給料が思ったほど上がらずに低賃金が続き、貯蓄額を増やすことができない人や、毎月の出費が多くてなかなか貯蓄できないという人は多くいます。雑誌の特集で財テクに興味を持って、財テクを行おうとするも、実際には何から手をつけてよいかわからず、二の足を踏んでしまっている人も多いことでしょう。

お金の増やし方は単純に貯金するだけではありません。「財テク」と呼ばれる資産運用の方法もあります。ここでは、財テクとはどういったものなのかを説明し、財テクでお金を増やす方法を4つご紹介してまいります。

財テクとは

「財務テクノロジー」という言葉をご存知でしょうか。省略して「財テク」と呼ばれているものです。

一般的には、企業が本業としている業種以外に余剰資金などを債権や株、土地といったものに投資をすることで、資金運営を効率化するために行っている方法です。この「財テク」は個人で行った場合でも効率よくお金をためることができるのが特徴です。

個人向けの資産運用商品はさまざまなものが存在していますが、その効果が高ければ高いほどハイリスクであるとされています。資産運用は長期間になることが多いのに対して、財テクはその場で利益を得られるものが多いことが一番の違いとして挙げられます。はじめて、財テクを行う場合には、自分に合った商品を吟味してメリットをしっかりと受け取ることが大切です。

財テクを行っている人の平均貯金額は約400万円

「とらばーゆ」で働く女性322人を対象に行った貯蓄に関するアンケートによると、財テクを行っている人は全体の約4割とのことです。また、1財テクあたりで得ている金額は平均すると168.2万円という結果が出ました。なかには、1,000万円も貯蓄している人もいるようです。今や財テクで貯蓄を増やすのは、一般的なことであるといえます。

目的を持つことが大事

財テクは元手になる資金が必要であり、リスクがあることをしっかりと把握したうえで行わなければなりません。

将来年金を受け取ることのできる年齢は上がっていき、かつ受給できる金額は下がっていくでしょう。そんな将来に不安を感じ、自分のために貯蓄している人が多いのです。このほかにも、マンションやマイホームの購入、子どものためなど目的は人それぞれですが、財テクで増やしたお金を貯蓄することに成功する秘訣は目的をはっきりさせておくことです。

定期預金で確実にお金を増やす

一番簡単に財テクを行う方法としては「定期預金」を使う方法があります。定期預金は、普通預金よりも金利が高く、満期までの預金期間が長くなればなるほど金利が上がるという点が特徴です。上場企業でもお金を定期預金に回して利益を得ているので、財テクとして一般個人から企業まで幅広く利用されている方法です。

定期預金にはペイオフ(預金保護)があり、ひとつの銀預に預けたお金は1,000万円までは元本保証がついています。銀行が破城した場合でも、国が1,000万円までは保証してくれるので、ペイオフ範囲内の貯金なら損をすることはありません。

定期預金・MMF・MRF

定期預金は満期前に中途解約した場合には金利が下がりますが、解約手数料を取られることがないため、お金が減るというリスクがありません。 毎月、一定額を貯金することが可能なら「積立定期預金」を利用すると、自動的に一定額が定期預金に回されます。そのため、確実に貯金を殖やすことができるのです。

MRF(マネーリザーブファンド)、MMF(マネーマネジメントファンド)は証券会社が取り扱っています。どちらも公社債投資信託のひとつで、MRFは超短期間、MMFは長期間の債券で運用されます。元本割れのリスクがありますが、銀行の定期預金よりも利回りが高い場合が多いです。

MMFは購入後30日以内に解約する場合にはペナルティが科され、信託財産保留額を払う必要がありますが、30日以降であれば特に条件なしで引き出すことができます。MRFはMMFよりも元の本割れリスクが低く、証券会社内では銀行などの普通預金とほぼ同じ扱いとされています。

ネット銀行なら特典や金利にも期待できる

ネット銀行の場合、一般の銀行よりも定期預金の金利は高くなりがちです。実店舗がないため、人件費などが店舗を構えているメガバンクよりも安く抑えられるからです。

また、ネットバンクを利用すれば、他行宛ての振込手数料が安くなったり、ATMでの引き出しのときの手数料が無料になったりする特典もあります。じぶん銀行では、「BIG付き定期預金」で満期になるとBIGくじをもらえるサービスがあるように、サービスのうえでもメリットがあります。

クレジットカード・電子マネーを活用する

このほかに、身近な財テク方法として挙げられるのが、クレジットカードや電子マネーを使う方法です。電子マネーはイオンやイトーヨーカドーなど多くの店舗で利用することができ、今では広く普及しています。クレジットカードはローン会社だけでなく、イオンやYahoo!などさまざまな企業が独自のカードを作っており、ネット上、街中問わずショッピングなどで気軽に利用できるのが特徴です。電子マネー、クレジットカードは両者ともに利用した金額に応じてポイントがたまり、たまったポイントは現金や商品と交換できるほか、ショッピングのときに現金と同じように使うこともできます。

家賃や公共料金をクレカ決済に変更

毎月支払う家賃や公共料金を銀行引き落としにしている人や、振り込み用紙を使って振り込んでいる人は多いと思いますが、月々支払うことが決まっている家賃や公共料金の支払いにもクレジットカードが利用できます。すると、クレジットカードを使ってショッピングをしなくても、毎月一定のポイントがたまっていくのです。

クレジットカードで家賃や公共料金を支払うメリットとして、支払日や明細の一元管理ができるという点も挙げられます。ただし、家賃の場合は物件の大家さんが必ずしも対応しているとは限りません。公共料金に関しても会社によってはクレジットカード払いに対応していない場合があるので注意が必要です。

