保険の加入を検討しているとき、積立保険と掛け捨て保険のどちらを選べば良いのか迷ってしまったことはありませんか?保険の知識がないと、どちらが自分に適しているのかわからず、難しく考えてしまう方も少なくありません。

そこで今回は、積立保険と掛け捨て保険の特徴や、メリット・デメリットについて比較し、詳しく解説します。保険の加入や見直しを検討中の方は、これを参考に自分に適した保険選びをしてみましょう。

積立保険とは

保険料の積み立てを行うことで、解約返戻金や満期となったときの保険金を受け取ることができる保険のことを「積立保険」といいます。貯蓄性がある保険で、プランによっては解約時や満期のときに積み立てた金額以上が戻ってくるものもあります。

払戻金は、保険の運用利率が高いと多く、低いと少なくなるのが基本です。もちろん保証される分の支払金も必要なので、貯蓄分と合わせると支払金額が高めになるという特徴があります。

積立保険の中にも種類があり、生命保険の場合は終身保険や年金保険、損害保険の場合は火災保険や傷害保険、また学資保険などもあるので、自分の用途に合わせて選ぶことが可能です。それぞれの保険によって契約内容が異なるので、保険の加入時にはよく確認しておきましょう。

積立保険は預金よりもお得?

多くの方は、銀行預金を利用して貯蓄をしているのではないでしょうか。貯蓄性のある積立保険と、預金による貯蓄を比べると、どちらが得になるのでしょう?

近年、預金の金利は決して良いとはいえない状況で、普通預金の場合は0.001%、定期預金の場合は0.01%が一般的です。銀行預金は手軽にできる貯金ですが、“お金を増やす”という目的ではあまり変化を期待することができない方法です。

しかし、積立保険は貯蓄をするような形で一定額保険料を支払うことで、払戻金を増やすことが可能です。運用利率が高いものを選べばその分受け取る金額も高くなるので、低金利の銀行預金と比べればお得なのです。満期や解約時期まできちんと保険料を支払い続けていくことができる方が「お金を増やしたい!」と考えているなら、銀行預金よりも積立保険が適しています。

積立保険に加入するメリット・デメリット

積立保険には、「貯蓄」と「万が一に備えた保険」という2つの機能があり、加入した際にはその両方についての保険料を支払います。満期を迎えたときだけでなく、途中で解約した場合でも支払い続けた保険料を受け取ることができ、預金をするよりも利率が高いというメリットがあります。

その反面、貯蓄と保障の面を兼ね備えているので、保険料がある程度高くなるというデメリットもあります。

こういったメリット・デメリットのほかにどういったものがあるのか、詳しく見ていきましょう。

積立保険に加入するメリット

積立保険の最も大きなメリットは、保険の保障を受けながら貯蓄ができるという点です。保険の種類によって異なりますが、保障があることでより安心して貯蓄をすることができます。

積立保険は基本的に毎月自動引き落としで保険料を支払っていくので、自然と貯蓄ができる環境が作られます。貯金が苦手だという方や、お金を増やしたいけど面倒だと感じている方、銀行預金への貯金がうまくできないという方にも適しているでしょう。

また、定期預金などよりも利率が高い場合が多いので、一定額貯蓄することを考えて比較してみると積立保険の方が返ってくる金額が多くなることが期待できます。特に長い期間や運用利率が高いものだと、その分払戻金が高くなるので万が一のときや老後の備えとしても役立ちます。

積立保険に加入するデメリット

積立保険のデメリットとしては、基本的に保険料が高い傾向にあるので毎月の支払い負担が大きいことがあげられます。途中で解約することもできますが、場合によっては解約払戻金が実際に支払った金額よりも低くなってしまうこともありえます。

また、積立保険の期間は数十年単位となっているものが多く、長期間支払い続ける必要があります。そのため、どんな状況になっても継続的に保険料を支払えるように計画しておくことも大切です。

