長い人生においては、住宅を購入したり、家族構成やライフステージが変化したり、住宅をリフォームすることもあるでしょう。いざリフォームするとなったとき、費用をすぐに用意できればいいのですが、100万円単位、多ければ1,000万円単位の費用が掛かることもあるので、自己資金だけでまかなえないこともあります。

資金が用意できないとき、みなさんならどうしますか?住宅ローンを利用する方法もありますが、実はリフォームに特化したリフォームローンを活用することも可能です。この記事では、リフォームローンとはどのようなものなのか基本を解説します。

リフォームローンとは?

冒頭でもお話ししたように、リフォームローンとは住宅のリフォームを目的にしたローン商品のことです。住宅のリフォームでは住宅ローンを使うこともできますが、リフォームに特化したリフォームローンを使用する方法もあります。それでは、同じ住宅のリフォームで使える住宅ローンとは何が違うのか、リフォームローンの基本的なことをお話ししていきます。

■リフォームローンとは?

リフォームローンは、住宅のリフォームにかかる費用を金融機関が貸し出すローンサービスのこと。新築や、住宅購入などのリフォーム以外の目的では利用できないリフォーム専用のローンです。

住宅のリフォームといえば、よく行われるのが洗面所のリフォーム、トイレのリフォームなど水回りのリフォームではないでしょうか。何十年も使っていると劣化してくるため取り換える人もいるかと思いますが、トイレなど一部のリフォームだけでも30万円程度の費用がかかります。

30万円程度であれば貯蓄からすぐに出せるかもしれませんが、家の外装や全体的なリフォームはさらに費用がかさむものです。たとえば外壁やガレージのリフォームなら100万円以上かかることもあります。中古物件を購入して住宅丸々リフォームしようものなら500~1,000万円の費用が掛かってもおかしくありません。

どこをどうリフォームするのか、どこまで業者にお願いするかにもよりますが、さすがに100万円、1,000万円単位になるとすぐに現金で用意するのは難しいでしょう。そこで利用できるのが、住宅ローンやリフォームローンというわけです。

■借入期間はどのくらい?

リフォームローンは、住宅ローンとは違いリフォームが目的であるため、住宅ローンと比べて借入金額は低く設定されています。借入金額の上限は、だいたい500万円程度が相場です。

さらに、借入期間についても短めに設定されています。リフォームローンを商品として販売している金融機関にもよりますが、長くても10~15年がいいところです。住宅ローンは最長35年程度になるため、住宅ローンと比べると借り入れできる期間が半分以下になっていることがわかります。

住宅ローンベースで考えるとつい期間を長く見積もってしまいますが、リフォームローンも合わせて検討する場合は返済期間が短いことを頭に入れておきましょう。10年、長くても15年で計画的に返済できる借入金額の範囲内での利用が望ましいです。

■住宅ローンとの違いは?

ここまでリフォームローンとは何かを紹介してきましたが、借入期間や借入上限額以外にも、リフォームローンと住宅ローンには違いがあります。

まず、リフォームローンは基本的に担保を必要としないサービスです。住宅ローンは、ローンに関係する住宅を担保として設定しなければなりませんが、リフォームローンは有担保のもの以外、担保を設定しません。つまりローンの支払いが難しくなっても、担保がないため強制的に住宅が競売にかけられないということです。

また担保を必要としないことから、保証料である20万円程度の初期費用の支払いも必要なくなります。さらに担保がない分、住宅ローンと比べると手続きはよりシンプルです。審査にかかる時間も短いため、借り入れの回答を早めに得られます。

しかし、担保がないということは良いことばかりではありません。担保がないということは、それだけ金融機関にリスクがかかるということ。リフォームローン利用者のローン返済が難しくなったとき、債権者は、担保のある住宅ローンよりも債権の回収が厳しくなってしまいます。そのため、リフォームローンは住宅ローンと比べると設定金利が高いです。同じ額を借り入れる場合はリフォームローンの方が支払いの負担が大きくなります。

リフォームローンの金利の特長

リフォームローンは、住宅ローンと比べた場合金利が高い傾向にあることを紹介しました。ただし、金利の高さに違いがあるものの、基本的な金利の種類、計算のしかたに違いはありません。リフォームローンの金利の種類は2つ、住宅ローンと同じく固定金利型と変動金利型です。

リフォームローンを利用する場合、どちらの金利を選択するべきなのでしょうか。固定金利型、変動金利型それぞれの特長から、リフォームローンの金利について考えてみましょう。

■固定金利型の特長

固定金利型は、リフォームローン契約時から契約終了まで金利が変わらない種類です。たとえば金利3.5%で契約した場合、10年後の完済であれば、契約から5年後も10年後もずっと金利3.5%で計算されます。契約中はずっと金利が変わらないため、毎月元金返済額をある程度把握することができます。計画的に返済しやすいのが特長です。

また、金利が変動しないことから市場の金利変動の影響を受けない点も特長としてあげられます。将来金利が大きく動いても、固定金利型は市場の金利変動にともなって金利が変わることはありません。

それでは、なぜ市場の金利が変化しても固定金利型は崩壊しないのか。それは、そもそも固定金利型は将来の金利変動リスクも考慮されたうえで金利が設定されているためです。よく見ると、固定金利型と変動金利型では設定されている金利が違うことがわかります。

