国民年金には、日本に住所を有する20歳以上60歳未満のすべての人が加入することになっています。終身年金である公的年金は老後の生活資金として重要なものであり、何歳からどれくらいもらえるのかを把握しておきたいものです。自分自身の年金の加入期間を把握して、老後に備えたライフプランニングの基礎となる公的年金の仕組みについて考えていきましょう。
国民年金の被保険者の種類と加入年齢は?
平成29年8月1日から、老齢年金を受け取るのに必要な資格期間は25年以上から10年以上に短縮されました。これは、過去に事情があって年金を掛けられなかった方などを救済する目的のものであり、本来、公的な年金制度は法律で加入を義務付けられています。国民年金の被保険者には、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者まで3種類あります。20歳からは必ず国民年金に加入することになりますが、被保険者の種類によって保険料の納付方法や加入期間にどのような違いがあるかみていきましょう。
年金は10年掛ければいいというわけではありません
老齢年金を受け取るのに必要な「資格期間」とは、国民年金の保険料を納めた期間や免除された期間、厚生年金保険や共済組合などの加入期間、年金制度に加入していなくても資格期間に加えられる期間など(「カラ期間」と呼ばれる合算対象期間)を合計した期間をいいます。この期間が10年以上あると受給権を満たすことになりますが、公的年金制度は自由に辞めることはできません。また、年金の金額は納付した期間に応じて決まるので、払い込んだ期間が長いほど受給金額が増えることになります。老後の生活資金を考えると、受給金額を増やすことも考えたいものです。
自営業やフリーター、学生、無職の方などの場合
日本国内に住所がある20歳以上60歳未満の人で、以下で説明する第2号被保険者や第3号被保険者に該当しない人などが、第1号被保険者となります。
国会議員・地方議員やその配偶者、被用者年金制度(厚生年金保険や共済年金など)の障害年金受給権者やその配偶者、被用者年金制度の遺族年金受給権者も第1号被保険者となりますが、これらの人でも被用者年金制度に加入している人は第2号被保険者となります。
保険料は原則20歳から60歳まで自分で納めることとなりますが、事情に応じて免除や猶予の制度があります。
サラリーマンなど厚生年金に加入する方やその配偶者の場合
厚生年金保険の適用を受けている事業所に勤務する人は第2号被保険者となり、自動的に国民年金にも加入します。65歳以上の人は、老齢・退職年金の受給権がない場合のみ第2号被保険者となります。厚生年金保険は70歳まで加入する義務があるため、保険料は会社を通じて給料から控除され、70歳まで納めることになります。
第3号被保険者とは、第2号被保険者の配偶者で20歳以上60歳未満の人をいい、保険料は配偶者の被用者年金制度から拠出され、個人で納める必要はありません。ただし、健康保険の被扶養者となれない人(年間収入が130万円以上の人など)は第3号被保険者となることはできません。
年金はいつからもらえるの?
国民年金も厚生年金も原則65歳から受給することができます。納めた期間に応じて受給金額が計算されますので、これまで納めた期間を把握することが大変重要になります。
ただし、65歳未満の方に支給される老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)は、1年以上の厚生年金保険の被保険者期間が必要であり、昭和16年(女性は昭和21年)4月2日以後に生まれた方は、60歳から65歳になるまでの間、生年月日に応じて支給年齢が引き上げられています。年金の受給年齢や受給金額は生年月日などによりそれぞれ異なるので、事前にご自分の年金について年金事務所で相談し、確認することをおすすめします。
資格期間が10年ない!今からでも間に合う?
事情があって資格期間が足りずに年金がもらえないという方はどうすればいいでしょうか?国民年金では、年金の受給資格期間を満たさない場合や40年の加入期間に足りず年金の金額を増やしたい場合に、60歳から65歳まで加入できる任意加入制度があります。それでも年金の受給資格を満たさない人には、65歳から最長70歳到達まで任意加入できる特例の制度があります。その他、70歳以上になっても資格期間を満たすまで厚生年金保険に加入できる制度や平成30年9月まで利用できる後納制度、過去の保険料を納める追納制度などさまざまな方法があります。
その場合は、諦めずにまずは年金事務所へ相談しましょう。