルコスト平均法のメリットは、何といっても価格変動のリスクを抑えることができるという点でしょう。

投資は、安い値段で買い、できるだけ高い値段で売るということを目標に取引をしますが、価格変動は日々行われるので、実際のところ買いどきや売りどきというのは日にちが過ぎないとわかりません。

しかし、積立投資であれば同じ商品を毎月決まった金額で購入するので、投資のタイミングや投資信託の基準価額を気にする必要がなく、価格変動にともなうリスクを抑えることができるのです。

価格が変動しても購入金額は同じなので、安くなった場合は口数が多くなり、高くなった場合は口数が少なくなるので、購入単価が突出せず、平準化できます。

積立投資の種類別メリット一覧

積立投資と一口にいっても、株式累積投資や投信積立などさまざまな種類があります。初めて投資をする方は、それぞれの種類についてどのような特徴やメリットがあるのかを知っておくことで自分に合った商品を見つけることができます。それでは詳しくみていきましょう。

株式累積投資

株式累積投資は「るいとう」とも呼ばれ、一定の金額の株式を毎月買い続けて行く株式投資です。投資金額は、ひとつの銘柄につき1万円以上から1,000円単位で自由に決めることができます。月間で100万円未満になるようにする必要がありますが、まとまった金額が必要ないので初めての方でも手軽に始めることができるでしょう。

銘柄ひとつに投資を集中させてしまうと、価格変動が起きた際に大きく影響を受けてしまいますが、株式累積投資は複数の銘柄に分散して毎月一定の金額で投資することができるので、リスクを分散させることができます。投資のリスクをできるだけ抑えたい方におすすめといえるでしょう。

株式累積投資の場合もドルコスト平均法となり、毎月一定金額の購入を続けることによって、価格が高い場合にまとめて購入されてしまうことを防ぐことができます。これにより、株式の買付単価が平準化されるので、リスクの分散につながるでしょう。

取引の流れは、まず好きな銘柄を選び、毎月の買付金額、買付日を決めます。次に、銀行預金からの自動引き落としなどの毎月の入金方法を決め、取引開始となるので、難しい段取りは必要ありません。株式を売りたいときは自分の好きな時間で申し込むことができ、自動的に配分され、再投資となります。

投信積立

投信積立は一定金額で、株式や債券などのさまざまな金融商品を合わせた投資信託を、積み立てながら購入して行く方法です。投信積立は500円などの少額から購入することができるので、初心者の方でも無理なく始めることができるでしょう。少額の購入から始めて投資に慣れて行くことが可能です。

数百円単位の投資金額であれば、家計に響くことなく手軽に購入できます。投信積立は、始めに設定した金額が毎月預金口座などから自動的に引き落とされるので、毎回購入しなければならないといった手間がかかりません。

また、どのタイミングで購入しようかと迷う必要もないでしょう。さらに、毎月同じ金額で積み立てて購入することで平均購入単価を低く抑える効果のあるドルコスト平均法となっているので、比較的リスクを抑えることができるといえます。

株式や債券などの金融商品を組み合わせての運用となるので、投信積立を購入していくというだけで自動的に分散された投資となり、リスクが軽減されることにつながるでしょう。

あらゆる金融商品に投資をすることや、値引きの激しい商品に投資をすることはそれだけ手間もかかるので、管理がおろそかになってしまうことも多々あります。バランスが取られた投信積立であれば、このような管理の手間も省くことができるでしょう。

外貨積立預金

外貨積立預金は外貨で積み立てをしながら預金をする方法です。外貨で積み立てることで、日本円よりも高い利率で預金ができる可能性があります。また、500円などの少額から積み立てることができるので、外貨預金が初めての方でも気軽に利用することができるでしょう。

外貨積立は中長期的に行うものなので、コストを抑えることも可能です。自分で好きな買付頻度や金額に設定することができ、利用者の方それぞれのペースに合わせて利用することができるのも嬉しいポイントでしょう。

