「お隣さんはどれくらい貯蓄しているのだろうか……」。誰しもが気になる貯蓄の平均。日本は貯蓄大国といわれて久しいのですが、実のところ貯蓄の平均額は、家計によって大きな幅があります。

いったい、あの人の貯蓄、平均はどれくらいなのでしょうか。今回は、さまざまな切り口から貯金の平均額などを見ていきながら、貯蓄の必要性についても考えていきましょう。

1. 貯金の平均を知って自分の家計を見直そう

収入に大差がなくとも、貯金額は大きく異なるというケースはよくあります。それは家計の事情やその人の性格にもよるでしょう。

しかし、ライフイベントをひとつひとつこなしていくうえで、大きな支出は避けては通れません。他の人の貯金がいくらくらいなのかを知ることで、自分の貯金がこのままでいいのかが見えてくるでしょう。貯金の平均を知ることは、結果として家計の改善にもつながっていくでしょう。

2. 二人以上世帯の貯金の平均は623万円

家計の金融行動に関する世論調査(2017年)によると、二人以上世帯の貯金の平均は623万円。金融資産の保有額は1,151万円という統計があります。この数字を見ると、思ったより高くもあり、とはいえ貯蓄と金融資産にこれほどの異があることが気になるのではないでしょうか。

この差は、自宅の土地や建物を所有する、いわゆる「不動産資産」を所有している人が多く、現金資産が低いことを指しています。また、証券や生命保険などもこの差には含まれるため、いかに日本人が「現金」を持っていないかということが伺えます。(参照:「家計の金融行動に関する世論調査」[二人以上世帯調査](2017年)

実は金融資産の保有額の中央値は380万円

「平均値」という言葉とよく並べて用いられることが多い言葉に、「中央値」があります。この統計における注目点は、「平均値」と「中央値」は異なるという点です。

平均値は高所得者層など、金融資産を多く持っている人が数字を押し上げています。そのため、金融資産の保有額で中央値を取ると、平均値の623万円から380万円までとかなり下落します。これは、昨今の給与所得の伸び悩みや、非正規雇用者の増加などが理由といわれています。

預貯金がない世帯も31.2%ある

日本の家計でも潤沢な資産を所有している家計がある一方、預貯金がまったくないという世帯もあります。貯金をするということに対しては、個人の意思の問題もありますが、不安定な雇用状況を考えると、所得自体の格差も否めません。

二人以上の世帯で、預貯金がまったくない家計も31.2%あり、前年度よりも増加しています。預貯金がまったくないという場合は、日ごろからの生活設計の見直しなども含めて改善を考えていく必要があります。

借入金のある世帯の割合は 39.7%ある

貯金がある人・ない人がいる一方で、借入金のある家庭もいます。統計では借入金のある家計が39.7%あるとも示してします。

家庭を持つと多くの方が住宅の購入を考えるのではないでしょうか。借入金の多くは住宅ローンの残債と推測されます。ただ、一生涯、住まいを賃貸住宅で済ます家計も増えてきているため、生活資金を借りている可能性も否めません。住宅ローンの残債としても、さまざまな事情で収入が減っている家庭は、その負担感はとても大きいものとなっているでしょう。

貯金目的は、「老後の生活資金」が 69.2%

家計にとって、大きな不安要素は「現在のように定期的な収入(給与所得)が入ってこなくなったら、生活はどうなるのだろう」ということでしょう。公的年金の制度は存在しますが、年金財政の悪化により、現在の支給開始年齢が先延ばしされたり、受給額の見直しが発生したりする可能性もあります。

統計では貯金をする目的は、「老後の生活資金」が 69.2%となっていました。この数字からも多くの人が老後に不安を感じていることがわかります。そのために、貯蓄はとても大切です。

自分たちで貯めたお金を「運用」し、老後資金としていく力が今後、より生活スキルとして求められることは間違いないでしょう。現在はiDeCo(確定拠出年金)など運用性が高く、かつ非課税の方法なども注目を集めています。これら最新の制度も活用しながら貯金に取り組んでいくことをおすすめします。