貯金があれば、急な出費が重なってもまだお金があるという安心感があります。精神面でもいくらか余裕が持てるでしょう。しかし、実際にはお金が貯められない人も少なくありません。もちろん、必要最低限な生活のギリギリの収入であれば貯金も難しいですが、そうでないケースも多いはず。

なぜお金が貯まらないのでしょうか?お金を貯めるために見直したいお金の使い方と貯め方、活用できる家計簿のつけ方を紹介します。

「貯めるために見直したいお金の使い方」

お金を貯めるための第一歩は、自分の習慣や生活を見直すことにあります。それは、お金が貯められない原因の1つが、日々に支出に関係しているため。簡単に計算すると、収入から支出を差し引いた分が、貯金に回せるお金ということになります。

収入を上げる方法もありますが、収入アップには副業なども考えていかなくてはなりません。そうなると時間的な問題や初期投資の問題も発生してくるでしょう。ですが、支出の見直しであれば誰でもすぐにできるはずです。見直したいお金の使い方、4つのポイントをみていきましょう。

■ 支出の見直しをする

毎月の支出に無駄があると、それだけ貯蓄に回せるお金は減ってしまいます。毎月、何にいくらくらい使っているか、無駄な支出がないか見直すことは大切です。

まずは、毎月支払う額が決まっている固定費と毎月支払い額が変動する変動費に大まかに分けてみましょう。中でも見直し効果が高いのは、毎月の額が決まっている固定費の見直しです。見直しによって毎月の支払い額が確実に減るので、出費をがっちり抑えることができます。

収入に対して高い住居費の割合が多すぎないか、無駄に保険の契約をしていないか、車は本当に必要か、携帯電話を格安SIMに変更できないかなど1つ1つ契約を見直していきましょう。しっかり見直せば、無駄に契約している部分もあるはずです。

次に、変動費。変動費とは、食費や衣服代、交際費など毎月支出額が変わる支出のことです。無駄な外食が多い場合は自炊を頑張ってみる、サンプルやモニターなどを活用してみるなどしてセーブできる方法を考えてみましょう。

変動費の大幅な削減は日々の幸福度にも関係してくるので、削りすぎないでバランスとることが大切です。忙しい日は外食OKなど自分ルールを決めてみるのも効果的ですね。

■ いつの間にか使っているラテマネーを節約

ラテマネーとは、日常の小さな支出のこと。もともとは、アメリカで資産アドバイザーをしている人の著書で出てきた言葉です。「ラテ」という言葉からもイメージできるように、普段手にするコーヒーの他、カフェやファストフード店などで何気なく購入している飲食物など無駄な支出のことを指します。

自動販売機で購入したジュース、コンビニやドラッグストアで買ったお菓子、ネットショップでのちょっとした無駄遣いも広義ではラテマネーです。

こうしたラテマネーは、1回あたりの支出額が数百円など小さいことからか、お金を消費しているという意識が弱まってしまいます。「100円だしいいか」「300円くらい使っても問題ないよね」と、普段節約を意識している人でも気を緩めてしまいがちなのです。

もちろん小さな幸福を感じられる程度の生活の質を維持することは大切なので、すべてのラテマネーをカットするべきというわけではありません。「塵も積もれば山となる」という言葉があるように、1回あたりの支出額は少なくても、回数を重ねるといつの間にか大きな額になってしまうことを意識するべきだということです。

例えば1日350円ジュースやタバコなどのラテマネーが発生したとして、1カ月30日で10,500円、1年にすると127,750円にも膨らんでしまいます。10年たつと約130万円の無駄な出費です。こうしてみると結構大きな額に思えてくるのではないでしょうか?

■ 貯蓄専用の口座を作る

管理が面倒だからと、普段使用する銀行口座と貯金に使う口座を使い分けていない人もいるかもしれませんね。この口座を1つにまとめる行為は、一見管理を簡単にしているように思えて、実はお金の管理を複雑にし、無駄遣いを助長させる原因になっています。

普段から使うメインバンクと、貯蓄専用口座とでお金を分けていない場合は、貯蓄がいくらか聞かれてすぐに答えられない人もいるはずです。

普段使用している口座にまとめて貯金している場合は、貯蓄専用の口座を作って、貯金と普段の生活用で分けて使用するようにしましょう。メインバンクからお金が移動することによって、実際に使える額が視覚化され、無駄に買い物することが減るはずです。

また、新しく作った銀行口座を貯蓄専用口座にすることによって、貯金がいくらあるかすぐにわかるようになります。さらに、貯蓄が増える楽しみから貯蓄している口座からわざわざお金をおろして使おうという気持ちもなくなり、貯金のモチベーションもあがるので、いいとこどりです。

■ お財布の整理を習慣にする

お財布の中が汚い人は貯金もうまくできないといわれることがあります。これは、「お財布が汚いからお金が逃げてしまいたくなる」という迷信的な意味ではありません。

お財布の中身は、普段の生活の表れです。日々の生活態度の縮図そのもので、お財布の中身がレシートやポイントカードであふれている人は、管理がずさんだと物語っているようなもの。つまりは、お金の管理もうまくできていないということです。実際、お財布にレシートやポイントカードがパンパンに詰め込まれている人は、ポイントカードを利用したい場面でなかなか見つからないという状況になったこともあるのではないでしょうか?

