お金に困ったときには銀行からの借り入れを利用するのもひとつの手段です。個人でも銀行のローンなどを利用して借り入れることができます。お金を借りる前は「家を建てたいけど銀行の住宅ローンの審査は通るかな?」「どんなローンを使えばいいのかな?」「金利はどれくらい?」「審査は通るのかな?」というように、さまざまな不安があるかと思います。

そこで今回は、ローンの種類や審査の内容など、銀行からの借り入れに関する基礎知識をご紹介します。

個人が銀行から借り入れる方法は?

ローンと言ってもさまざまな種類があるので、目的に合ったものを選ぶことが重要です。プランによって借り入れの限度額や審査内容、金利などが大きく変わってきますので、選択を誤るとお金が借り入れできなかったり、高い金利を払わなければいけなかったりというリスクも考えられます。特に初めて銀行でお金を借り入れる方は、どんなプランを選択していいのかがわからないこともありますよね。まずは、ローンの種類や金利の相場を押さえておきましょう。

個人が借りられる銀行ローンの種類

銀行のローンには大きく分けて「目的別ローン」と「フリーローン」という2種類のローンがあります。目的別ローンは特定の目的を果たすための資金を借り入れるプランで、住宅の購入の資金を借り入れられる「住宅ローン」、自動車の購入資金や車検などの費用を借り入れられる「自動車ローン」、子どもの学費や留学費用、下宿費用などを借り入れられる「教育ローン」など、さまざまです。目的が定められているので、たとえば自動車を買うために住宅ローンを利用することはできません。

一方、フリーローンは使用用途が決まっていません。「海外旅行に行くから一時的にお金が必要」「生活費が足りなくなったから次の給料日まで借りたい」という場合でもOKです。特にフリーローンの中でも最近よく耳にするのが「カードローン」。カードが発効され、ATMでいつでもお金を借り入れることができるので、急な出費があったときには便利です。

銀行ローンの金利の相場は?

次に、それぞれのローンの金利相場について見てみましょう。相場を押さえておくことで、より適切なローンのプランを選ぶことができます。

住宅ローンは年利1%程度、自動車ローンは2~5%程度、教育ローンは1~3%程度です。一方、フリーローンは5~10%程度、カードローンは15%程度と、借り入れ額が大きい目的別ローンと比較すると金利は高くなる傾向にあります。

こうした相場を知っておくと、賢く借り入れができるようになります。たとえばマイカーの車検時に部品を交換して高額な整備費用が必要になった場合などは、フリーローンやカードローンを利用するよりも自動車ローンを利用したほうが低金利で借り入れが可能です。

銀行ローンの審査で見られる項目

次に押さえておきたいのは審査です。銀行は誰にでもお金を貸してくれるというわけではありません。貸す前に「この人はしっかりお金を返してくれそうか」「返せるあてがあるのかないのか」を見極めます。当然ながら、審査に通過しなかった場合にはお金が借り入れられないということになります。主に以下の4つの項目についての審査がありますので、頭に入れておきましょう。

個人信用情報

少し難しい言葉ですが、現在の借り入れの金額や件数、クレジットカードなどの支払い履歴、自己破産や代位弁済の履歴といった情報を指します。こうした情報は個人信用情報機関にすべて記録されています。自己破産やクレジットカードの支払遅延などの事故があった場合は「ブラック」と呼ばれ、銀行での借り入れが難しくなります。一度あることは二度ある。過去の履歴で、その人が信用に値するかどうかを判断するのですね。

また、他の銀行や金融機関に借り入れがある人も審査に通る可能性は低いです。「多重債務」という言葉を耳にしたことがあるかと思います。他で3件も4件も借り入れしている人は、借金を返すために借金をするという、いわゆる「自転車操業」の状態に陥っている可能性も考えられます。自己破産に陥る危険性が高く、返してもらえる見込みが低いため、こうした人も借り入れが難しいのです。

勤務先

勤務先や職業も重要な審査項目となります。定期的に収入があればしっかり返済してもらえる可能性が高いからです。倒産やリストラのリスクが低く、給与も安定している公務員や大手企業の正社員は比較的審査に通りやすいと言われています。逆にベンチャー企業や小規模企業の正社員・経営者、自営業者は、公務員や大手企業の正社員と比較すると審査が通りにくいです。