設定した買付金額や頻度で自動的に運用ができるので為替レートを気にする必要がなく、長期的にみると購入レートを平準化することにつながります。そのため一回にまとめて購入するよりも、リスクを抑えて運用することができるのです。

預け入れのタイミングを気にしなくてよいので、外貨預金に慣れていない方や忙しくて時間がない方にも適しているといえるでしょう。

取引方法は非常に簡単で、まず買い付けしたい海外通貨を選び、1回あたりの買い付け金額を決めます。次に、毎日や毎月など買い付けをしたい頻度を選び、手続きをすると後は自動的に積立が行われます。申し込んだ情報で累計買付金額を算出できるので確認することが可能です。

純金積立

純金積立は、毎月設定した金額やグラム数で純金を積み立てていく方法です。金はそれ自体が価値あるものであり、例え世界のどこかで戦争が起きたり、経済危機が生じたりした場合でも、それに影響することがない実質物産です。

紙幣や株式などは、国や企業などが価値を保証することで資産としての価値を生み出しているので、もしも何らかの経済的な影響を国が受けたりすると、その価値が下がってしまう可能性があるのです。しかし、金の場合はどのような状況になっても、価値が失われることがありません。

また、毎月1,000円などの低額から積み立てることができるので、初めての方でも始めやすく、生活の負担を心配せずに済むでしょう。1000円単位で好きな金額を設定できるので、自分の予算に応じて取引することが可能です。

金の値動きは、基本的に株式や債券などとの相関性が比較的低い傾向があるので、信用リスクを軽減する効果も期待できます。取扱い会社によっては、インターネットで申し込みや積立金額の設定なども行うことができるので、とても便利です。

まとめて数を買い付けたい場合など、必要に応じてオンラインで取引ができます。時間がなくて忙しい方に嬉しいサービスといえるでしょう。

少額投資非課税制度(NISA)

少額投資非課税制度(NISA)は2014年にスタートした個人投資家に向けた制度です。通常の場合、株式や投資信託などの金融商品に投資をすると、受けとった利益や配当に対して約20%の税金がかかります。

しかしNISAであれば、この口座内で毎年一定の範囲内の金額で購入された金融商品で利益を得た場合でも、税金がかかることがありません。この制度を設けることは個人投資家の支援にもなり、少しでも投資に興味があるひとに投資をはじめてもらうきっかけにもつながっています。

NISAの口座は一人一年一口座となっており、年間120万円のすべての新規投資の利益や配当金、分配金が非課税対象になるのです。これはNISAだけの制度であり、最大のメリットといえるでしょう。

現在では特定口座や一般口座において、株式や投資信託で利益を得た場合は、20.315%の税金がかかります。そうすると、例え大きく利益を出せたときでも税金が引かれると実際に得る資産は少なくなってしまうのです。

しかし、NISAは非課税対象になるので、利益分も全額受け取ることができ、その差はとても大きいといえます。非課税となる期間は原則5年間であり、売却をしたいときはいつでも自由に行うことができます。それ以降も続けて保有したい場合は、翌年の枠に引き継ぎをすることもでき、特定口座や通常口座への移管も可能です。

個人型確定拠出年金(iDeCo)

個人型確定拠出年金(iDeCo)は私的年金のひとつであり、基礎年金や厚生年金にさらに上乗せして受け取ることができます。60歳未満であるすべての成人が利用することができ、いつでも始めることが可能です。

積立を60歳まで行うと、それ以降に積立金を取り崩して受け取ることができ、運用成績によって受け取る金額は異なるでしょう。iDeCoの税制優遇は掛金の拠出時、運用時、受取時と全部で三段階あるので、大きなメリットといえます。