貯金という直接的な行動も大切ですが、お金を貯めやすい環境にするためにも間接的な部分の見直しもしていきましょう。レシートを毎日整理すれば家計簿をつける習慣も身につきますし、小銭が多くなったときに貯金箱に入れれば自然に貯金の習慣も身につくようになります。

「支出の見直しに役立つ家計簿のつけ方」

お金を貯めるために見直したい普段の習慣について、お財布の中の整理を紹介しました。そんなお財布の中を整理するときに一緒にやっておきたいのが、家計簿をつけることです。

家計簿は、毎日の収支を把握して改善していくための大切な資料。家計簿をつけることが目的になってはいけませんが、うまく使えば生活の質を保ちながら節約や貯金ができるようになります。

家計簿をつけることから、支出の見直しに繋げるにはどうするべきか、日々の生活の見直しに役立つ家計簿のつけ方のコツ3つをみていきましょう。

■ 細かく管理する

せっかく家計簿をつけても、つけるだけで満足してしまうパターンがあります。これは、無駄に家計簿をつける労力がかかるだけで、悪いケース。つけるだけで満足してしまうのにはさまざまな原因がありますが、家計簿が見直しにくいのも原因の1つです。

極端な話、毎日使った金額だけ記入していく家計簿だと、何にいくら使ったのが見えてこないですよね。何に使ったお金かわからなければ、どこに無駄があるのかわかりません。このように、無駄を把握できない状況にならないためにも、細かく管理するのが家計簿のコツです。

ただ細かく管理するからといって、食費からお米代、調味料代などのようにこと細かに分ける必要はありません。食費なら食材費か外食費か、教育費なら塾代か習いごとかなど、後でパッと見て無駄がわかるようにつけるのがポイントです。

少し難しいと感じるときは、家賃や保険などのように毎月決まって出ていくお金なのか、旅行や冠婚葬祭などその月だけの特別な支出なのか、化粧品や外食などぜいたくのためのお金なのかだけでも分けておきましょう。それだけでも、どこに支出が集中しているのか見えやすくなります。

■ 重要項目だけ管理する

家計簿をつけたら、すべての費用を管理しなくてはならないと考えてはいませんか。ずさんな管理も問題ですが、細かく管理しようと張り切りすぎるのも失敗のもとです。細かく管理しようとすればするほど、家計簿をつける行為を面倒にしてしまい、いずれは家計簿すらつけたくなくなってしまいます。

すべての項目を管理するのではなく、重要項目に絞って管理するのが貯まる家計簿のコツ。例えば、毎月決まって出ていく固定費、家賃や保険、通信費あたりは定期的に見直せば良いもので、毎回見直す必要はありません。

毎月支払い額が変動する変動費でも、必要な支出である病院の治療費、子どもの教育費、家電購入、冠婚葬祭などの特別な出費も見直す必要はないでしょう。見直すべきなのは、食費や衣服代、化粧品、飲み代などの交際費など見直すことで改善できそうな費用のみ。重要な項目に絞って管理すれば良いのだと考えれば、家計簿をつけることによる負担も軽くなるはずです。

■「消費・浪費・投資」で管理する

例えば毎月の食費に50,000円かかったとして、50,000円すべてがカットできるわけではないですよね。食費50,000円の中には、自炊など日々の生活に必要な食費、外食などごほうびとしての食費、仕事関係など将来に繋がる食費があるはずです。

家計簿をつけて賢く貯金をできる人は、必要な支出(消費)、楽しみやぜいたくのための支出(浪費)、将来のための支出(投資)をうまく分けることができています。なお、この中で削れる支出は、消費や投資ではなく浪費です。

消費を削ってしまうと日々の生活の質に不満を抱くようになりますし、投資を削ってしまうとせっかくのチャンスを逃してしまうことになります。いつまでもお金が貯まらないどころか、ずっとお金が貯まりにくい生活に繋がってしまうのでおすすめしません。食費や娯楽費などのように項目ごとに分けることももちろん大切ですが、消費なのか、浪費なのか、投資なのか、3つの種類にあてはめて家計簿をつけるようにしましょう。

浪費の部分が多ければ単純に浪費をカットすることでお金が貯まりやすくなりますし、特に無駄がない場合は固定費の見直しなど別の部分に目を向けることができます。

「家計簿はアプリとノート、おすすめは?」

家計簿を本格的につけられるだけの環境は、現代ではすでに整っています。例えば、書店に行けば家計簿の本を見つけることができますし、スマートフォンでアプリを見つけることができます。ノートがあれば、自作の家計簿にすることだって可能です。

せっかく家計簿をつけはじめるなら、自分に合った方法ではじめたいもの。家計簿をつけ続けるには自分に合ったものを選ぶのがポイントです。家計簿アプリ、ノート式家計簿、それぞれのメリットとデメリットを紹介します。

