住宅や自動車を購入する時や、それ以外でも急な出費があったりしてお金が足りない状況になってしまうことがあります。お金を作る手段として考えられるのが、借りることです。

手っ取り早い方法として友人や家族などに借りる方法もありますが、後々トラブルになりかねません。そこで検討したいのが、銀行からお金を借りる方法です。知っておきたい銀行の融資の種類や、実際にお金を借りる方法を確認していきましょう。

「銀行でお金を借りる方法は大きく2種類」

お金を借りたいと思ったときには、銀行を頼ることができます。ただ、お金を借りる際に気を付けたいのは、借り方に種類があるということです。

銀行でお金を借りる方法には、大きく分けて2種類あり、多目的ローンと銀行カードローンです。まず、それぞれの特徴やどのような場面で活用できるのか、銀行でお金を借りるために知っておきたい基本を解説します。

■多目的ローン

多目的ローンは、基本的に決まった目的のためだけにお金を借りる方法です。一般的なのは住宅ローンやマイカーローン、教育ローンなどです。銀行によっては独自に多目的ローンを展開している場合もあり、リフォームローンやデンタルローンなどを利用できることもあります。

このような多目的ローンに共通するのが、数十万から数千万単位の多額の融資であること。高額なお金の貸し付けになるため、本当に目的のためにローンが利用されるのか、確認のため必要書類を何枚も提出したり、求められる条件が細かく決まっています。ただし、もし借り入れることができれば、目的なしでお金を借りる銀行カードローンよりも金利がお得であることが魅力です。長期貸し付けに対応していることも多く、計画的にお金を返済することができます。

■銀行カードローン

銀行カードローンは、目的が限られていないため自由度の高い借り入れ方法です。ローンカードを利用して冠婚葬祭や生活費、旅行代などさまざまな目的で借りることができます。基本的に無担保、保証人なしで借りられる点も大きいです。保証人として家族や友人にお願いする必要もありませんし、必要な書類も簡略化されているため、多目的ローンよりもスピーディーに借りることができるのも特徴です。

なお、借入額は銀行によって異なりますが、1~10万円、場合によっては1千円から可能です。多目的ローンとは違って、少額のお金を借りたいときに向いています。また、銀行カードローンは初めての利用時に借り入れできる限度額が決まっていますが、限度額までなら基本的に何度でも借りたり返したりできます。

「多目的ローンの種類と用途」

多目的ローンとひとくくりにご紹介しても、実はローンの内容によって目的も必要書類なども変わってきます。

多目的ローンの中でも一般的な4種類のローンについて、それぞれの内容や特徴を確認していきましょう。

■住宅ローン

住宅ローンは、住宅の購入または増改築を目的としたローンです。銀行によっては、増改築を別にしてリフォームローンとして販売しているところもあります。住宅ローンの特徴は、土地や物件の購入費用だけでなく、不動産取得税や登録免許税、不動産仲介手数料など、購入にかかる諸費用もローンの対象に含まれていること。購入諸費用をまかなえるお金が手元になくても、住宅ローンを利用すれば無理なく支払っていくことができます。

なお契約にあたっては、売買契約書や登記簿謄本など住宅の購入を証明するような書類などが必要です。銀行ごとに必要になる書類は異なり、さらにその数も多いので、事前に確認しておくことをおすすめします。

なお住宅ローンは、目的ローンの中でも長期のローン契約となるので、ずっと金利が固定される固定金利・金利が変動する変動金利から返済スタイルなどに合わせて選択できます。

■教育ローン

教育ローンは、子どもの教育費資金に充てるためのローン商品です。銀行ごとに内容は異なりますが、基本的には中学校や高校、大学などへの入学金や学費を目的としています。中には大学などで一人暮らしをする際の生活費、塾代に充てられるものもあるので、目的に合わせて探してみると良いでしょう。

必要な書類については、学校のパンフレットや納付書などの提出を求められるのが一般的です。これは、ローンの利用目的を明らかにするためです。支払いはローンの利用者に直接支払うのではなく、教育資金として利用されるように金融機関が学校に直接支払うこともあります。

似たような教育資金の借り入れには奨学金がありますが、奨学金は子どもが借りて子どもが返済するのに対し、教育ローンは保護者が借りて保護者が返済するという点が異なります。限度額も、教育ローンの方が上限に余裕があることが多いです。

