給与の振り込みのために、銀行の普通預金を利用している人も多いと思います。こうして、一般に浸透している普通預金ですが、銀行の預金口座といえば定期預金もよく知られていますね。イメージとしては、普通預金よりも少し金利が良いというところでしょうか。

基本的にどの銀行でも、普通預金よりも定期預金の方が金利の設定が高めなのですが、なぜ定期預金は普通預金よりも金利が優遇されるのでしょうか。低金利の現代だからこそ考えたい、定期預金のメリットと活用のしかたについてお話していきます。

定期預金とは

普通預金よりも金利のつくイメージがある定期預金ですが、なぜ定期預金は金利面で優遇されているのでしょうか?

実は、定期預金の金利のひみつには、定期預金の仕組みが大きく関係しています。定期預金を契約する前に知っておきたい、定期預金の基礎知識や定期預金で契約するメリットを整理していきましょう。

■定期預金とは

定期預金は、期間を定めた預金のこと。一定の期間だけ金庫にお金を入れて、期限が到来したら金庫からお金を取り出すようなイメージです。なお、定期預金で定めた期限が到来した日のことを「満期日」といいますが、満期日がきて自動的にすべての預金を引き出し、普通預金に入金する方法を「自動解約型」といいます。

自動解約型のように定期預金に入れた分、すべてを戻すこともできますが、「自動継続型」を選択すれば満期が過ぎた後も引き続き同じ条件で定期預金を利用可能です。自動継続型には、はじめに定期預金に入れた額のみを継続対象にする「元金継続」と、利息も含めて継続する「元利継続」があります。

定期預金は金融機関によって設定できる期限が変わってきますが、短ければ週単位、長ければ5~10年の期間を設定できます。定期預金を利用して、満期日が到来しても資金に余裕がある場合は、自動継続を利用するのも手ですね。

■定期預金の仕組み

定期預金は、普通預金よりも金利面でお得なことが多いと冒頭で紹介しましたが、定期預金の金利が優遇されているのには、定期預金の仕組みが深く関係しています。

定期預金は期間を定めた預金と紹介したように、設定した期間中は、基本的に定期預金からの払い戻しができないためです。厳密にいうと解約できないわけではありませんが、満期日が来る前に解約すると金利にペナルティが発生し、本来受け取れるはずだった金利分の利息が受け取れません。

金利が0%にリセットされるわけではありませんが、設定した期間によっては、契約した銀行の普通預金口座の金利に限りなく近い金利にまで落ちてしまうでしょう。そうした理由もあって、定期預金の利用中に途中で解約することは、どうしてもお金が必要になったとき以外おすすめしません。

ではなぜ、定期預金の方が金利の設定が高めになるのでしょう?期間の縛りがあるということは、利用者だけでなく、金融機関の経営にも絡んできます。金融機関も口座の利用者のお金を運用して利益を生み出しているわけですから、一定期間引き出しのない定期預金は計画が立てやすく金融機関にとって扱いやすいというわけです。

■定期預金のメリット

定期預金利用の大きなメリットは、普通預金と比べて金利がつくことです。金融機関によって金利の設定は変わってきますが、普通預金の5~10倍程度、期間が長ければさらに金利がつくよう設定しているところもあります。

金利が多めにつくということは、それだけお金が増えるスピードが早いということ。同じ金額を預金するなら、普通預金よりも定期預金の方がお金は貯まりやすくなります。しかも、定期預金の期間が長いほど、預け入れる額が大きいほど、得られる恩恵は大きいです。

ただし、ネックになるのが定期預金による期間の縛りではないでしょうか。いつかお金が必要になったらと不安でなかなか利用できない人もいるかもしれませんね。しかし、解約は絶対にできないわけではないのでお金がどうしても必要なら解約、はじめは少額、期間短めに、余剰資金で運用することを考えれば、そこまで定期預金を利用するハードルは高くないはずです。

低金利時代で、普通預金で運用していてもなかなかお金が増えない現代だからこそ、定期預金をうまく活用することも考えていきましょう。

定期預金の金利の決まり方

ここまで定期預金の仕組みと、普通預金との金利の違いを紹介してきましたが、銀行の預金口座の金利はいつも一定なわけではありません。近年の低金利では大幅に金利が変更されることは稀ですが、気づいたら0.001%単位、0.01%単位で変わっていたということもあります。