掛金はすべて所得控除されるので、所得税や住民税の減税につながります。また、少額投資非課税制度(NISA)と同様に、運用期間に発生した利益は非課税となるので、効率よく資産を増やすことができるでしょう。年金や一時金として受け取る際にも控除が受けられるので、退職で発生する税負担を軽くすることが可能です。

iDeCoに加入する場合は、60歳未満のすべての成人が加入できますが、どの番号の被保険者であるかによって拠出上限金額が変わります。特に会社員の方は、勤務先が企業型のiDeCoに加入し、マッチング拠出を導入している場合などのように、加入できないこともあるので確認することが大切です。

iDeCoは運用管理機関によって取り扱いの商品数や手数料、サービスについても異なります。そのため、どのような商品があるかホームページなどで確認しておくといいでしょう。

積立投資を成功させるコツ

それでは、積立投資を成功させるためにはどのようにすればよいのでしょうか。初めての方の場合は、実際にどう選んだらよいのかなど迷ってしまうでしょう。しかし、初心者であっても成功するコツはあるのです。

例えば、投資先を選択する際はバランス型を選び、ライフイベントに合わせて金額を調整していくなどがあります。安心して積立投資を始めるための方法を詳しく見ていきましょう。

投資先選びに迷ったら「バランス型」を選ぶ

投資先はたくさん種類があるので迷ってしまう方も多いでしょう。そういったときはバランス型を選ぶとよいです。バランス型の投資信託は、ひとつだけでなく株式と債券などのように複数の資産を分散して運用することができます。ひとつだけを集中して選ぶよりもリスクを抑えることができ、利益になる可能性も上がります。

また、海外の株式や債券も組み合わせて運用できるので、地域の分散も可能です。株式の割合が高いと、高いリターンの可能性もありますが、リスクもその分高くなります。積極的に運用をしたい場合は株式の比率が高いもの、リスクを抑えたい場合は高いリターンは期待できなくなりますが株式比率が低いものを選ぶとよいでしょう。そして、資産の分散効果が高い組み合わせかどうかも大切なポイントです。

ライフイベントによって金額を調整する

積立投資を成功させるためには、ライフイベントに合わせて金額を調整することも大切です。人生の中にはライフイベントと呼ばれる大きなターニングポイントがあります。就職や転職、結婚、子どもの進学、住宅を購入するなどがあげられ、大きな出費が必要な場面といえるでしょう。

投資をする場合は中長期的に運用していくのが基本となり、普通預金などのようにいつでも引き出せるものではありません。

想定できる大きなライフイベントは予定を立てておき、その都度金額を低くするなど調整していくと負担なく運用できるといえます。どのくらいお金が必要になるのかも事前に計算しておくと、お金の管理もしやすく、効率よく投資ができるでしょう。

短期的な価格変動に一喜一憂しない

積立投資はコツコツと長期的に行うことが基本になります。短期的な価格変動に惑わされず、一喜一憂しないことが成功のコツといえるでしょう。

一時的な価格変動により商品の買付価格が急落し、大きな損失になるかもしれないと感じてすぐに投資をやめてしまっては、そのまま損をするだけで終わってしまいます。

しかし、その後相場が回復する可能性はもちろん、先の将来に利益となって返って来ることもあり得るのです。また、買付価格が上昇し、今が売り時なのではないかと焦ってたくさん買ってしまうと、実際にはすぐに価格が下がり本当の買うタイミングを間違えてしまうということにもつながります。

このように短期的な価格変動に対しては行動せず、長期的に時間分散してリスクを抑えて利益をあげるという考え方にシフトすることが大切です。

まとめ

積立投資は少額から始められ、自動的に取引ができる投資方法です。初めての方や忙しくて時間がない方にも適しており、将来の生活や老後に備えて安心して暮らすための方法のひとつといえます。

積立投資にはさまざまな種類があり、その特徴やメリットを踏まえて、より自分に合ったものを選ぶとよいでしょう。初めての方でもうまく運用していくために、成功させるコツを参考に、ぜひ検討してみてください。