特に自営業者は収入が安定していないケースが多いため、審査に通る可能性がダントツに低いと言われています。もちろん、大手企業でもリストラのリスクはありますし、自営業者でも安定的に高収入を得ている人はいますが、どうしても銀行の審査となると一般的な傾向から判断されることになります。

年収

勤務先と同様に年収も審査に大きな影響を与えます。当然収入が多ければ多いほど、返せるあてがあるからです。また、借り入れ額も年収によって変わります。たとえば住宅ローンであれば年収の5倍以内の金額、カードローンであれば年収の半分以内の金額が借り入れ額として妥当と言われていて、それ以上の額になると返済が困難とされています。

また、借り入れ額が大きく、返済期間も長期にわたる住宅ローンに関しては、「返済比率」という考え方も取り入れられています。年収によって年間の返済金額の上限を決めるという考え方で、たとえば年収400万円の人が返済負担率30%の住宅ローンを利用した場合は、年間120万円までが借りられます。

勤続年数

勤続年数が長ければ長いほど、その後も同じ状況が続くと考えられます。定期昇給などもあり、年収が高くなっていく可能性も考えられるので、銀行にとってはリスクが低いのです。逆に勤続年数が短ければ「職を転々としている」「すぐに辞めてしまうのではないか」と思われ、審査に通りにくくなってしまいます。

今は転職をしてステップアップするのも当たり前の時代なので、転職して年収がアップしている人もたくさんいます。一方で、勤続年数が長くても収入が伸びないというケースもあるでしょう。しかし、貸し倒れのリスクを避けるための審査においては、転職して勤続年数が短いことが不利になってしまいます。仮に転職して年収が400万円から600万円にアップしたとしても、勤続年数が1年ほどしかない場合は審査に通らないということも考えられるのです。

銀行からの借り入れで審査に通るコツは?

銀行のローンにはどのようなものがあるか、借り入れる際にはどのような審査がされるのかということはご理解いただけたかと思います。お金を借り入れるためには審査に通過するかどうかが一番のポイントです。借り入れ金額が少ないフリーローンは比較的審査がゆるい傾向にありますが、特に金額が大きい住宅ローンは審査が厳しい傾向にあります。そこで、ここからは審査に通過するためのコツをご紹介します。

審査基準となる属性を高める

先ほど解説した4つの条件を少しでも満たすよう心がけるのが重要です。特に個人信用情報に傷がつかないように、なるべく不用意な借り入れをしない、借り入れがある場合は期日までにしっかりと返済する、クレジットカードの支払いを滞らせないといった日頃の行いが重要です。勤務先や年収、勤続年数はすぐに変えられるものではありませんが、工夫することで将来的に借り入れが受けやすくなります。

たとえば転職する際には公務員や上場企業・大手企業の正社員を選ぶ、年収アップが期待できる仕事を選ぶことで、審査に通りやすくなります。タイミングも重要です。たとえばカードローンは勤続年数が3年以上あれば審査が通りやすいと言われていますので、3年を超えたタイミングで借り入れを申し込むとスムーズに借り入れができる可能性が高くなります。

虚偽の申告はNG

確実に借り入れたいからと言って勤務先や年収、勤続年数を偽るのは絶対にやめましょう。たとえば勤務先に勤めていない大企業の名前を書いても、審査の担当者が職場に電話をかけて本当にその人が本当にその会社にいるかどうかを確認する「在籍確認」が行われるので、発覚する可能性が高いです。

嘘をつくような人に大切なお金は貸せないのは当然のこと。嘘をつかなければ借りられたかもしれないお金も、借りられなくなってしまいます。仮に偽りの申告をして借り入れを受けて、その後嘘が発覚すると、最悪の場合詐欺罪で逮捕され、刑事罰に処せられる危険性すらあります。虚偽の申告をするつもりがなく、勘違いで誤った情報を記入した場合でも、銀行が調査した結果と記入した内容が異なっていた場合には「嘘をついている」と捉えられかねません。借り入れ申込書には必ず正確な情報を記入しましょう。

まとめ

銀行から借り入れを受ける際には、ローンの種類と金利の相場、審査内容を把握しておくことが重要です。適切なプランを選んで審査基準を満たしていれば、スムーズに借り入れを受けることができます。

銀行で借り入れを検討されているのであれば、ぜひ今回の記事を参考にしていただいて、まずは基礎知識をしっかりと押さえましょう。実際に銀行へ行ったらよく考えてローンのプランを選び、正確な情報を申込書に記入するよう心がけてください。