定期預金の金利は、どのような理由で変動しているのでしょうか。定期預金の金利の決まり方と、普通預金との違いを知りましょう。

■市場金利の動向で決定する

2018年時点でのメガバンクの定期預金金利は、0.01%が目安です。これは、100万円の定期預金を1年間したときに100円の利息が入ってくる計算になります。ずいぶん利息が少ないなと思った人もいるかもしれませんね。

実は、定期預金に限らず銀行の普通預金の金利は、市場金利の動向によって決まっています。市場金利とは、金融機関同士の金銭の貸し借りで使われる金利のこと。市場金利というとたちまち難しくなってしまいますが、要は日本の景気が客観的に良いか、悪いかでおおまかな金利は決まります。

2000年代は、ずっと低金利が続いていて金利の変動がないように感じますが、実は少しずつ金利は動いています。ただし上げ幅がないため、ずっと1%以下の低金利で動いている状態。日本銀行が金利を下げていったという背景もありますが、景気が以前のように回復していないことが1つの要因となっています。それではなぜ、景気に合わせて銀行の金利も下がる傾向にあるのでしょうか?

銀行側の立場になるとわかりやすいですが、景気の悪いときに誰にでも融資すると銀行は破綻してしまいます。お金を貸す基準が厳しくなりますし、資金需要自体も落ちるために、利用者に金利として還元できる分が減ってしまうわけです。反対に、景気が良いと資金需要が増え、銀行も融資に積極的になる傾向にありますから、定期預金の金利は高くなります。2000年以前のバブル経済の際は、定期預金の金利1%以上、中には10%に近い金融機関もあったようです。

■定期預金と普通預金の違いは?

ここまで定期預金の特徴と金利について紹介してきましたが、よく利用される普通預金との違いはどこにあるのでしょうか。それぞれの特徴とメリットから、2つの違いを見ていきましょう。

まず定期預金の、大きな特徴は普通預金よりも金利がつきやすいことです。定期預金のメリットでも紹介したように、同じ金額の貯金なら普通預金よりもお金が増えるスピードが上がります。しかも、定期預金の特徴である期間の縛りによって、そう簡単に解約できないため、お金があると思って貯金を使いこむことも減るでしょう。

それでは普通預金は意味がないのか?確かに金利面では定期預金の方がお得ですが、普通預金はお金を引き出しやすいという流動性の高さがあります。定期預金のように期間途中の解約のわずらわしさもないので、すぐにお金を準備したいときに便利です。

定期預金は金庫、普通預金はお財布の役割とイメージするとわかりやすいかもしれませんね。それぞれ役割が違うため、どちらが良いというわけではなく、使い分けが大切です。

定期預金を選ぶポイント

ここまで、定期預金の仕組みや金利の考え方を解説してきましたが、基礎がわかっても実際に活用できないと定期預金を使う意味がなくなってしまいますよね。定期預金のメリットを最大限に活用するには、どの定期預金を選ぶかが大切です。

銀行によってはキャンペーンを行っているところもありますが、キャンペーンよりも重視したいのが定期預金の期間と金利です。

■期間が短く金利が高い商品がおすすめ

定期預金を利用するなら、期間が短く、かつ金利が良い商品を選びましょう。3年や5年のように中長期で設定できる定期預金もありますが、あまりに長いと将来どうしてもお金が必要になったとき、解約によって損をする可能性があります。

また、定期預金は期間が長いほど金利が高くなる傾向にはありますが、1年や3年を区切りにそれ以上の期間は金利が同率ということも多いです。なぜかというと、市場金利によって動く定期預金の金利を高く設定すると銀行側のリスクが大きくなってしまうため。定期預金は、長ければ長いほどよいというわけではありません。

仮に、1年と2年の定期預金の金利が0.01%で同じなら、はじめに1年で設定して、自動継続を選択した方が、1年の満期日に確実に金利分が上乗せされるのでおすすめです。ただしあまりに短すぎると金利が低くなってしまうので、1カ月から1年を目安に考えるとよいです。

まとめ

定期預金は、銀行に管理してもらう金庫のようなもの。普通預金と比べて金利がつく傾向にありますが、その分期間的な縛りが発生します。定期預金の特性をよく理解したうえで利用しましょう。

また、定期預金は選ぶ商品次第で手元に入ってくる利息が変わってくるので、できるだけ短期間で契約できて、かつ金利が相場より高めに設定されている商品を選ぶのがコツ。お得な定期預金ライフでがっちりとお金を貯めましょう。