定年退職後に夫婦で旅行、田舎への移住など、テレビ番組や雑誌では「老後の生活」についての話題が頻繁に取り上げられています。それだけ世間の関心が高いのでしょう。そこで気になるのが「老後の生活費」です。衣食住はもちろんのこと、趣味やレジャーに使えるお金も確保しておきたいところではないでしょうか。

そこで今回は、老後の生活費を準備する方法をご紹介します。将来の生活が不安、どのようにしてお金を貯めたらいいか分からないという人はぜひご覧ください。

老後の生活費はいくらほどかかっているの?

厚生労働省が発表した「平成28年度簡易生命表」によると、60歳時点での平均余命は男性で23.67歳、女性で28.91歳となっています。現代は定年となってから20年以上も生きる時代なのです。

さて、ここで老後の生活費がどのくらいかかっているのかについても見ていきましょう。総務省発表の「平成29年 家計調査」によると、60歳~69歳の二人以上世帯で毎月約29万円、70歳以上の世帯では23万4,000円という結果が出ています。

定年退職後も働いて収入を得られればいいのですが、もし働いていない場合は年金、貯蓄、退職金から生活費を支払っていく必要があるのです。

年金とは一体何?私たちは本当にもらえるの?

老後の生活費の柱となるのは年金です。年金は「公的年金」と「私的年金」の2つに分かれます。日本に居住する20歳以上60歳未満の人は必ず入らないといけない「国民年金」や会社員や公務員が入る「厚生年金」は公的年金です。

私的年金は国民年金に給付を上乗せするために加入できるものです。「国民年金基金」「確定拠出年金」が該当しますが加入は自由となっています。

ところで、年金(老齢基礎年金)は以前に比べて給付額が減ってきているという話もよく聞かれますが、実際はいくらほど給付されるのでしょうか。20歳から60歳まで国民年金に加入して、すべての月の保険料を遅延なく支払った場合ですが、2018年度時点では月額にして6万4,941円支払われるようになっています。厚生年金や国民年金基金加入者はこの金額に上乗せした額が支払われます。

また、老齢基礎年金額も2004年度は月額6万6,208円、2016年度は6万5,008円と少しずつ減少しています。景気の状況、高齢者の増加などの理由もあり、今後も増額は期待できないと考えてよいでしょう。

資産運用を始めよう「つみたてNISA」について

年金に期待できないとなると、自分で資産を作っていくしかありません。もちろん地道に預貯金を積み立てていくのもいいのですが、資産を運用することも検討してみてはいかがでしょうか。

「つみたてNISA」は長期に渡って運用をしたいと思っている人におすすめの制度です。日本に居住する20歳以上の人ならば利用することができます。投資対象は投資信託ですが、最長20年間は分配金、売却時の譲渡益が非課税になります。ただし、投資限度額が毎年40万円までとなっているため、一度に多額を運用したいという人には不向きです。

個人型確定拠出年金「iDeCo」も検討しよう

年金の受取額が減少しつつある今、国としても個人での資産形成を後押ししています。そこで、2017年から私的年金として20歳以上60歳未満の人が加入できるようになったのが「iDeCo」です。iDeCoの長所は「掛金が全額所得控除になる」「運用益も非課税」という点にあります。

また、公的年金の場合は個人が運用先を選ぶことはできません。しかし、iDeCoは運用先を自分で選ぶことができますので、「多少リスクが高くても運用益が期待できる投資」「運用益は少ないがリスクを低くする投資」の選択が可能です。

職業によって投資額制限がある、老後の資産形成を目的としているため、60歳までは売却できないという注意点もありますが、今後注目すべき資産運用法といえるでしょう。

資産形成にはリスクもあることを忘れずに

公的年金だけでは老後が心配だという人にはつみたてNISAやiDeCoでの運用は資産形成の大きな助けになるはずです。しかし、これらの運用の投資先は投資信託です。株価の動きによっては損失を出す場合があることも理解しておく必要があります。

株価は毎日値動きするものです。目先の株価にとらわれず長期的な視点で利益を得られる運用にするために、投資先を決める前にある程度、金融商品についての知識を学んでおくとよいでしょう。

メリットもですが、デメリットも把握した上でつみたてNISA・iDeCoでの運用を始めてみてはいかがでしょうか?