投資をはじめてもうまくいかない、安定しない…。そんな悩みはないでしょうか。投資がうまくいかない理由はいくつかあると思いますが、そもそもの投資スタイルの基礎を知らないのも1つの理由かもしれません。投資をするにあたって知っておきたいのが、分散投資です。

分散投資とは、資産を分散させて投資する方法のこと。分散投資といっても、金融商品を分散させる方法だったり、投資する期間をずらすものだったりさまざまなです。方法やメリット・デメリットも確認してみましょう。

リスク回避になる分散投資とは?

資産運用に関心を持って、実際に試している人もいると思います。しかし、なかなか失敗続きでうまくいかないこともあるのではないでしょうか。1つの資産運用のスタイルとして知っておきたいのが、分散投資です。1つの資産運用にこだわって失敗が続いているのなら、投資スタイルがあっていないのかもしれません。分散投資を試してみる価値はあります。そもそも分散投資とは何か、注目される理由と合わせて紹介します。

分散投資とは?

資産はどのように運用していますか。おそらく銀行預金や貯蓄型の生命保険に加入していると答える人が多いのではないでしょうか。このように資産を1ヶ所、または2ヶ所程度にまとめて管理・運用することを集中投資といいます。資産がまとまっているので管理しやすいのが特徴です。

一方、資産を預金や生命保険、株式、投資信託、金などいくつにも分けて投資することを分散投資といいます。また、株式など時間差で投資して価格の違う金融資産を持つことも分散投資の一種です。

集中投資と分散投資、どちらがよいかは優劣つけにくいですが、集中投資は金融商品によっては大きく資産を増やすメリット、分散投資はリスクを分散させて損失を抑えるメリットがあります。ある有名な投資家も、分散投資によって長期的な資金運用に成功しています。

分散投資が注目される理由

資産運用において注目されている分散投資。理由はリスク回避に役立つためです。例えば、近頃ではリーマンショックによって為替が大きく変動し円高ドル安の流れになりました。そうした突然のニュースは誰もが予想できたわけではないはずです。リーマンショックなど突然の大きなニュースで資金を溶かしてしまった人もいます。もしFXなど為替取引に多くの資産をつぎ込んでいたなら、大きな損害を被ったことでしょう。

改めて分散投資が注目されるのは、このような不測の事態でも立ち直れなくなるようなダメージを抑えて、安定して投資を続けられるためです。分散投資で、預貯金、金、株式、投資信託に資産を分散させていた場合、インフレや経済悪化などで1つの投資先が希望のない状況になってしまっても、他の投資先はまだ生きている可能性があります。全ての資産を無駄にしなくて済むこともあり、分散投資に注目が集まっています。

分散投資のメリット・デメリット

注目の分散投資ですが、分散投資を実行したのだから間違いないとは断言できません。分散投資がそこまで優れているわけではないためです。確かにリスク分散にはなりますが、裏を返せば利益も分散されます。メリットだけでなく、デメリットも確かに存在しているのです。

分散投資を活用したいなら、メリットとデメリットの両方を知って、分散投資の性質をよく理解しておくことが大切。分散投資のよさと欠点を解説します。

分散投資のメリット

分散投資が注目される理由で紹介したように、分散投資のメリットはリスクが分散できることです。まず、資産を分散して1つの投資先に対するリスクを抑えられるメリット。例えば100万円を1つの投資先につぎ込むのと、20万円ずつ5つに分けるのとでは違います。投資先Aの額が取得額の半分になった場合、投資先Aに100万円つぎ込んでいたら50万円に大きく落ち込んでしまいます。分散投資の場合、20万円投資していたAの額が半分になっても10万円です。残りの投資先に変動がない場合は、90万円の資産を守ることができます。

また、時間的な分散投資のメリットとしては相場に振り回されないメリットがあります。分散投資の場合は、時間をおいて複数投資するため1に失敗しても2、3があるので相場にこだわって無理にタイミングを見極める必要がありません。

分散投資のデメリット

デメリットは管理が大変なことです。同じ分散投資でも5つに分けての投資であればまだ把握できるかもしれませんが、投資先が10、20と増えていくと、どこにいくら投資したか把握しづらくなってしまいます。さらに、投資先を増やすことで売買手数料などのコストもかさんでしまうのがデメリットです。

もう1つ、1回あたりのリターンが減ってしまうのも分散投資のデメリット。同じ金融商品に100万円投資したのと20万円投資したのではまったく違います。リスクは分散できますが、その分利益を得る機会を逃してしまう可能性が高まります。