長期間に亘って積み立てをしていくとなると、物価が上がってインフレの状態になる可能性があります。インフレになると、保有しているお金や積立金の価値が下がってしまい、満期や解約時に払戻金を受け取ったとしても同じ価値で利用することができなるリスクがある点も、デメリットといえるでしょう。

掛け捨て保険に加入するメリット・デメリット

掛け捨て保険は積立保険とは異なり、解約返戻金や満期のときに受け取れる保険金がない保険です。仮に保険金が戻ってくる場合でも金額がかなり低くなるので、貯蓄を殖やすという目的にはふさわしくないでしょう。しかしその分の保険料が安くなるので、積立保険よりも支払う金額を抑えられるというメリットがあります。これらの他に、どのようなメリット・デメリットがあるのか詳しく見ていきましょう。

掛け捨て保険に加入するメリット

掛け捨て保険の最も大きなメリットは、やはり保険料が安いということでしょう。積立型と違い、保障される分だけを支払うので月々の保険料を抑えることができます。

掛け捨て保険は保障を重視するような保険タイプなので、満期や中途解約時での払戻金が発生しませんが、そのぶん充分な保障を受け取ることが可能です。そのため、安い保険料であっても積立型と同等、もしくはそれ以上の高い保障内容で加入することができます。

保障内容をより重視する方や毎月の保険料を安く抑えたい方に適しています。「保障期間=保険料を支払っている期間」となるものが多いので、とりあえず短期で保険をかけたい、という方にも向いている保険といえるでしょう。

掛け捨て保険に加入するデメリット

掛け捨て保険のデメリットは、支払い続けた保険料が戻ってこない点です。積立保険のように満期や解約時の払戻金などがないので、貯蓄を殖やす目的の方には不向きといえます。

また、掛け捨て型の生命保険の場合は一定期間で保証が切れてしまうものが多いので、更新や新たに契約をし直す必要があります。その場合、年齢が上がると比例して死亡率も高くなるので、更新ごとに保険料が高くなるというデメリットもあります。

特に50歳からの保険料は一気に高くなるので、掛け捨て型の保険に加入する場合は年齢ごとの保険料についてもあらかじめ確認しておくことが大切です。また、先述したように保険料を支払い続けている期間のみ保障されるものがほとんどなので、一生涯の保障とはなりません。

積立保険か掛け捨て保険か

上記のように、積立保険と掛け捨て保険では特徴が異なり、それぞれにメリットとデメリットがあります。いったいどちらを選ぶと良いのでしょう?

保険を選ぶポイントは、自分の目的や用途に照らし合わせて何を重視するかによって異なりますが、特にプランがない場合は充実した保障内容と高い利率で保険料が戻ってくる積立保険がおすすめといえます。貯蓄と保険機能を合わせて得ることができるので、たとえ保険料が高くなったとしてもその分の価値は充分にあるからです。

保険料を安く抑えたいなら掛け捨て保険

毎月の保険料をできるだけ安く抑えたいという方は、積立金を保険料として支払う必要がない掛け捨て保険がおすすめです。満期や解約時の払戻金を受け取ることはできませんが、その分安い料金で充実した保障内容に加入することができるでしょう。

長期的に高い保険料を支払い続ける自信がない方や、とりあえず短期で保険に加入したいという方に適しているといえます。また、保険料よりも他のことにお金を充てたい方も掛け捨て保険がおすすめです。

一生涯の保障や安心がほしいなら積立保険

一生涯の保障や安心がほしいと考える方には、積立保険がおすすめです。掛け捨て保険の場合は、保険料を支払った期間と保障期間が同一になるので、保障が生涯続くわけではありません。

しかし、積立型の終身保険の場合は満期まで保険料を支払い続けると、支払いが終了したあとでも死ぬまで一生涯保障が続くのです。保険料は高くなってしまう傾向にありますが、一生涯保障が続くのであればその分の価値はあり、満期になれば払戻金も受け取れるのでメリットは充分にあるといえます。

積立保険にはどんな種類がある?

