海外旅行や出張時は、細かな支払いなどのために、いくらか手元に現地通貨があると安心ですよね。現地で日本円から米ドルに両替する方法もありますが、メジャーな通貨の両替は国内で行った方がお得ですし、外国で起こりがちな余計なトラブルも大方避けることができます。

しかし、国内での両替がおすすめといっても、銀行や空港など両替できる場所が複数あって迷ってしまいます。一体、どこで両替するのがお得なのでしょうか?米ドルはどこで両替できるのかということから、各両替方法のレート、手数料の目安を押さえておきましょう。

ドルを両替できる場所は?

両替所に限らず、外国通貨と日本円の両替の方法は多種多様になってきました。米ドルはメジャーな通貨なので、外国通貨の両替を行っている場所であれば基本的にどこでも両替できます。しかし、安易に両替ができるからという理由で選ぶと、両替レートなどで損をすることもあります。

米ドルを両替するなら、どのような場所で行うべきなのでしょうか。ドルの両替でお得な場所がどこかを知る前に、まずはどういった場所で両替できるのか、またそれぞれのドル両替レートはどのくらいなのかを確認していきましょう。

■銀行のドル両替レート

銀行の両替では、公示仲値、あるいはTTM(テクニック・トランスファー・ミドル・レート:電信仲値相場)といわれる値を基準にドルの両替レートが決められています。公示仲値とは、為替相場である毎朝9時55分ごろの市場レートを参考に、各々の銀行が決定するその日の基準となるレートのこと。基準である公示仲値は、大きな値崩れなどが起きない限り、基本的に丸一日基準レートが変動することはありません。

なお、一日の取引の基準レートである公示仲値は、銀行それぞれが設定するものの、ほぼ市場価値で判断されることも多いです。そのため、少しの違いはあっても銀行ごとにレートが5円、10円と大きく変わってくることはありません。基本的にはその日の9時55分ごろの為替相場が基準のレートになると考えて問題ないでしょう。なお、米ドルの両替の際は公示仲値に1通貨あたり3円程度の両替手数料を含んだ両替レートで計算されます。仮に公示仲値が100ドルだった場合、手数料3円なら103円の両替レートになるということです。

■外貨両替所の両替レート

外貨両替所は、外貨両替のための専門店。国際線のある空港に設置されているものがよく知られていますね。出発前に両替するのを忘れていたというときにも便利です。そんな外貨両替所の特徴は、クレジットカードを使った両替に対応しているところもあるということ。

通常は日本円などの現金を両替するイメージですが、クレジット決済によって手元に現金がなくても、現地通貨を現金で取得することができます。その分海外で利用する枠が減ってしまうというデメリットもありますが、すぐにでも現金として用意したいときに便利です。そんな外貨両替所の両替レートは、銀行の両替レートと大きく変わりません。銀行によっても両替レートは異なりますが、さまざまな銀行のちょうど中間値付近と考えれば良いでしょう。

■金券ショップの両替レート

街中で気軽にドルに両替したいなら、金券ショップを利用する方法もあります。金券ショップでの両替レートは銀行などと比べてお得なことが多いです。理由は、競合が多いということもありますが、銀行のように丸一日両替レートが変わらないという設定がないためです。金券ショップによっては、一日に何度も両替レートを変更していることもあります。

一日に何度も両替レートが変更されるということは、為替の変化に影響されやすいということ。もともとの手数料の設定が低い金券ショップですが、為替相場の変動に影響されやすい分、必ずしも金券ショップの両替レートがほかの方法と比べてお得になるわけではありません。かえって相場に影響されて両替で損をしてしまうこともあります。

■外貨宅配業者の両替レート

自宅にいながらお得なレートで両替できると近ごろ注目を集めるようになった、外貨宅配業者。確かに、マイナーな通貨の両替はほかの方法と比べてお得ですが、米ドルやユーロなどよく取引される通貨はそうとも言い切れません。

そもそも、流通量の多いメジャーな通貨は、外貨宅配業者に限らず、銀行などその他の両替でも5円、10円と大きな開きが出ることは稀です。それは、流通が多い分、取引にかかる費用を抑えられるため。マイナーな通貨であれば外貨宅配業者を利用するメリットは大きいですが、ドル円の両替については、銀行で両替をするのとレートに大きな変化はありません。

両替レートの面からみると、必ずしもお得な方法だとはいえないでしょう。ドル円の両替を外貨宅配業者で行うなら、両替レートよりも自宅にいながら両替できるという点にメリットがありそうです。ただし、宅配になる分、受け取れるまでのラグが発生することは注意しておきましょう。

ドル両替に必要な手数料は?

ここまで米ドルの両替レートについてお話ししてきましたが、基本的に各両替先では両替手数料が両替レートに含まれています。そのため、両替のための手数料として別途費用が発生することは基本的にはありません。

それでは、実際の基準のレートに対してどのくらいの手数料が上乗せされ、両替レートに反映されているのでしょうか。両替手数料について、また両替手数料以外の手数料も含めた場合、どこで両替するのがお得なのか考えていきましょう。

■手数料が安い場所は?