支払うたびにポイントが増える

電子マネーやクレジットカードをショッピングなどで使用すると、使った金額に応じてポイントがたまります。提供する会社によって利用金額に対するポイント還元のパーセンテージは異なりますが、たまったポイントは現金や商品と交換したり、現金と同じようにショッピングで使ったり、いろいろなシーンで活用できるので、少しでもお得に買い物をしたい人や貯金をしたいという人におすすめです。

少額から始める資産運用

資産運用というと、ある程度まとまった大きな金額を用意しないと不可能であると思っている人が多いですが、少額で始めることのできる商品もあります。長期的な運用にはなりますが、積立定期預金のように毎月決まった額を資産運用に回すことで、貯蓄を増やしていく方法を検討してみましょう。

生活費はもちろんのこと、何かあったときのためのお金などを差し引いた「余剰金」を運用資金に回すことが資産運用では重要なポイントです。また長期戦になるため、精神的に余裕のないときには向かないでしょう。証券会社で販売手数料などが必要となるので、できるだけ低コストかつリスクの少ない投資を行うことをおすすめします。

つみたてNISA

少額投資のなかでも投資未経験者が始めやすい「つみたてNISA」というものがあります。つみたてNISAは国が用意した資産運用方法で、リスクの少ない「長期間の分散投資ができる積立投資」です。誰でも長期間資産を運用しやすいように、資産運用で出た値上がり益・分配金が最長で20年間非課税になるという設定になっています。

利用するには証券会社との契約が必要ですが、毎月1万円からでも始めることが可能で、指定口座から自動的に資金が積み立てられていくので手間がかかりません。つみたてNISAは一年で40万円、月額にすると約33,000円までの投資金額なら非課税扱いになるので、積立投資を考えるのなら通常の投資より「つみたてNISA」のほうが税金面で負担を軽減できます。

個人型確定拠出年金(iDeCo)

個人型確定拠出年金のiDeCo(イデコ)は資産を増やすという目的以外にも利点があります。掛金の全額が所得控除対象なのです。そのため、所得税・住民税が軽減され、運用している期間内に得た配当や利息、売却利益などはすべて非課税です。年金として受け取る場合には、公的年金などの控除対象であり。一時金で受け取るときは退職所得控除の対象です。どのタイミングでお金を受け取っても所得税などが軽減されるのが大きなメリットです

扱っている商品も投資信託と比較するとコストが安く、販売手数料がかからない商品が多くみられます。しかし、60歳までしか運用できないという決まりがあるため、始めるなら早いほうがよい財テク方法といえます。ただし、よいことばかりではありません。iDeCoは運用成績によって受け取ることのできる金額が異なり、かつ60歳まで解約することができないというデメリットがあります。

固定費の削減・乗り換え

固定費とはインターネットのプロバイダー料金やスマホ代金など、毎月決まって支払う金額のことです。この固定費について見落としている人も多いかもしれません。貯蓄額を増やしたいという場合には、まず固定費を見直すことをおすすめします。

格安スマホに乗り換え

一人暮らしの方で家に固定電話があり、さらにスマホやタブレットも持ち歩いているという人もいるかと思われます。この場合、固定回線はインターネットのためだけに使っているという人は多いようです。しかし、スマホについている「テザリング」という機能を使うことで、スマホのデータ通信機能を利用してPCをネットにつなげることができます。

オンラインゲームなど通信容量の大きいものなどは避けたほうがよいですが、普段のインターネット利用が動画閲覧やネットサーフィンくらいだという人は、固定回線を解約してスマホのデザリング機能を使うと固定費を減らすことができます。また、携帯電話会社が扱っている固定回線とスマホのセット割りを使えば、固定回線とスマホを別々の会社で持つよりも安く済むことが多いので、回線料金の見直しをしてみましょう。

スマホの月額料金を下げたい場合にはワイモバイルやイオンモバイルといった格安スマホに乗り換える方法もありますが、毎月のデータ使用量に制限が設けられているケースが多く、データ使用量がその制限を超えると、通信速度が下がってしまうというデメリットがあります。乗り換える際には自分の使用状況に合うものかどうか、また、家や外出先できちんと電波が届くかどうかなどを確認しておく必要があります。

保険やローンは定期的に見直し

住宅ローンや生命保険を一度かけたらそのまま放置……という人は多いようです。この背景には、最初に契約したときと現在とでは、出産や子どもの進学、就職といったライフイベントや転職などで、状況が変わってしまった、ということが考えられます。給料が減った、ライフスタイルそのものが変わったというような場合は、その都度見直しすることをおすすめします。

銀行の金利は変動するものなので、ローンは途中から借り換えを行うか、残額によっては一括で支払うほうが利息を減らせる場合があります。生命保険や傷害保険なども、保険会社側で保証内容などを変更している場合があるため、定期的に見直すことで費用を抑えることが可能になることが多いのです。

まとめ

財テクはどういったものなのか、財テクの方法についてお話してきました。財テクは定期預金や、固定費の見直し、電子マネーやクレジットカードの使い方を工夫するといった簡単な方法から、積立投資などの金融商品までさまざまな方法があります。すぐに大金を得られる可能性が高いものほどリスクも高いため、危険を冒したくない、あるいは確実に貯蓄額を増やしたいのであれば、少額でコツコツためていくほうがよいでしょう。財テクに興味があるのなら、資産運用やローンの借り換えについて、ファイナンシャルプランナーや金融機関などに相談してみましょう。