マイホームを購入する時に利用する住宅ローン。毎月、そしてボーナス時の返済は順調に進んではいるものの、負債を抱えているという心理的な負担を感じている人もいることでしょう。
そこで金銭面で余裕ができたら、住宅ローンの返済をなるべく早く終わらせるための「繰り上げ返済」を検討してみてはいかがでしょうか。今回は住宅ローンの繰り上げ返済とはどのようなものか、そしてメリットとデメリットについて取り上げていきます。
住宅ローンの繰り上げ返済で何ができる?
住宅ローンの繰り上げ返済ですが、返済をする前に「どの部分の負担を減らすのか」を選ばないといけません。
まず「期間短縮型」ですが、繰り上げ返済によって住宅ローン完済までの期間を短くするというものです。ただし毎月の返済額は変わりません。
また、「返済額軽減型」では繰り上げ返済で毎月の返済額を減らすことが可能です。完済までの期間は変わりません。
期間短縮型と返済額軽減型、どちらがお得かですが、支払利息の軽減という点から考えると「期間短縮型」の方がお得です。金融機関によってはウェブサイトで具体的な軽減額を計算できるところもあります。
繰り上げ返済はどうやってするの?手数料もかかる?
住宅ローンの繰り上げ返済の手続きはどのように行うのでしょうか。手続き方法は各金融機関で若干の違いがありますが、多くの金融機関が店頭・テレホンバンキング・インターネットバンキングで手続き可能です。手数料は0~数千円です。手数料無料にするにはインターネットバンキング経由で手続きを行った方が良いでしょう。
また、いくらから繰り上げ返済できるかですが、こちらも金融機関によってさまざまです。中には1円以上から受け付けているところもありますが、1万円以上からにしている金融機関がほとんどのようです。
住宅ローンを繰り上げ返済するメリットとは?
住宅ローンの繰り上げ返済をする最大のメリットですが、負債を抱えているという心理的な負担を減らせる点ではないでしょうか。「負債があるから車が買えない」「旅行にも行けない」など楽しみを諦めているならば、負債を減らすということで生活を楽しむ気持ちの余裕ができるかもしれません。
また、新たな貯蓄のスタートを早めに切れるという点も見逃せません。子どもがいる家庭では数年後の進学費用のためになるべく貯蓄を増やしておきたいと考えている方もいるでしょう。負債を減らしておくと、今後金利が高い金融商品が出た場合、すぐに貯蓄に回すことも可能です。
繰り上げ返済が不利になる場合も!注意点も要チェック!
気持ちに余裕ができ、新たな貯蓄のスタートを早めることができるなど、住宅ローンの繰り上げ返済は良いことばかりのようにも見えますが注意点もあります。
まずは「住宅ローン控除」で損をする可能性がある点です。住宅ローン控除は借り入れから10年間、残債の1%分が所得税から控除されるというものです。もし、繰り上げ返済で多くの金額を返済してしまったら、当初考えていたよりも控除額が減ってしまうかもしれません。
また、住宅ローンを契約する際は、世帯主の死亡時もしくはがんなどの重い病気になった際に返済義務が免除される「団体信用生命保険(団信)」が付けられます。完済した場合は団信の契約も終了です。もし、必要な生活資金や貯蓄を使ってまで繰り上げ返済した場合、世帯主に万が一のことが起こったら収入が途絶え、生活に困るかもしれないことを頭に入れておいてください。
本当に繰り上げ返済して大丈夫?よく考えてから行おう
繰り上げ返済をすると新たな貯蓄を早めに始めることができる、など長所もありますが、住宅ローン控除の金額減少などの短所もあります。そして繰り上げ返済を頑張りすぎると、日々の生活に余裕がなくなる恐れも出てくるのです。
繰り上げ返済をする前に、返済に使う資金は近い将来必要になるお金ではないか、子どもの教育資金準備に支障がないか、親がいる場合は、病気の治療費用や介護費用を負担することはないかまでじっくり考えてから行うようにしましょう。