外貨両替の基準レートは、日々刻々と変化している市場相場に近いレートで設定されています。市場相場と10円違うなど実際の相場から大きく離れたレートで計算されることはまずありません。それでも、両替する場所によって両替後の金額が変わってくるのは、両替手数料が異なるため。

両替手数料は両替を行う金融機関や店舗の実質的な利益になるため、どこで両替するかによって変わってきます。ただし、両替手数料として別途表記されていることはあまりなく、だいたいは両替レートに両替手数料を上乗せする形で表記していることが多いです。

さて、この両替手数料はどこでお得に設定されていることが多いのかということですが、両替する場所の種類別でみると金券ショップでの手数料が割と低めに設定されていることが多いです。そのため、基準としているレートが銀行などほかの両替所と変わりなくても、上乗せ分が少ないためお得にドル円を両替することができます。

ただしこれは店舗での受け取りの場合。金券ショップの振り込みや宅配を利用する場合、あるいは外貨宅配業者を利用する場合は、別途振込手数料、代引手数料、宅配にかかる手数料がかかってくる点に注意しましょう。店舗での設定値にもよりますが、銀行振込なら200~700円前後、宅配手数料は500~1500円程度発生することがあります。両替手数料だけでなく、受け取りの方法にも注意したいです。

■大手銀行の両替手数料は?

両替手数料は両替レートに上乗せされているとお話ししました。大手銀行の場合、この両替手数料は2~3円程度になります。これは、1ドルあたり2~3円の手数料がかかるということ。仮に100ドルを両替した場合、両替手数料3円なら300円を手数料として支払っているということです。

なお、売値(円からドル)と買値(ドルから円)で両替手数料の設定が異なる銀行もあり、売値が3円で、買値が2.75円というケースもあります。帰国後、ドルを円に両替する場合は注意しましょう。

また、大手銀行では外貨預金を扱っていることも多く、外貨預金にも別途レートが設定されています。外貨預金の場合は手数料1ドルあたり1円程度、低いところであれば50銭などと現金両替時のレートと比べて明らかに低く設定されています。同じ外貨の取引であっても、レートは全く別なので混同しないように注意したいです。

ドルへの両替は日本国内がおすすめ

ここまで日本国内で米ドルに両替するならどこがお得なのかということを紹介してきましたが、国内にこだわらず海外、米ドルならアメリカ本土で日本円からドルに両替する方法もあります。

しかし、アメリカでの両替はおすすめしません。理由は、日本国内で両替するよりも手数料が割高なためです。日本での米ドルほど、アメリカでは日本円の需要がないため、お得に両替しようと思うなら損をします。日本国内で米ドルに両替してから海外に渡航した方が、あまり手数料で持っていかれなくて済みます。

■日本国内で両替できる場所は?

海外で円からドルに両替するよりも、日本国内で両替した方がお得に済ませられることを紹介しました。はじめに紹介したように、日本国内でドル円の両替ができる代表的な場所が銀行です。大手銀行を中心にドル円の両替が行われており、かつ普段利用している銀行で両替できるという点で安心感があります。銀行によっては両替できる店舗が限られることもありますが、取引をしている店舗なら窓口ですぐに両替できるのが特徴です。

ほかには空港の両替所、金券ショップ、インターネットを利用して外貨宅配業者で両替する方法があります。ただし、ネット上の取引は、宅配の場合時間がかかってしまうこと、振り込みでは外貨預金用の特定の口座を所持していないといけないことなど注意点もあります。金券ショップについても、両替できる数量が限られることもありますので、お得ではありますがデメリットもあります。

お得に両替できることも大切ですが、そもそもドル円の手数料の幅はマイナーな通貨と比べて狭いため、店舗が多く安心して両替できる銀行を選ぶのも選択肢ではないでしょうか。

■海外キャッシングと両替はどちらがお得?

海外で、海外の両替所などを利用したくない場合は海外キャッシングという方法もあります。海外キャッシングとは、対応している海外のATMを使って、自分の持っているクレジットカードでキャッシング(お金を借りること)し、現地の通貨で引き出す方法のこと。海外で現金が必要になったときに便利です。

この海外キャッシングで発生する費用はATMの利用手数料と、キャッシングにかかる利息の2つ。利用手数料は場所や利用するATMにもよりますがおおむね0円から200円程度が目安です。キャッシングにかかる利息は、返済が遅れるほどにかさんでいきます。

短期間で返済できる金額であれば海外キャッシングは便利ですが、返済が長期になる場合はお得な方法とはいえません。また、海外キャッシングはクレジットカードのキャッシング枠の範囲内になるため、高額を現地通貨として引き出すことができない方法です。まとまったお金を両替したいなら、海外キャッシングではなく素直に両替した方が賢明でしょう。

まとめ

国内だけでも、ドル円の両替方法はいくつかあります。中でも両替レートが低く設定されることが多いのが、金券ショップでの両替です。しかし、金券ショップでの両替は安心感、多額の両替の面で不安な部分もあります。正式な手順で安心してドルを両替したいなら、銀行を活用した方が良いでしょう。お得な両替は魅力的ですが、安全面や利便性の高さ、両替のスピードなども考慮して両替先を選びましょう。