貯蓄と保険の機能を合わせて利用できる積立保険ですが、その種類はさまざまにあります。一生涯保障が続く終身保険や、老後の備えに役立つ個人年金保険、死亡保障がついた養老保険、子どもの教育費に備えるための学資保険などがあげられます。終身保険は、低解約返戻型終身保険などその保険内容によってさらに分類され、保険料の支払い方法も異なります。それぞれにどのような特徴があるのか詳しく見ていきましょう。

終身保険

終身保険には以下のような種類があります。

<低解約返戻型終身保険>

解約払戻金の払戻率を保険料の支払い期間中のみ低くすることで、通常の終身死亡保険よりも安く加入できる保険です。満期まで払い続けた場合は、通常のものと同等の払戻金を受け取ることができます。

<外貨建て終身保険>

解約金や保険料などの支払いについて、すべてまたはその一部分が外貨で行われる終身保険です。円建ての終身保険と基本的には同様の仕組みですが、高い利率と資産分散効果が期待できるという特徴があります。

<変額保険>

支払った保険料の一部を保険会社が運用した実績によって保険金や解約払戻金が変動する終身保険です。基本的な保険金額は最低保障されるので、運用実績が悪くなったとしても死亡保険金を受け取ることができますが、解約時の払戻金は最低保障がなく、運用実績によっては支払い金額よりも低くなる可能性があります。

<一時払終身保険>

契約時に期間すべての保険料を一括で支払う保険です。それによって、一生涯の保障を受け取ることができます。

<積立利率変動型終身保険>

利回り変動型とも呼ばれ、積立利率に比例して保険金や解約払戻金が増える保険です。積立利率は定期的に見直され、上昇した場合は保険金や解約払戻金も増加しますが、金利上昇の見込みがない場合も契約時に定められた保険金は最低保障されるという特徴があります。

<アカウント型保険>

生命保険の保障と積み立て型の貯蓄機能が組み合わされた保険です。保障分は特約、専用の口座に積み立てられた保険料の一部が特約保険料になり、その比率は自由に設定することができます。

<個人年金保険>

私的年金のひとつであり、基本的に公的年金を補てんするために加入する保険です。個人年金保険に加入すると、契約するときに設定した年齢からある程度の期間、種類によっては生涯に亘って毎年決められた金額を年金として受け取ることができます。

自営業者や公的年金だけでは老後の生活に不安がある方に向けた、貯蓄型の保険です。退職から年金の支給開始時期までの生活費をあらかじめ準備しておくことができます。

<養老保険>

養老保険はその名の通り、老後を養う目的である長期的な貯蓄型の保険です。養老保険に加入すると死亡保障が付帯されるので、期間内は保障を受け続けられます。満期には死亡保障がなくなりますが、死亡保険金と同額の保険金が満期の際に受け取ることができます。

なかにはかなり手厚い保障内容のものもあり、満期まで保障を受けながら老後の貯蓄もできるので、将来の生活を考えて加入する方が多いです。途中解約の際に払戻金を受け取ることができますが、その金額は支払い続けた保険料以下になるので注意が必要です。

<学資保険>

学資保険は、子どもの教育資金に備えるための貯蓄型の保険です。商品によって異なりますが、進学のときや満期になると保険金を受け取れるので、資産と分けて子どものために貯蓄をすることができるでしょう。

万が一、契約者である親が亡くなってしまった場合でも満期や進学祝い金として保険金を受け取ることができ、保険料の支払いも免除されます。なかには払戻率が高いものもあり、支払った保険料よりも上回った金額の保険金を受け取ることが可能です。

まとめ

保険は私たちの生活において大切なもの。先が見えづらい現代において、老後や万が一のときのためにどのように備えるか考えることは重要です。掛け捨て保険と積立保険にはそれぞれにメリットがありますが、長い将来のことを考えると、保障を受けながら老後の備えとしての貯蓄ができる積立保険のほうがおすすめかもしれません。

自分や家族のことを考えて少しでも安心した毎日や老後を送ることができるように、今回の記事を参考に検討してみてはいかがでしょうか。