近年の大手銀行の普通預金の金利は、0.001%が目安です。これは、100万円預金しても1年で10円の利息しかつかない計算です。バブル期に金利1%が珍しくなかったことを考えると、金利がかなり低下していることがわかります。

金利の高い時代は、銀行に預け入れるだけでメリットがありましたが、低金利の今、銀行預金を利用する意味はないのでしょうか。銀行で預金するメリットとデメリットについて考えてみましょう。

銀行は金利が低い?銀行預金のデメリット

バブル崩壊から数年たち、その後、銀行預金の金利が低い状態が続いています。銀行だけが資産を運用する先とはいえなくなってきました。個人向けに数々の金融商品が提供されている今、銀行で預金することにはどのような意味があるのでしょうか。やはり銀行での預金は魅力的とはいえないのでしょうか。まずは、銀行で預金することのデメリットを見ていきましょう。

■金利が低い

銀行預金が魅力的でなくなった理由のひとつが、金利の低さです。銀行は、企業や個人にお金を貸し出すために、預金という商品を通して資金を形成しています。預金をしてくれた人が少しでもメリットを感じられるように預金残高に対して利息をつけていますが、その利息も近ごろは横ばいで大手銀行の普通預金口座では0.001%という超低金利が続いています。

普通預金よりも金利が高いとされる定期預金でも、大手銀行の相場は0.01%です。0.01%の場合、1年間100万円を銀行口座に預け入れて100円の利息がつく計算なので、決して金利が魅力的だとはいえません。

■手数料が高い

銀行に預金している分には問題ないですが、預金しているお金を引き出したり、あるいはほかの口座に振り込んだりすると手数料がかかることがあります。自身の口座での入出金に関しては、ATMの利用時間内であれば無料にしている銀行も多いですが、時間外や休日は手数料が発生するのが一般的です。しかも時間外手数料は100~300円程度であるため、せっかくの預金の利息もなくなるどころかマイナスになってしまいます。

ただ、自分の口座の入出金にかかる手数料はまだ良心的です。別の口座に振り込みをする場合、特に他行への振り込みの場合は1回につき600~800円程度の手数料がかかることも少なくありません。1回の取引で大幅に手数料が引かれるは痛手です。

■インフレと定期預金の金利の関係

定期預金は元本が減ることがないので安心と考えていないでしょうか。銀行の定期預金を長期で利用する場合、インフレのリスクがあることは頭に入れておく必要があります。インフレとは物価が上昇すること、つまりものの価値が上がることです。

たとえば1万円で購入できていた電子レンジが、2万円に上がるなど、同じものでも価値が上がることを指します。このインフレによって影響を受けるのが、長期の定期預金への預け入れです。定期預金は普通預金よりも金利が高い商品ですが、インフレが起こるとものに対するお金の価値が下がってしまうため、いくら定期預金で利息がついても物価に追いつかないという状況に陥ってしまいます。しかも、定期預金は期間で縛られるため、普通預金のように容易に解約できません。気づいたら、定期預金に預けられていた分の価値が物価の上昇にともない大きく下がってしまうリスクが少なからずあります。

銀行で預金をするメリット

ここまで、銀行で預金するデメリットについて紹介してきました。デメリットを見ていくと、本当に銀行で預金する意味はあるのだろうかと感じたかと思います。それでは、あえて今、銀行で預金する意味はどこにあるのでしょうか。低金利の現代だからこそ、経済成長が伸び悩み先の見えない現代だからこそ利用したい、銀行での預金のメリット3つを紹介します。

■元本が保証されている

銀行預金のほかにも、個人が利用できる資産運用の方法は、株式、投資信託、不動産などさまざまなものがあります。リターン(収益)から見ると銀行預金よりは魅力的かもしれませんが、銀行預金以外の金融商品の多くに欠けているものがあります。それは、元本が保証されないことです。

銀行預金に関しては元本保証があるため、100万円が90万円に減るようなことはありませんが、株式などのリスクのある金融商品は元本保証がありません。100万円が120万円に増える可能性もありますが、反対に100万円が90万円に減ってしまうかもしれません。あるいは、投資先の倒産などが影響して元本が0円になってしまうかもしれません。元本が保証されることによる安心感が銀行預金にはあります。

■預金についての相談が対面でできる

インターネットを通して口座を利用したり、投資をしたり便利な世の中にはなってきましたが、金融商品についてあまり理解できないまま利用して失敗するケースも少なくありません。情報も多く何を選んでよいのかわかりにくい現代だからこそ、対面式で直接相談ができる銀行の利用はメリットがあります。

金融商品について電話で相談できる場合もありますが、微妙なニュアンスが伝わらないなど、苦労することも少なくありません。その点、対面で相談できる銀行は心強い味方となることでしょう。利息や定期預金の利用、外貨預金の利用など預金はもちろん、住宅ローンやシミュレーションなどの相談も可能です。

■預金と一緒に他の資産管理や運用ができる

銀行というとどうしても銀行預金が先行してしまいがちですが、国債や投資信託など資産管理や運用も手広く行われています。実際に運用をするのは銀行ではありませんが、販売窓口が銀行なので、商品の内容からシミュレーション、メリットやデメリットまでひととおり相談できますし、銀行を通して資産管理や運用もできます。

はじめての資産運用でどうしていいかわからない場合、銀行を仲介役としてはさむことのメリットは大きいでしょう。

まとめ

銀行で預金するメリットとデメリットについてお話ししてきました。デメリットとして金利が低いという部分はネックになるかもしれませんが、リターンは少なくても銀行預金のように元本が保証されるような金融商品はなかなかありません。しかも銀行は、対面で相談できるなど安心して金融商品を利用できるメリットもあります。金利が低いという面ばかりにとらわれず、低金利で先が見えない今だからこそ、銀行預金を活用するのもおすすめですよ。