「今の時代は低金利だ」ということを耳にしたことがある人もいるかもしれませんね。低金利ということは、金利が低く、普通預金や定期預金などの利息があまりつかないということ。一方で、借入の際の金利も低金利になるため、借金の利息を抑えられるという面があります。

この低金利という言葉は、バブルなどの景気の良かった時代と比較されることが多々ありますが、実際当時とどれくらいの差があるものなのでしょうか。また、金利は今後どうなるのでしょう。

低金利時代だからこそ考えたい、定期預金の使い方も合わせてお話しします。

定期預金の金利の利率は現在どれくらい?

資金を運用することにおいて、リターンがどのくらいあるかは重要な関心ごとの1つではないかと思います。実際に金融機関の定期預金を、普通預金よりも金利が高いということを理由に利用している人もいるはずです。

今の時代は低金利といわれることもありますが、実際にどのくらいの金利で動いているのでしょうか。定期預金の金利を参考にバブル期と今の時代の金利についてお話ししていきます。

■バブル時代に比べると低金利の時代

1980年の終わりから1990年代前半まで続いたバブルという時代。バブル期に成人されていた方なら、あの頃は良かったという思いもあるかもしれませんね。実際に、当時は景気もよく、不動産の買いも好調な時代でした。バブル期を経験したことがない方も、なんとなく今よりも余裕があった時代なのだろうなというイメージはあるかもしれません。

そんな景気の良かったバブル期は、企業の従業員への支払いも良ければ、不動産価値も高く、そして銀行の金利も高い時代でした。今では考えられませんが、金利1%が当たり前だった時代です。金融機関によっては、3%、5%と預金口座に対して高金利の設定をしていたところもあったといいます。今でこそ、金融機関の選択は幅広くなりましたが、当時はメガバンクなどの大手が中心で、地方銀行などよりも高金利で設定されている大手金融機関に顧客が集まっていました。

現在は、とても1%を超える金利を設定しているところはありません。バブル時代と比べると低金利といわれるのはこのためです。

■現在の利率はどれくらい?

バブル時代と比べて、近年は低金利が続いているとお話ししましたが、どのくらいの利率で動いているのでしょうか。

現在の金利は、金融機関によって多少の差はあるものの、普通預金よりも金利が良いといわれる定期預金でも1%には及びません。だいたい0.01%あたりが基準と考えて良いでしょう。バブル期の金利が2%だったと仮定すると、金利の差は200倍にもなります。低金利といわれるのもうなずけますね。

なお、目安は0.01%程度と紹介しましたが、あくまで大手銀行を中心に0.01%で設定されていることが多いというだけで、地方銀行などもっと広い範囲で見ていくと金利にはかなりばらつきがあることがわかります。0.01%よりも低い0.001%のところもあれば、0.2%のところもあり、さまざまです。中には、通常の利率が低くても、定期的に実施しているキャンペーンで金利の低さをカバーしている金融機関もあります。

■今の時代に定期預金をする意味は?

ここまで、金利はバブル期と比べてだいぶ落ち込んでいることをお話ししてきました。バブル期から数年経ち、2000年代に入ってからはずっと1%を割り込んだ状態です。低金利であるということはすなわち、定期預金の利息もあまりつかないということですが、今の時代に定期預金をする意味はあるのでしょうか?

まず1つ言えるのが、定期預金をする意味は利息によるリターンだけではないということです。低金利の現代でリターンを求めようとすると、株式投資や投資信託などの金融投資がメインになります。確かにこうした金融投資は魅力的ではありますが、元本が減り、損をするリスクがあります。むしろリスク前提で活用すべき金融商品です。

一方、定期預金はリターンこそ少ないものの、金融投資のように元本が減ることはありません。元本保証があるためです。住宅ローンの頭金や教育費など、確実に貯めたいお金に関して定期預金は強みがあるのです。

もちろん、定期預金のリスクが0というわけではありません。金融機関が破綻するリスク、急激なインフレによるリスクもあります。しかし、1,000万円までなら補償はありますし、消費が落ち込む現代で急激なインフレは考えにくいので、リスクは少ないといって良いでしょう。

現在の金利を確認するには?」

今の時代の金利の状況については、バブルよりも下がっていることがわかったかと思います。ただ、下がったというものの、実際に還元される場合にどれくらいの違いがあるのか少しわかりにくいですよね。ここでは定期預金利息の計算で知っておきたい金利の計算方法、注意点についてお話していきます。

■覚えておきたい金利の計算方法

ここまで、近年の金利状況についてお話ししてきましたが、0.001%、0.01%と金利を紹介しても、実際に計算してみないことには少しわかりにくいかもしれませんね。定期預金の場合、金利は預入額に対して何%の利息がつくのかという意味になります。

たとえば100万円、金利0.01%、1年定期預金に入れた場合の計算を見ていきましょう。

100万円×0.01%=100円

この場合、1年後に増える利息は100円です。実際は、所得税(国税15%、地方税5%)20%、復興特別所得税0.315%の税金が引かれるため、口座に入るのは80円になります。

同じように、半年、3カ月の場合は年単位で出した金利を日数で割って実際の利息を出してみましょう。100万円で金利0.01%の場合、半年なら約50円(税引き後46円)、3カ月なら約25円(税引き後18円)の利息がつく計算です。

ちなみに、さきほど紹介したようなバブルで金利1%であれば10,000円になります。税金を差し引いても7,969円は利益になるので、かなりの差があることがわかるでしょう。

■金利を比較する上での注意点は?