■変動金利型の特長

先の固定金利型の説明でも触れましたが、固定金利型と変動金利型では、同じ金融機関の同じリフォームローンでも金利が異なります。低金利が続く近年においては、市場の金利の変動に影響されやすい変動金利の方が金利の設定が低いです。変動金利型と固定金利型を比較した際の大きな特長といえるでしょう。

変動金利が固定金利よりも低いうちは、利息負担分がその分軽くなるため、元金と利息を合わせた支払額が毎月一定の元利均等方式では元本の返済が早まります。リフォームローンを組んだ当初は残高が多く、残高に対して利息が発生するため、できるだけ早めに、計画的に返済したい場合は変動金利型を選ぶのも良いでしょう。

なお、変動金利型は市場の金利が変われば、それにともない金利も大きく変わると思われるかもしれません。しかし、ルールにより金利の上昇は1.25倍と決まっているので、金利の上昇は限定的です。また返済額の見直しは5年ごとというルールもあるため、金利の見直しによって返済利息と元金返済の比率は変わるものの、すぐさま返済額に影響するわけではありません。

リフォームローンの金利相場は?

固定金利型に変動金利型、リフォームローンの金利のしくみはある程度把握できたかと思います。先にも紹介したように、しくみに関しては住宅ローンのものとほとんど変わりないですが、住宅ローンとリフォームローンとでは金利の相場が変わってきます。

リフォームローンの金利相場は、住宅ローンの金利相場と比べてどのくらい違うのでしょうか。リフォームローンの金利設定で優遇される可能性があるケースも合わせて紹介します。

■銀行でのリフォームローンの金利相場

リフォームローンは、銀行での取り扱いも多いローン商品です。銀行の場合、金利相場は2018年9月時点でおおむね2.5~4.5%程度になります。住宅ローンの目安相場が0.5~3.0%程度なので、住宅ローンと比べて2倍以上の差があることがわかるでしょう。

ただし、あくまでも相場であって固定金利型か、変動金利型かでまた金利の目安は変わってきます。銀行によっても金利の設定は変わってきますが、変動金利型なら2.5%に近い金利で、固定金利なら4.5%に近い金利で設定されていることが多いです。

また、紹介した金利はあくまでも目安であって、条件次第ではリフォームローンでも1.5%程度から利用できるもの、反対に固定金利が8%近くに上るものまであります。金利相場を把握したうえで、相場から大きく外れた金利設定になっていないか、リフォームローンを選ぶ場合は確認しておきたいですね。金利が相場から外れている場合、リフォームローンと名はついているものの、実質住宅ローンに近かったり、あるいはカードローンに近かったりすることもあります。

■金利が優遇される可能性が高いリフォーム内容は?

リフォームローンの金利相場についてお話してきましたが、固定金利型も、変動金利型もどちらも3.0%などと固定した金利が記載されることはあまりありません。だいたいは、2.5~4.0%のように適用金利の幅で明記されていることが多いです。適用金利の幅が設定されいてる理由は、借入額に応じて適用される金利が変わってくるためです。

ほかにも、借入額以外の理由でリフォームローンの金利が変わることがあります。それは、リフォームの内容です。銀行によっても対応が異なり、特典を設けていないこともありますし、条件に当てはまったリフォームの内容でないと対象にならないこともありますが、金利が優遇されることも少なくありません。

なお、リフォーム内容に関するある条件とは、リフォームによって付加価値が高まるかどうかです。たとえば、耐震リフォーム、エコリフォーム、バリアフリーリフォームを実施した際に、金利が優遇される可能性が高い傾向にあります。リフォームでも、エコやバリアフリーなどを考えたリフォームをする場合は、金利の優遇を設けているリフォームローンも比較の対象に入れたいところです。

■金利が優遇される可能性が高い取引内容は?

ここまで、リフォームローンで金利が優遇される可能性のあるリフォームの内容についてご紹介しましたが、取引内容によっても金利が優遇されることがあります。

まずリフォームローンを契約する金融機関の口座を持っているケース。この場合は、ただ口座を持っているだけではなく、各リフォームローンの特典で決められたある一定の残高を口座で所持している必要があります。すでに口座に一定額の預け入れがあることで、リフォームローン返済における信頼が構築できますし、金融機関側は債権不履行のリスクが減るためです。

さらに、住宅ローンの残高がある場合についても、リフォームローンの金利が優遇される可能性があります。契約する金融機関の口座の所持と一定額の預け入れ同様に、すでに住宅ローンで実績を作っていることで一定の信頼があるです。リフォームローンを利用する場合は、広く比較していくことも大切ですが、まず住宅ローンの利用や預金を利用している金融機関で、リフォームローンの金利優遇がないか確認してみましょう。金利の優遇により、実際に設定されている金利よりもお得にリフォームローンを利用できるかもしれません。

まとめ

リフォームローンは、住宅のリフォームのためのローン。同じくリフォームで活用できる住宅ローンと比較すると、担保の有無、金利相場、借入期間など多くの点で異なることがわかります。

どちらを選んだ方が良いかは、借入額やリフォームローンの金利優遇などがあるため、個人の考え方次第です。多額のリフォーム資金が必要なら住宅ローン、少額のリフォームなら、リフォームローンから検討してみると良いでしょう。