周囲が昇進したり結婚をしたりしはじめる年齢になると、ときには投資の話がでてくることもあるでしょう。将来設計のためにできるだけ資産は増やしておきたいと考える方も多いかもしれません。ですが、投資で資産を増やすのはリスクが高そう、もっと歳を重ねてからおこなうものと固定概念を抱いていることも珍しくないようです。ですが、投資は長期に少額の積立を分散することでリスクは減らすことができます。また、投資を考えたら少しずつでもできるだけ早めに始めることが、将来の資産形成を大きくできるポイントです。その理由と投資方法をご紹介します。

資産形成はなぜ必要?

将来の人生設計のために貯蓄をするのであれば、早い段階からおこなうのがよいです。もしも1,000万円を利回り5%で資産運用すると単純な計算で5年目と10年目では400万円近くの差額が発生することになります。資産運用をする必要がないと考える方もいるかもしれませんが、将来結婚して家を持ちたいと考えたとき、または子どもができたときにかかる学費などを考えた場合、現実問題として何百万円単位のお金がかかります。自分だけでなく家族も含めたゆとりある将来のことを考えると、資産形成はしておくに越したことはありません。ですが、ただ貯蓄をしていても簡単に増えるものではなく、安定した投資方法を長期におこなうのであれば、できるだけ早い段階から動きはじめることが必要となります。

貯蓄との違い

貯蓄と投資、どちらも資産形成の方法です。一般的には貯蓄とはすぐに使うことのできる動かしやすいお金を蓄えることを指します。多くの方は銀行に預けている預金が貯蓄にあたり、いつでも引き出すことのできるように保管しておくお金といえます。投資は貯蓄とは反対で、ある程度の期間で利益を出すことを見越して使用するお金です。今すぐに使うわけではない、けれど将来的に用意したいお金ともいえるでしょう。例えばまだ生まれていない子どものためのお金や老後に必要な分といったお金は、投資で長期的に増やしていくのが向いています。

複利効果

投資を早めにおこなうのがよい理由として、複利効果という考え方があります。複利効果とは投資の利益がさらに利益を生むことをいいます。例えば、100万円を25歳のときから年率5%で投資運用した場合、5年後の30歳には25%の25万円が増えることになります。したがって、30歳の段階で125万円だとすると、さらに増やしていくことが可能というわけです。しかし、25歳から何も投資運用せず30歳でスタートしようとした場合、その資金は100万円です。資金が多いほど、さらに増やすことができるのは言うまでもありません。

タイプ別:資産形成の方法

資産形成するための投資といっても、さまざまな種類があります。大きく分けると堅実な貯蓄型、楽しめる変動型、マイペースにできる投資信託、資金が必要な不動産投資やハイリスクハイリターンな先物取引といった種類に分けられます。それぞれの特徴を詳しくみていきましょう。

貯蓄型は低リスクを求める堅実派におすすめ

堅実に増やしていくのであれば貯蓄型の投資が必要ですが、貯蓄型として預金、外貨預金、個人向け国債があります。

預金は上でも記載しているとおり、一般的に銀行に預けているお金で、定期預金など一定期間引き出せないものが通常の預金よりも金利が高く設定されています。預金は基本的に元のお金が保証されているため、損をして減るということがありません。この元のお金は投資をするうえで元金とよびますが、元々のお金よりも少なくなってしまうことを、「元金を割る」といいます。

また外国のお金を預けることを外貨預金といい、日本とは異なる金利のためより多く利息をもらうことが可能になります。また外貨預金は元金の保証はないものの日本円との差額が常に変動していることから、差額で日本の預金よりも利益を得ることができます。日本の預金金利ではものたりないという方に向いているでしょう。

外貨預金はリスクが怖いという場合、個人向け国債という選択肢もあります。これは、国が国民から借金を借りることで国の事業などにお金を使うものです。国民から借りているので国からの返済となる個人がお金を受け取る際には利息が加算されることになります。一番の国債のメリットとしては、日本国政府が責任を持っているため民間に預けるよりも安心であるということがあげられるでしょう。また、最低金利保証が0.05%と、それ以上下がることはありません。3年、5年、10年とあり1年経過しなければ戻すことはできないものの、元金が保証されているので損をして投資金額を減らしてしまうことはないです。

こうした貯蓄型のメリットとして、大きな損とならないもしくはなりにくい、そして少額から長期的におこなうことができるという部分があります。

楽しく投資したいなら価格変動型

株式投資や仮想通貨といった投資は、その購入したものの価格変動により利益を得る投資方法です。株式投資は日本の株式会社の株を購入し、仮想通貨はネット上でやりとりされる限りある通貨を購入することになり、どちらも所持している人が増えるほど価値が上がります。自分が持っている株や通貨銘柄が購入したとき以上人気がでて価値が上がれば利益がでるという仕組みです。

この2種類は状況によって大きく上がることもあれば、大きく下がることもあります。大きく上がった場合には利益が増え、投資で増やしているという感覚も強くなります。また資産を増やすのもそうですが、自分が「今後上がるだろう」と思って購入してから価値が上昇すると、予想が当たる楽しさもあります。貯蓄型に比べるとハイリスクハイリターンではありますが、資産を増やしながら、予想が当たるという楽しさが、なによりモチベーションにつながります。