■ 家計簿アプリのメリット・デメリット

スマートフォンやタブレット、パソコンなど有料のものから無料で使えるものまで、家計簿アプリの充実によって選択肢が増えてきました。そんな家計簿アプリのメリットは、利便性が高いことです。

まずは持ち運びのしやすさ。スマートフォンのアプリを利用すれば、いつでも確認したいときに家計簿を見ることができます。同じアカウントでログインすれば、家族とも共有できるので、家族みんなで節約意識を持って利用していきたいときに便利です。

また、計算のしやすさや機能が充実しているのも家計簿アプリのメリット。家計簿に誤りがあっても、計算の自動化によってすぐに修正できますし、自動連携機能などで面倒な銀行やクレジットカードの履歴も簡単に読み込むことができます。

一方のデメリットは、操作性と見にくさ。さまざまな機能がある反面、それが仇となって使いにくかったり、画面が見にくいと感じたりすることもあります。自分で使いやすいアプリを見つけるまでいろいろ試してみる方法もありますが、また1から入力し直さなければならないのが面倒です。

■ ノートの家計簿のメリット・デメリット

ノート家計簿のメリットは、シンプルでアレンジがしやすいことです。家計簿アプリのように画面をいったりきたりする必要がないので、混乱することも少なくなります。使い慣れたら家計簿アプリも便利ではありますが、アプリが操作しにくい場合はノート家計簿の方がわかりやすいです。

市販の紙の家計簿を購入する方法もありますが、独自にノートを使って家計簿を作成する方法もあります。自分好みにアレンジできるので、家計簿つけが楽しくなるのもノート家計簿のメリット。目標を達成したらシールを貼るなど工夫のしかたも無限大です。また、アプリのように操作ミスでデータが消える心配がないので、アプリの操作が向かない場合はノートによる家計簿の方がメリットは大きいでしょう。

一方のデメリットは記入が面倒なこと。家計簿アプリのような自動連携機能、レシート読み込み機能がないので、自分で1つ1つ確認して家計簿をつける必要があります。そうすると、費用が細かく分かれているほど記入が面倒になりますし、計算ミスも起こりやすくなります。

「家計簿を続けるコツ」

せっかく家計簿をつけはじめても、最初の勢いだけですぐに止めてしまう人もいるかもしれません。家計簿をしっかりつけることは大切ですが、それよりも続けることの方が重要。これまで家計簿が続いたことがない人は、多少おおざっぱでも良いので、まずは家計簿を続ける習慣から身につけていきましょう。家計簿を長く続けるためにはどんな工夫をすれば良いのか、3つのポイントを紹介します。

■ 固定費と変動費で管理する

家計簿を長く続けるためのコツの1つは、費用を分けるときは細かく、管理するときは固定費と変動費でざっくり管理することです。固定費とは毎月の支出が決まっている費用のことで、変動費は毎月の支出が変動する費用のこと。保険や家賃、通信費などは固定費、食費や交際費などは変動費に該当します。

固定費の場合は契約を見直さないと基本的に金額が変わることはありません。反対に変動費は、毎月の使い方を見直すことで支出額を抑えることができます。固定費は年1回など定期的に見直すもの、変動費は毎月見直すものとして、分けて考えるようにしましょう。

■ 出費を必要・あっても良い・不要に分ける

支出の見直しに役立つ家計簿のつけ方として、支出を細かく分けること、消費・浪費・投資に分けることを紹介しました。費用をこのように分類しておくのは、後で見直すとき、どのような性質の出費なのかわかりやすくなるためです。

さらに家計簿を長く有効活用するためには、各費用を必要なもの、あっても良いもの、不要なものの3つに分けることが大切。分類したら、不要なものは来月購入しないようにしましょう。教育費や車検などで多額の出費がわかっているなら、あっても良いものの購入もできるだけ控えるようにすると家計の無駄も減っていきます。

また、もともと不要なものをカットする方法のため、生活の質が極端に落ちたと感じることがないので、家計簿による見直しを負担に感じることもありません。

■ 用途不明金は多少なら許容範囲

家計簿は可能な限りしっかりつけるのが理想ですが、神経質に考える必要もありません。例えば、自動販売機で購入したジュース代をつけ忘れたなど、多少の用途不明金が発生しても許容範囲として考えましょう。

用途不明金が数千円~数万円にまでなると何に使ったか問題ですが、多少の額なら大目にみるのも長く家計簿をつけていくためのコツです。用途不明金があまりに多い場合は、レシートがないものはその場でスマートフォンを利用してメモしておくなど習慣づけておくと安心ですね。

まとめ

お金を貯めようと思い立ったなら、その日こそが吉日。ここまでお金を貯めるために見直したい使い方、お金を貯めるための家計簿の活用について紹介してきましたが、モチベーションがあがらないと行動には繋がりません。お金を貯めたいと思ったその日に行動を開始しましょう。

特に家計簿は、ノートタイプのものもアプリタイプのものも身近にあるのではじめやすいです。毎日の行動が習慣に繋がるので、まずはどんな形でも良いので家計簿をつけることを意識してみましょう。その中で、どんな費用なのか少しずつ工夫していくだけでも家計に変化は表れるはずです。