■マイカーローン

マイカーローンは、車の購入などを目的としたローン商品のことです。新車はもちろん中古車の購入も対象で、購入代金のほか、車検代や自動車税納付のための資金としても利用できます。申し込みの際は、車の購入などを証明できる契約書や見積書などが必要で、借り入れ後は領収書などの提出が求められます。借入額については、300万円や500万円など、数百万円単位を限度額にしている銀行が一般的です。

なお、銀行マイカーローンとよく比較されるのがディーラーのカーローンです。自動車を販売している店舗でもディーラーのカーローンを利用できますが、金利は銀行のマイカーローンの方がお得です。お得に車を購入したい場合は、まずは銀行のマイカーローンを検討してみることをおすすめします。

■フリーローン

多目的ローンの多くは、住宅購入や自動車購入など目的が明確であることが多いです。そのため、必要書類もその目的を明らかにするためのものをそろえなければなりません。しかし、中にはフリーローンといって目的が限定されないものもあります。目的が限定されないため、住宅ローンやマイカーローンのような専用の書類は必要ありませんし、旅行代金や引っ越し費用、家電購入など借りたお金を自由に使うことができます。

目的が限定されないローン商品には、フリーローンのほかに銀行カードローンもあります。フリーローンと銀行カードローンで異なるのは、借り入れの回数です。フリーローンは住宅ローンなど他の多目的ローンと同様に、まとめて借り入れます。一方の銀行カードローンは、何度も借りて返済して……というように、限度額内であれば繰り返し借り入れることができます。フリーローンは何度も借りることはでいないため、新たに借りたくなったら借りていた分を返済して、新たに契約する必要があります。

「銀行カードローンの特徴」

銀行カードローンは借りたお金の使い道が限定されないという点でフリーローンと似ている部分もありますが、多目的ローンに分類されるフリーローンとはまた異なる商品です。

多目的ローンなどと比較した場合、銀行カードローンにはどのような特徴があるのでしょうか。銀行カードローンのメリットと内容が似ている消費者金融との違いも併せて見ていきましょう。

■消費者金融との違いは?

銀行は長期貸し付けの金融商品、たとえば住宅ローンやマイカーローンなども幅広く取り扱っていることもあり、長期のローンに強いです。そのため、銀行カードローンにもそうした銀行の強みが出ています。

消費者金融と比較した際に大きく異なるのが、金利と貸付限度額の違いです。銀行は預金や貸し付け、保険関連の事業も行っていたりするため、金利や限度額には余裕があることが多いのです。消費者金融の多くの金利は法律で定められているマックスの利率に近いのに対して、銀行カードローンの金利は限度よりも余裕があり、お得に借りられます。また、限度額についても500万円、800万円などと余裕のある貸付限度額で設定している銀行が多いです。

一方、消費者金融の強みは、短期貸し付けができることです。たとえば初回に限り無利息・30日間だけ無利息といったサービスを展開して、短期利用者を呼び込んでいるところも見られます。

■銀行カードローンのメリット

多目的ローンと比較した場合の銀行カードローンのメリットは、お金の利用目的が限定されないことと、限度額の範囲であれば何度でも借り入れができることです。さらに、基本的には借り入れの度に審査されるようなこともありません。

一度銀行でカードローンを作ってしまえば、どうしてもお金が必要になったときにすぐにお金が用意できます。

次に、消費者金融と比較した場合の銀行カードのメリットは、金利がお得だということです。多目的ローンほどお得とはいかないものの、同じ額を同じ期間で返済した場合、消費者金融で借りるよりも銀行カードローンの方が総返済額はお得になります。また、消費者金融の場合は借り入れの度に審査されることもありますが、銀行カードローンは基本的に一度借り入れできれば審査はなく、限度額が下がることもありません。

「銀行からお金を借り入れる注意点」

銀行からお金を借りたいと思った場合の方法は多目的ローンと銀行カードローンの2つがあり、それぞれ内容が異なることをご紹介しました。多目的カードローンの場合は使用目的が限定され、用意しなければならない必要書類も多いので、気軽にお金を借りたい場合は銀行カードローンが便利です。

しかし、銀行でお金を借りるときには注意点もあります。特に銀行カードローンを利用する際に気を付けたいポイントをいくつか見ていきましょう。

■借り入れできる条件 無職や学生は借りられる?