ここまで金利の計算や金利の状況について紹介してきましたが、できれば高い金利で少しでも利息を得たいと思うのは当然のことです。しかし、金利が高い=良い金融機関という図式は必ずしも成り立つわけではありません。

金利を高く設定することで、どうにかして顧客を呼び込もうと金融機関側が躍起になっているケースもあるためです。こうしたケースは、もともと金融機関が融資に回せる額が少なく、経営が危うい状況であることも少なくありません。最悪の場合、金融機関が破綻することも考えられます。

ペイオフによって、たとえ金融機関が破綻しても、破綻した金融機関が加入していた預金保険機構より、預金額の1,000万円までは補償してもらえますが、それ以上の額を預け入れていると悲惨です。

定期預金の利用などで金融機関を選択する際は、金利が高いということだけで安易に決めず、どういった金融機関なのか、安心して預け入れられるのか、しっかり判断してから利用したいですね。

今後の金利は?日本の銀行が低金利な理由

ここまで、日本の金利の状況、計算方法についてお話ししてきました。バブル時代を例に挙げましたが、金利は固定されているものではなく、そのときどきによって変化するものです。つまり、将来変動する可能性があるということ。

それでは、将来的に日本の金利はどうなっていくのでしょうか。現在の低金利の原因を踏まえて、今後の定期預金の金利について考えてみましょう。

■デフレによる低金利

デフレ(デフレーション)とは物価が下落することを指します。物価が下がるということは、企業がものやサービスの販売で得られる対価が少なくなってしまうため、従業員の給料を減らしたり、消耗品などの購入を抑えたりする方向にシフトするということ。会社に勤める従業員の給与が少なくなると、今度は消費活動が減ってしまいます。景気が悪くなるのは、このデフレも原因のひとつです。

実は、このデフレは低金利にもよく関係しています。バブル崩壊後、ゼロ金利政策などの低金利政策で金融機関の経営立て直しが行なわれてきましたが、一時的な効果はあったものの、かえって金利が上がらないという状況ができ上ってしまっています。デフレが続き、なかなか景気が回復しないというのも大きな問題です。

■定期預金はいつ高金利になるのか

デフレが続いていることが、低金利の要因のひとつになっているとお話ししました。定期預金の金利が高金利に傾くためには、デフレとは逆のインフレになる必要があります。インフレ(インフレーション)とは、物価が上昇することです。

では、ここまでデフレが続くのはなぜか?と疑問に思う人もいるかもしれませんが、政府も何もしてこなかったわけではありません。アベノミクスなど物価上昇を目標にした政策も行なわれてきました。しかし、現状インフレに動くような大きな成果はありません。

それは、国民の消費行動が消極的になっているためです。消費行動が減少しているのにはさまざまな原因がありますが、高齢社会など日本国内の生産性が低くなっていること、金融政策がふるわなかったことなどがあげられます。

いつ高金利になるのか、難しい問題ではありますが、日本国内での生産性、消費行動、金融政策などトータルで考えると、バブルの水準に戻るのはまず厳しいでしょう。

■日本では普通預金と定期預金どちらがお得?

ここまで、日本の低金利は根が深く、今後回復する兆しがまだないとお話ししました。続く低金利の中で、普通預金と定期預金はどちらがよいのでしょう?まず、お得さで比較した場合、基本的には定期預金を利用した方が良いです。理由は、普通預金の金利よりも定期預金の金利の方が高めの設定であるため。

中途解約によってメリットである利息が下がってしまう可能性がありますが、解約することなく、満期まで運用するのであれば定期預金のほうがお得です。貯金を目的にするのであれば、定期預金を利用した方が良いでしょう。

しかし、定期預金は期間が縛られる預金です。預金目的でなく、通常の利用を目的にするのであれば、中途解約のない普通預金が良いでしょう。普通預金か、定期預金かは使い分けが大切です。

まとめ

定期預金の金利2%や3%が珍しくなかったバブル期と比べると、金利はだいぶ落ち込んでいます。今後に関しても、日本の現状から考えると、バブル期ほど回復する兆しは今のところありません。それでは、金利の低い定期預金は意味がないのか?たとえ利息が少ないといっても、元本保証のある定期預金は価値のないものではありません。確実に貯金できる方法になるので、生活スタイルに合わせて活用するのが良いでしょう。