「育休中は社会保険料が免除されると聞いたけど、何もしなくても免除されるの?」「産後パパ育休でも免除になる?」「免除期間は年金に影響するの?」育休中の社会保険料免除は家計にとって大きなメリット。仕組みと手続き、復職後の注意点をわかりやすく解説します。
📋 目次
1. 育休中の社会保険料免除とは?
2. 免除になる保険料の種類と金額
3. 免除の申請手続き:誰がどうやって行うのか
4. 産後パパ育休(出生時育児休業)でも免除になる
5. 免除期間の年金・将来の受取額への影響
6. 復職後の社会保険料変更に注意
7. まとめ
1. 育休中の社会保険料免除とは?
育児休業中は、健康保険料・厚生年金保険料が全額免除されます。これは健康保険法・厚生年金保険法に定められた制度で、会社員・公務員(第2号被保険者)が対象です。
免除の基本ルール
- 免除期間:育児休業を開始した月から、育児休業が終了した月の前月まで
- 対象者:育児休業を取得した会社員・公務員(健康保険・厚生年金の被保険者)
- 自己負担分だけでなく、会社負担分も免除される点が大きなポイント
💡 ポイント
社会保険料は通常、本人負担と会社負担の折半(約半々)です。免除によって本人分+会社分の両方がゼロになります。会社にとっても大きなコスト軽減になります。
2. 免除になる保険料の種類と金額
免除される保険料の種類
| 保険料の種類 | 免除の有無 |
|---|---|
| 健康保険料 | ✅ 免除 |
| 厚生年金保険料 | ✅ 免除 |
| 雇用保険料 | ❌ 免除されない(育休中は給与がないため実質発生しない) |
| 介護保険料(40歳以上) | ✅ 免除(健康保険料に含まれる) |
免除額のシミュレーション例
月収30万円(標準報酬月額30万円)の方が1年間育休を取得した場合の免除額目安:
| 保険料 | 月額(本人負担分) | 1年間の免除額(本人分のみ) |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 約14,850円 | 約178,200円 |
| 厚生年金保険料 | 約27,450円 | 約329,400円 |
| 合計 | 約42,300円/月 | 約507,600円 |
さらに会社負担分も同額免除されるため、実質的な免除総額は本人分の約2倍になります。
⚠️ 注意
上記はあくまでも試算です。実際の免除額は標準報酬月額・加入している健康保険組合によって異なります。
3. 免除の申請手続き:誰がどうやって行うのか
申請するのは「会社(事業主)」
社会保険料免除の申請は、従業員本人ではなく、勤務先の会社が日本年金機構へ届け出を行います。従業員が自分で手続きする必要はありません。
会社側の手続き
- 育児休業開始後、会社が「育児休業等取得者申出書」を日本年金機構(またはハローワーク)に提出
- 届け出が受理されると免除が適用される
- 育休終了時にも「育児休業等取得者終了届」を提出
従業員がすべきこと
- 育休取得前に会社の人事・総務担当者に育休開始日・終了予定日を正確に伝える
- 育休期間が変更になる場合(延長・早期終了)は速やかに会社に連絡する
⚠️ 注意
会社が手続きを怠ると免除が適用されない場合があります。育休開始後しばらく経っても給与明細から社会保険料が引かれている場合(育休中は給与が発生しないため通常は引かれませんが)、念のため会社に確認しましょう。
4. 産後パパ育休(出生時育児休業)でも免除になる
2022年10月から開始された「産後パパ育休(出生時育児休業)」でも、社会保険料の免除が適用されます。
産後パパ育休とは
子の出生後8週間以内に、最大4週間(28日)取得できる男性向けの育児休業制度です。通常の育児休業とは別に取得できます。
免除の特例(2022年10月〜)
2022年10月の制度改正で、月末時点で育休中でなくても、同一月内に14日以上育休を取得した場合は月単位で免除が適用されるようになりました。
改正前:月末に育休中でないと、その月の保険料は免除されない
改正後:同一月内に14日以上育休を取得すれば、その月の保険料が免除される
これにより、短期の育休(産後パパ育休を含む)でも免除が受けやすくなりました。
💡 ポイント
「2週間の育休では免除を受けられない」と思っていた方も、2022年10月以降の制度では月内14日以上の取得で免除対象になります。パパ育休を検討している方はぜひ活用しましょう。
5. 免除期間の年金・将来の受取額への影響
老齢厚生年金への影響はない
社会保険料の免除期間中も、厚生年金は「保険料を納付したもの」として扱われます。将来の老齢厚生年金の受取額の計算に不利な影響はありません。
これは育休制度の大きなメリットの一つです。保険料を払わなくても年金の受取額が減らないということです。
健康保険の給付も継続される
免除期間中も健康保険の被保険者資格は継続するため、病気やケガの際の療養の給付(3割負担)は変わらず受けられます。
6. 復職後の社会保険料変更に注意
育休中は無給(または育児休業給付金のみ)のため、復職後に社会保険料が急に引き落とされることに戸惑う方がいます。事前に把握しておきましょう。
復職直後の社会保険料の金額
復職後の社会保険料は、育休前の標準報酬月額を基準に計算されます。育休中に報酬月額の変更手続きをしていない限り、育休前と同額の保険料が再びかかります。
育休復帰後の標準報酬月額の改定(特例)
育休復帰後、時短勤務などで給与が下がった場合は、「育児休業等を終了した際の改定」の申請ができます。これにより実際の給与に合わせた標準報酬月額に改定され、社会保険料を適正化できます。
手続き:会社(事業主)を通じて年金事務所へ届け出(復職月から翌々月まで)
⚠️ 注意
標準報酬月額が下がると社会保険料は減りますが、将来の老齢厚生年金の受取額にも影響します。標準報酬月額の改定は慎重に判断してください。
時短勤務中の「みなし標準報酬月額」の確認
時短勤務で給与が下がっている場合、将来の年金不利を避けるため「養育特例(子の養育による標準報酬月額の特例)」の申請も検討できます。この特例を利用すると、時短勤務前の標準報酬月額で年金が計算されます。
7. まとめ
- 育休中は健康保険料・厚生年金保険料が全額免除(本人負担分+会社負担分)
- 月収30万円の方が1年育休を取ると、本人負担分だけで年間約50万円の免除に
- 申請手続きは会社(事業主)が行う。従業員が自分で申請する必要はない
- 産後パパ育休も対象。月内14日以上取得で保険料免除(2022年10月以降)
- 免除期間中も厚生年金は「保険料を納付したもの」として扱われ、将来の年金額は減らない
- 復職後は育休前と同額の保険料が再びかかる。時短勤務なら「標準報酬月額の改定申請」も検討
- 時短勤務で給与が下がる場合は「養育特例」で将来の年金額への影響を軽減できる
育休中の社会保険料免除は、育休を取りやすくするための大切な制度です。会社の担当者としっかり連携して、免除のメリットを最大限に活用しましょう。
本記事の情報は執筆時点のものです。制度の詳細は変更になる場合があります。詳細は日本年金機構・健康保険組合、または社会保険労務士にご相談ください。