銀行でお金を借りる際にクリアしておきたいのが、年齢の条件・収入の条件・他社借り入れです。各銀行、カードローンの審査の基準は公表されていませんが、ほぼ間違いなく審査に落ちてしまう理由となるのが先に紹介した3つの条件です。年収や他社借り入れの額など細かな内容は条件に記載されていませんが、年齢・収入に関しては商品説明で触れられることが多いです。

まず年齢については、20歳を超えていることが条件です。法改正によって18歳からお金が借りられるようになる可能性が出てきていますが、現状では20歳未満の未成年者は銀行でお金を借りられない可能性が高いです。

収入の条件については、安定した収入があることが条件です。これは、フリーターやアルバイトなど働き方を問わずという意味で、毎月ある程度の安定した収入があれば条件を満たす可能性があります。

つまり、安定した収入のない無職は銀行でお金を借りることができないということです。反対に学生であっても、20歳を超えていて、かつアルバイトなどで安定した収入があれば、いくらか借りられる可能性はあるでしょう。

■申し込みに必要な書類は?

多目的ローンを利用する場合は、目的のものを購入したことの証明となる書類や金額確認のための書類など、いくつか用意しなければならないものがあります。確かに多目的ローンは銀行カードローンより金利がお得なケースが多いですが、事前準備や契約締結までに時間がかかるなど、面倒な部分も多いです。

一方、銀行カードローンで必要な書類はかなりシンプル。まず、必ずといっていいほど用意しなければならないのが、身分証明書です。一般的に、運転免許証のほか、健康保険証やパスポート、マイナンバーカードなどが公的な証明書として認められています。書類によっては2種類用意しなければならないケースもあるので、準備の手間を省きたい場合は顔写真付きの証明書を用意するのがベストです。

そしてもうひとつ、申し込みのときに必要になるのが収入を証明する書類です。会社員であれば源泉徴収票、個人事業主であれば確定申告書の控え、所得証明書などが該当します。借りる額によっては不要な場合もありますが、スムーズに契約するためにも事前に準備しておきましょう。

■借り入れした場合の金利は?

金利は銀行ごとに設定できるため、金利だけ切り取ってみても銀行によってかなり幅があることがわかります。銀行カードローンの場合、下限の目安は3~4%、上限の目安は12~15%程度です。10万円以上100万円以下の貸し付けの場合、法律により金利は18%が上限となりますが、基本的には上限よりも低めで金利を設定している銀行が多いです。もちろん、下限や上限の目安とは異なる金利で商品を展開している銀行もあります。

なお、実際にお金を借りる場合、100万円以下であれば上限の金利が適用される可能性が高いことを頭に入れておきましょう。下限の金利はあくまで上限金額まで借りたときを想定したもので、100万円以下の貸し付けで下限金利が適用されることはほぼありません。少額の借り入れなら上限でローンを比較した方が良いでしょう。

■家族や会社にバレずに借りることはできる?

銀行のローンであっても、さまざまな事情で家族や会社の人にわからないように借りたいという人もいることでしょう。結論からお話しすると、周りにバレずにお金を借りることはできます。

まず家族にバレる心配についてですが、本人確認などは基本的に個人の連絡先で行われるものです。窓口であればそのまま確認が終わるので、別途電話で確認することなどは基本的にありません。銀行によって対応は異なりますが、郵送物を自宅に送付しないように設定できる銀行もあります。

会社にバレるかということに関しては、郵送物で発覚する心配はまずしなくて良いでしょう。会社の在籍確認のために電話をすることはありますが、電話口でローンの利用だと個人情報を担当者が話すことはありません。

まとめ

住宅や自動車の購入などで一括支払いの資金を用意できない場合や、急な出費などでお金の工面が難しい場合に、銀行でお金を借り入れることができます。銀行での借り入れは、大きく分けて多目的ローン・銀行カードローンの2種類があるので、目的に合わせて使い分けるようにしましょう。

銀行でお金を借りられるかどうかといった不安や、必要書類などについてわからないことがある場合は、窓口で相談することをおすすめします。