老後の生活のために資産の準備はしていますか?病気やけがなど不測の事態に備えて金融資産の準備はできているでしょうか。デフレや低金利が続く現代、ただお金を貯めるだけでは十分とはいえません。将来ゆとりのある生活を送るためには、資産運用について早くから考えておくことが大切です。

ただ、資産運用と聞くとなにやらとっつきにくそうなイメージもあるかもしれませんね。今回は、資産運用の初心者向けに資産運用の実際と、初心者にもおすすめの方法を紹介します。

資産運用とはなにか?

「給与がなかなか上がらない」「金銭面で老後が心配」など、さまざまな不安を抱えている現代人は多いと思います。そんな先が分からない不安定な現代だからこそ、注目されてきているのが資産運用です。資産運用を活用すれば、会社員の給与とは別にお金を増やすこともできます。

ただ、なんだか難しそうと感じる人もいるかもしれませんね。資産運用とはいったい何なのか、概要と資産形成との違いを簡単に解説していきます。

資産運用とは?

資産運用とは、現金や株式などの金融資産を運用、また管理することです。資産運用と聞くと少し難しいイメージを持つかもしれませんが、目的は金融資産を増やすこと。

株式投資や投資信託などの利用はもちろん、定期預金などの銀行預金も立派な資産運用です。銀行預金の場合、リターンにあたる金利はそこまで期待できませんが、株式投資などと比べて投資した金額をほとんど減らさずに利益を得ることができます。このように、資産運用には多少のリスクがついてまわるのも特徴です。

資産運用と資産形成の違い

資産運用に似た言葉で資産形成がありますが、両者はまったく別物です。どちらも金融資産を増やす意味がありますが、目的が違います。資産運用が金融資産を増やすことが目的であるのに対し、資産形成は資産運用のためのお金を作ることが目的です。

つまり、資産形成は資産運用の前段階であることが分かります。副業など収入を上げることはもちろん、支出を減らすこと、いらないものを処分して換金することなども資産形成の方法です。

資産運用が注目されている理由

ここ20、30年で労働のあり方やお金の価値が変わってきたように、経済や社会は刻々と変化しています。今後もずっと安心して生活できるとは限らないのです。そんな時代の変化に合わせて注目されるのが資産運用。なぜ個人の資産運用が大切なのでしょうか。老後の生活、インフレの可能性の2つの観点から資産運用が必要な理由と注目されるわけを考えてみましょう。

老後の資金として

資産運用が注目される理由の1つは老後の資金準備への期待があるためです。年金の受給は60歳から65歳に引き上げられ、将来的にもっと引き上げられるのではないかという不安もありますし、年金自体も今後減額が予想されます。

現代でさえ老後の生活費に対して年金受給にゆとりがあるとはいえないため、不安を抱える人が多いのも納得です。これからは、老後資金を自分でも用意していかなくてはならない時代。資産の増加が期待できる資産運用が注目されるもっともな理由です。

預金の金利が低い

もう1つ資産運用が注目される理由は、インフレ、物価上昇の可能性が今後あるためです。例えば物価上昇によって100円のものが200円になったら、お金の価値はそれだけ下がってしまいます。

実際にそこまで急激なインフレになるなる可能性は低いですが、インフレが起きても低金利状態が続けば損です。通常、物価上昇とともに金利も上がっていくはずですが、金利が上がらないため、インフレに弱い円預金や生命保険などに資産が偏っていると、資産を減らし続けることになってしまいます。

低金利政策が続く現代で、かつ今後インフレが起こる可能性があるからこそ、インフレに弱い資産だけに頼らず賢く資産運用することが求められます。

初心者におすすめの資産運用方法は?

資産運用の方法はいくつかありますが、中には初心者向けでないものもあります。無理に手を出さず、安定感のあるものから始めるのがおすすめです。初心者におすすめなのは、預金、国債・地方債、投資信託、株式投資、外貨預金の5つ。中でも預金はなじみ深い資産運用の方法ではないでしょうか。それぞれどのような特徴や注意点があるのか簡単に確認してみましょう。

預金

資産運用の中でもメジャーな方法で、多くの人が利用しているのではないでしょうか。インフレのリスクを除けば、銀行などがつぶれない限り資産は守られるため安全性の高い資産運用方法といえます。なお、銀行が倒産したとしても1,000万円までなら元本の保証が受けられます。

ただし、前述したようにインフレに弱いのが難点。低金利の現代においては、リターンもそこまで見込めません。あくまで守りの資産として考えた方がよさそうです。

国債・地方債

国や地方自治体が発行する、いわゆる借金です。満期になれば、元本の返済と利息の受け取りができます。利息は銀行預金と同じくらいかやや高めが目安です。日本国内の国債の場合、そもそも国が破綻するリスクが少ないため、ローリターンではあるものの、ローリスクで安全性が高いです。

基本的に国債はインフレに弱いですが、変動金利型の国債は満期時の状況に合わせて金利が変化するので、インフレによるリスクはそこまでありません。

投資信託

投資家から預かったお金を投資のプロが運用する金融商品です。自分で運用しないので、知識ゼロでも始めることができます。運用を任せるため、信託報酬などの手数料が発生する点に注意したいです。なお、投資信託は商品によって株式や債券などの割合が異なるため、リターンを狙うか、リスクを抑えるかなどリスクとリターンの配分を考えて選択できます。少額から始めやすいのもポイントです。

株式投資

企業が資金調達のために発行する株式を売買することで利益を得る資金運用の方法です。短期売買ではなく、長期保有の場合、配当金や株主優待のメリットもあります。リスクはありますが、日々の株価の変動を利用して大きなリターンを狙うこともできます。

企業の成長を狙ってIPO(新規公開株)に投資する方法もありますが、初心者の場合は自分の興味のある企業や業界への投資の方がおすすめです。なお、インフレとともに株価は上昇するのでインフレには強い金融資産になります。

外貨預金

日本円と米ドルなど2国間の為替差を利用して利益を得る方法です。日本よりも高い外貨預金の金利を生かして長期保有する方法もあります。ただし、外貨預金では日本円預金でかからない手数料がかかってきます。手数料を考えたうえで売買しないと損をするので注意が必要です。また、外貨預金は元本保証もありません。円預金とはまったく性質の違うものであることを理解しておきましょう。

まとめ

老後の不安やインフレのリスクを考えると、資産運用は必要な時代となってきました。先行きが不透明だからこそ、資産運用について真剣に考えることが大切です。資産運用は難しいものではなく、初心者でも始めやすいものはいくつもあります。預金だけでなく、運用バランスが決まっている投資信託や国債・社債なども管理・運用しやすいです。

将来に備えて、資産運用で予防線を張っておくことが大切。リスク軽減のために、できれば1つの資産運用に頼るのではなく、複数を組み合わせて運用するようにしましょう。まずは自分に合った金融資産を見つけるのが第一歩です。