個人が預金や貯金で利用する口座は、大きく普通預金(貯金)、定期預金(貯金)の2つに分けることができます。国の経済情勢にもよりますが、基本的にどちらも銀行に預け入れることで利息が発生する商品です。

給料の受け取りなどで普通預金口座を開設している人は多いかと思いますが、普通預金と定期預金とでは何が違うのでしょうか。また、どの口座を選べばお得な金利で元金を増やしていくことができるのでしょう。銀行預金口座の活用法について紹介します。

金利を有利にする貯金預金の方法は?

銀行にお金を預け入れている方がお得なイメージもあってか、タンス預金ではなく銀行の預金や貯金を使用している人も多いかと思います。銀行に預け入れることによる大きなメリットは、ただ預け入れるだけで期間に応じて自動的に利息がつくこと。(預け入れの額が少なすぎるとつかないこともあります。)

何もせずにお金が増えるのはうれしいものですよね。しかし、預け入れる口座を考えずに普通預金を利用してはいないでしょうか。口座によって利息の増え方は変わってきます。銀行の金利を有効にするための貯金や預金の方法について考えていきましょう。

■大手銀行の普通預金の金利は?

2018年9月時点での大手銀行の普通預金の金利は、0.001%~が通常。中には少し高めの金利設定にしている銀行もありますが、大手は軒並み0.001%で足をそろえている状態です。ちなみに、金利0.001%は、単純計算で1年間10万円をずっと預けていたとしてやっと1円の利息がつく程度。100万円の貯金でも10円の利息にしかならないため、利息を期待して普通預金に預け入れることはほとんど意味がないことがわかります。

銀行に預け入れていれば、勝手にお金が増えていくという時代ではもうないのです。5万円など預け入れている金額次第では利息すら発生しないこともあります。

それでは0.001%という大手銀行の普通預金の金利はここ数年の特別なものなのでしょうか。実は、普通預金の金利が0.001%のようにほとんどないのは今に始まったことではありません。2002年あたりからずっと金利が上がらないような状況が続いています。近ごろの金利の低さは、日本銀行のゼロ金利政策などの影響も多少はありますが、ゼロ金利政策が本格化した以前から銀行の普通預金の金利は思わしくないのです。

大手銀行を中心に、銀行の普通預金の金利が思うような資産形成のための効果を発揮しない今、どうやって預金や貯金をしていくか考えていく必要があります。

■普通預金と定期預金の金利の違いは?

普通預金の金利は大手銀行で0.001%程度と、100万円などまとまったお金を預金あるいは貯金してもほとんど利息がつかないことを紹介しました。利息狙いで普通預金を利用するのはあまり効果的とはいえません。そこで利用を検討したいのが、銀行の定期預金です。

定期預金が預金や貯金におすすめなのは、普通預金と比べて金利が高いため。大手銀行の多くが普通預金では0.001%程度の金利設定になっていますが、定期預金になると0.01%程度と金利は約10倍にも跳ね上がります。仮に100万円を1年間預け入れた場合、金利0.001%だと利息は10円ですが、0.01%なら100円になります。普通預金と定期預金の金利差で、どれだけ利息に影響が出るか、預金あるいは貯金する額が多いほど一目瞭然なのではないでしょうか。

ただし、定期預金は金利が高く設定されている代わりに、一定の期間預金していないと、決められた利息がつかないという縛りがあります。普通預金のように常に自由に引き出しができる状態でなく、1カ月、半年など契約を結んだ期間中は原則引き出せないことから、金利が高めに設定されているわけです。

定期預金を活用してお得に貯金する

ここまで、普通預金と比べて定期預金はお得にお金を預け入れることができると紹介しました。利息ベースで考えるのであれば、定期預金は魅力的な金融商品です。

しかし、普通預金と比べたとき、期間的な縛りがある、自由にお金を引き出せないなどのデメリットもあります。デメリットとなる部分をできるだけ避け、お得に定期預金を利用するにはどうすれば良いのでしょうか。定期預金の活用法3つを紹介します。