マイペースに資産運用型

投資のなかに投資信託というのがあり、これは自分自身で投資するものを購入するのではなく、投資のプロに任せる方法になります。投資資金は出すものの、その銘柄の購入や売却などはすべて代わりにおこなってもらえるので、それほど銘柄の情報を気にする必要がありません。

投資信託は一般的に上場していない金融機関に依頼するもので、上場している証券会社に依頼するものは上場投資信託といい、ETFともよばれます。利益はETFよりも一般投資信託の方が高い傾向にあります。また購入するときの基準となる価格も異なっており、一般投資信託は1日1回算出される価格をもとに、ETFはリアルタイムな価格変動がついてくるものです。

また、投資信託で外国の証券を購入する外貨MFFという投資もあります。これは日本円を外国のお金にして外国の安全な有価証券を購入するというものです。外国のお金に変えていることから、銘柄自体の価格変動の他に日本円との価格差でも利益や損失がでます。

2018年1月から始まった積立NISAというのも投資信託のひとつです。通常の投資信託は利益分に税金がかかりますが、積立NISAは少額でおこなう分、利益に税金がかからないというメリットがあります。一度に大きな額を投資することはできないのですが、長期的な投資をおこなう際に向いている投資信託です。

これらは投資信託の細かい分類といえ、いずれも運用はプロがおこなってくれるので、投資のために自分の時間が割かれることを考えなくてよいというメリットがあります。

不動産型は資産に余裕がある人におすすめ

不動産を購入してその賃料を得るのも投資方法のひとつです。不動産投資には自分で購入してオーナーとなり資産を得る方法と、不動産を持っている会社に投資をする方法とがあります。

不動産投資のメリットとしては自分で購入した場合、自分名義の物件となるので老後の居住や家族のための持ち家として利用することもできるということと、入居者がいれば毎月家賃収入が入るという点です。入居者は一般的に数年単位で部屋を借りますので、安定して家賃が毎月入るということになります。しかしその分投資費用が大きく、住宅ローンを利用して不動産を購入しなければいけないケースもあり、ある程度投資金額に余裕のある人向けといえます。

不動産を持っている会社への投資は、複数の物件の購入や管理を一括して会社がおこない、その金額を投資家が投資し利益を還元してもらう方法となり、J-REATとよばれます。物件の所有はできないものの不動産投資のリスクである空き家やメンテナンス費用などを気にする必要がありません。

ハイリスクだけどハイリターンな先物・信用型

短期間で多い利益を求めるのであればFX取引などの先物取引という投資方法があります。この先物取引というのは、自分が投資したお金自体で投資をおこなうものではありません。投資した金額は証拠金といって、担保のような扱いとなり、自分が投資した以上のお金を動かすことが可能です。これにより自分の資金以上のお金を動かすことができるので、利益を大きく得ることが可能な投資方法だといえるのです。しかし、その分大幅な損をしてしまうケースもあり、大きい金額を動かしすぎると、自分の投資した金額では不足となり、追加投資で補填をしなければならないこともあります。投資方法のなかでもギャンブル性が高い方法だといえるでしょう。

安全に資産を形成するための3原則

安全に資産を形成するためには、「長期」「積立」「分散」の3原則をおさえておくことが大切です。ここでは、この3つの原則について、それぞれわかりやすくご紹介します。

「長期」

長期で投資をおこなうメリットとして、日本だけでなく世界経済の成長に合わせて着実に資産を増やすことができます。投資での暴落の話となるとリーマンショックが有名で発生したのは2008年ですが、それ以前の2004年から2017年を比べると緩やかな右肩上がりとなっています。短期的な投資は暴落の影響を受けますが、長い目でみると徐々に上がっているというのが世界の経済です。

「積立」

投資は売りと買いの判断が重要であると考える方もおり、それは間違いではないものの完全な予測というのは非常に難しいです。100%こうなるとは投資家の誰も断言できることではありません。しかしこの価格の変動のリスクを下げるのが少額ずつ投資です。一度にたくさん購入することが暴落したときの損害を大きくする理由ですので、少しずつ毎月投資をおこなうのが資産運用のポイントとなりますし、徐々に投資をしている感覚にも慣れていきます。

「分散」

分散して投資をすることもリスクを減らすうえで重要です。例えば、100万円の資金があった場合に100万円ものを1種類購入した場合、それの価値が0円になると資産のすべてが損害を受けることになります。しかし10万円のものを10種類持っている場合に2種類の価値が0になっても残り8個は自分の資産として残ります。こうして分散して保持することが自分のリスク分散ともなるのです。

まとめ

投資を検討しているけれど少し危険かもというイメージを持っている方も、しっかりとリスク分散をおこなうことで堅実に資金形成をすることが可能です。毎月何千円かでも投資は始められますし、プロに相談することでよりリスクを減らした運用をすることもできます。資産形成をどのようにしていけばよいのかプロに相談してみることをおすすめします。