このように、注目される分散投資も万能ではありません。集中投資、分散投資にはそれぞれのよさや欠点があります。リスクを回避したいのか、コストを抑えたいのか、何を重視して投資をしたいのか考えて活用しましょう。

具体的な分散の方法

分散投資は資産を分散させることですが、いくつか方法があります。通貨を分散させる方法、金融商品の種類を分散させる方法、時間を分散させる方法です。分散投資を賢く活用するには、どのような分散方法があるのかを知ることも大切。分散方法を知ることで、資産の形成や資産運用の安定に繋げられるためです。各分散方法の具体的な内容と注意点を確認してみましょう。

通貨の分散

通貨の分散とは、日本円だけに目を向けるのではなく、米ドルや豪ドル、英ポンドなどさまざまな通貨に目を向けて資産を分散させることです。通貨は、その国の経済などに関係してくるため、国の経済悪化にともない通貨が下落する可能性もあります。外貨投資など、1つの通貨だけでなく複数の通貨を資産として持つことで、経済悪化による通貨価値下落のリスクを抑えることが可能です。

また、通貨は通貨そのものだけでなく、通貨に関連するもの、例えば日本株式や日本の債券にもかかわってきます。通貨投資である外貨預金だけでなく、外国株式や外国の債券に目を向けてみるのも分散投資の第一歩です。

通貨の分散から考えると、預金や保険、株式や投資信託など資産を分散しているように見えて、実はほとんど同じ国の通貨に繋がっている場合もあります。金融商品だけでなく、通貨にも注目したいですね。

種類の分散

種類の分散とは、1つの金融商品に絞らず、複数の金融商品に資産を分散させることです。金融資産にもさまざまな種類があります。日本でメジャーなものは、銀行預金や貯金でしょう。銀行預金などは流動性が高く元本割れのリスクも少ないメリットがありますが、ローリターンで特に低金利時代においては元本を元手にした収入に期待できません。

銀行預金などとは逆にリターンを狙えるのが、株式投資や投資信託のような金融商品です。投資のタイミングや利益確定のタイミングも関係してきますが、資産を増やせる可能性が銀行預金などのローリターンの金融商品よりは高めです。しかし、その分元本割れするリスクが高まります。

このように金融商品は一長一短ですので、1つの金融資産でなく、いくつかに分散させる方が、デメリットを減らし、同時にメリットを享受しやすくなります。

時間の分散

分散投資には、時間を分散させる方法もあります。時間の分散は、価格が変動しやすい株式投資などでよくみられる手法です。メソッドとしては、価格が下がったときに買って、上がったときに売るのがベストですが、チャートの動きがある状態で見極めるのは難しいです。意図せず高い価格で一気に購入してしまう可能性があります。

時間の分散とは、相場を見極めて1回で購入や売却するのではなく、複数回に分けて買って、価格変動によるリスクを抑える手法。時間差で複数に分けて投資することによって、一回で購入や売却を決めるギャンブル的な要素が減り、より安定して売買ができるようになります。

また、時間の分散は積立方式で投資したいときにも使える方法。長期的な視点で、価格が安いときにまとめて購入して、価格が上がったときに購入する量を抑えるなどのコントロールも可能です。

分散しすぎは逆効果になることも

分散投資には、通貨による分散、種類による分散、時間による分散がありますが、全てを取り入れればよいとは限りません。分散投資にこだわりすぎるあまり、失敗を招くこともあります。

例えば株式投資で複数の投資先へ投資する場合です。分散投資のために20ほどの投資先を選ぶとします。じっくり考えて選ぶなら問題ないですが、分散投資にこだわりすぎると、選定の基準が甘くなって、今までは選ばないような投資先を選んでしまいがちです。

分散投資はリスク回避になりますが、そもそも利益を得られそうにない投資先ばかりを選択してしまうと、分散投資のよさが生きてきません。分散投資をしたことによって、かえって資産の無駄遣いをすることもあります。

また分散投資のデメリットでも紹介したように、分散投資にこだわりすぎると投資先が増えて管理がしづらいです。どこにどのくらい投資したかの状況の把握だけでなく、管理する投資先が多すぎるとエントリーのタイミングを逃して、利益を得る機会をみすみす逃してしまう可能性だってあります。

まとめ

注目される分散投資ですが、よい面もあれば欠点になる部分もあります。安定した投資の方法としては確かに魅力的ですが、分散投資だけにこだわるのもよくありません。こだわりすぎて資産運用で失敗をみることもあります。

なにごともバランスが大切。分散投資の反対の位置にある集中投資も性質を知れば悪いものではありません。安定して資産を運用するにはどうすればよいか、まずは実践を積んで自分に合った方法をみつけていきましょう。