■短期の定期預金を活用

定期預金を利用するときの1番の心配ごとが、契約期間中預け入れた額を引き出すようなことにならないかです。せっかく定期預金に預け入れても、途中で解約すると定期預金の意味がなくなってしまいます。解約によって、本来受け取れるはずだった利息が受け取れなくなるためです。

定期預金の解約によって元本が減ることはまずありませんが、解約によって適用される金利は大きく変わってしまいます。普通預金の金利に限りなく近いか、あるいは期間や額によっては0%の適用を受けることもあります。

そんな解約のリスクをおかしてまで定期預金を利用するなら、普通預金に無難に預け入れた方がましですよね。だからこそおすすめしたいのが、定期預金の短期利用です。1年先、2年先いつお金が必要になるか未来を予想することは難しいですが、それが1カ月先、3カ月先などであれば予想もしやすくなります。

たとえば車検だったり、子どもの入学式などのイベントだったり、この先まとまったお金を使うことがわかっていれば、定期預金に無理して入れることはありません。1カ月などの短期間であれば、先のイベントを見越して計画的に預け入れることができます。短期なら定期預金を利用するものの、ある程度自由に引き出しができる普通預金に近い感覚で利用できるというわけです。

■抱き合わせ特典を利用する

抱き合わせ特典とは、同じ金融機関の他の商品を利用することによって、サービスがお得になるというものです。たとえば銀行の場合、同じ銀行の証券口座開設により、あるいは退職金受け取り口座の指定などにより、定期預金の金利が優遇されるような特典があります。

定期預金の抱き合わせ特典によって通常よりも金利が上がれば、その分利息も増えます。たとえば通常時0.01%だった場合で、抱き合わせ特典によって0.1%に金利が上昇すれば10倍の速さで利息が増えるというわけです。抱き合わせ特典で必要な商品の利用が自身にとって魅力的なものであれば、2重で恩恵を得ることができるでしょう。

ただし抱き合わせ特典を利用する場合は、注意点もあります。まず、金利がアップする期間が短いケースがあることです。定期預金の金利が1%や3%のように通常では考えられない高金利のケースでよくみられるのですが、内容をよく確認したら1カ月だけの適用だったということも少なくありません。仮に3%だった場合、1カ月だけの適用なら実質金利は0.25%(3%÷12カ月)です。高額の預金をしない限り得られる利息はそこまで大きくありません。

さらに、抱き合わせ特典で投資信託が条件になっていた場合などで、銀行に支払う販売手数料が多く、定期預金で得られる金利以上に損をしてしまうケースもあります。すべての抱き合わせ特典が損になるわけではありませんが、抱き合わせ特典を利用する際は、内容をよく見て利用したいものです。

■1,000万円以上は大口定期

定期預金の中にも大口定期預金という種類があるのを知っていますか。大口定期預金は1,000万円以上で利用できる商品で、大手銀行を中心に取り扱いがあります。性質的には他の定期預金と同じですが、1,000万円以上を一括で定期預金に入れる必要があるため、積み立てで1,000万円以上になっても大口定期預金には認められません。契約時に定めた一定の期間、定期預金口座に1,000万円以上を預け入れる必要があります。

なお、1,000万円というまとまったお金を一定期間銀行が預かるということは、銀行側にもメリットがあるわけで、大口定期預金の金利は、通常の定期預金の金利よりも高めに設定されています。預金しても問題ない資産が1,000万円以上あるなら大口定期預金を活用した方が、通常の普通預金や定期預金を利用するよりお得です。

ちなみに、大口定期預金は通常の定期預金とは異なり、すでに設定されている金利が適用されるわけではありません。店頭表示の金利はあくまで最低金利であって、交渉により金利を上げることができます。銀行との交渉やどの金融機関を選ぶかにもよりますが、0.3%など通常の定期預金よりもはるかに高い金利がつくことは少なくありません。また、固定金利と変動金利の2つのタイプがあり、金利情勢次第では変動金利の適用で予想よりも利息を得ることも可能です。

1,000万円以上のまとまったお金を定期預金で活用したいなら、大口定期預金を利用してみるのも選択肢として考えられるでしょう。

貯金額1,000万円超えたら預金は損?

定期預金の活用について、1,000万円以上の資金があるときは、通常の定期預金よりも大口定期預金を利用した方がお得だということをお話ししました。確かに普通の定期預金を利用するよりは得られる利息は大きいです。

しかし、低金利時代においてはたとえ1,000万円の大口定期預金をしたからといって、すぐすぐ利息分が溜まるわけではありません。仮に0.3%の固定金利で1,000万円の大口定期預金を契約しても、1年後3万円の利息しかつかないのが現実です。さらに、ペイオフ制度にも注意する必要があります。

■ペイオフ制度に要注意

まずは注意したいペイオフ制度について。ペイオフ制度とは、預金していた金融機関が破綻した場合に適用されるものです。1金融機関あたり、1,000万円までの元本、そして利息が保証されることになります。当座預金や無利息の普通預金は決済口座として位置づけられているため基本的には全額補償ですが、定期預金や利息ありの普通預金はペイオフ制度によって1,000万円までが全額補償の対象となります。

裏を返せば、利息つきの普通預金と合わせて1,000万円以上を定期預金に入れていた場合、1,000万円を超える部分についてはお金が戻ってこないということです。仮に金融機関が破綻した場合の話なのでそうそう起こることではありませんが、1,000万円以上を定期預金に預け入れるとリスクもあります。

1,000万円以上の大口定期預金で通常よりも利息が増える半面、ペイオフによるリスクにさらされることも頭に入れておきたいです。先に紹介したように、1カ月や2カ月など短期の定期預金への預け入れであればリスクも減らせるので活用してみるのも良いですが、大口の定期預金をする場合は注意しましょう。

■1,000万円超えたら貯金よりも運用がおすすめ

ここまで、定期預金の活用法と注意点を紹介してきました。定期預金の魅力は元本保証がされていることですが、1,000万円を超えた分の元本についてはペイオフでは保証されていません。また、利息も全体的な低金利の影響で大口の預金をしても思うように増えないのが現状です。

堅実に定期預金で増やしていくという方法もありますが、リスクを考えると1,000万円を超えたら貯金や預金にまわすよりも運用した方が良いでしょう。そこで考えたいのが、投資信託や国債の購入です。

投資信託や国債などの資金運用が良いのは、銀行破綻の影響を受けないため。なぜなら、銀行はあくまで窓口(仲介役)で、実際の資金の管理は別の会社あるいは国で行われているためです。銀行が破綻してもこれまでの窓口がなくなるだけで、資金はなくなりません。

また、資金運用はリスクもありますが、その分リターンを期待することもできます。たとえば投資信託なら株式の比率の高いところを選んで大きなリターンを狙うなどアクティブに運用することも可能です。元本割れのリスクが不安であれば、ほぼ元本割れすることのない国債という選択肢もあります。ペイオフの対象にならないだけでなく、1万円から基本的には上限なく購入できるため、1,000万円以上の資金を国債に変えて堅実に運用する方法もあります。低金利の影響で国債の金利は定期預金程度で決して高いとはいえませんが、ペイオフのリスクを考えると安心して購入することができるでしょう。

まとめ

銀行では、大きく普通預金、定期預金の2種類の口座がありますが、貯蓄を目的にするのであれば、普通預金よりも金利の高い定期預金がおすすめです。短期での契約や抱き合わせ特典を活用して、お得に確実に資産を増やしていきましょう。

しかし、貯金や預金が1,000万円を超える場合は、銀行が破綻した際にペイオフで1,000万円を超えた部分については戻ってこないことがあります。大口定期預金という方法もありますが、1,000万円以上の貯蓄はペイオフ回避のために運用にまわすのも方法のひとつです。