[フラット35]は、金融機関と住宅金融支援機構が提携する住宅ローン商品の1つで、固定金利・保証金不要などが特徴です。
[フラット35]以外にも低金利の[フラット35]Sなど、民間の金融機関の住宅ローンよりもお得に借り入れができますが、金利優遇施策のなかでもは、若い子育て世代の誘致や地域活性化のために地方自治体が金融機関と提携し、金利を一定期間引き下げる[フラット35]子育て支援型と[フラット35]地域活性化型という住宅ローンを販売しています。今回は新たにできた[フラット35]の優遇金利施策について解説していきます。
「フラット35の優遇金利施策とは?」
フラット35とは住宅金融支援機構が販売している住宅ローン商品です。フラット35は一般的な住宅ローンと異なり、固定金利で返済をしていくのが特徴です。変動金利のように経済状況の影響を受けることなく返済計画が立てられる点に魅力を感じ、フラット35を利用する人が増えています。
固定金利で借り入れるときは、少しでも低金利にしたいですよね。そんなときに利用できるのが、フラット35の「優遇金利施策」なのです。
■フラット35の「優遇金利施策」が変更に
従来から[フラット35]の他にも、省エネルギー性や耐震性など質の高い住宅を購入する場合に、金利を一定期間引き下げる[フラット35]S、中古住宅を購入し、質の高い住宅にリフォームする場合に金利が一定期間引き下げられる[フラット35]リノベなどの商品がありました。
そこに2017年から[フラット35]子育て支援型と[フラット35]地域活性化型の2つが新設され、[フラット35]子育て支援型、[フラット35]地域活性化型を利用することで、[フラット35]の金利を借り入れ当初から5年間、0.25%も引き下げられることが可能になりました。
[フラット35]子育て支援型と[フラット35]地域活性化型は、[フラット35]の金利が優遇されるのに加えて、各自治体から別途、補助金が交付されるお得な制度です。
この優遇金利施策は、“子育て支援”と“地域活性”に積極的な各自治体が若い子育て世代に住宅を持ってもらい居住してもらう、UターンやJターンなどで首都圏から戻ってもらうことで地域の活性化につなげたいという思惑があり、住宅金融支援機構と連携して実施しています。
これらの施策の新設と金利変更にともない、[フラット35]Sが2020年3月31までの申し込みまで、[フラット35]リノベが2019年3月31日までの申込み対象分の金利が引き下げられています。
■最大12年間金利「0.6%」引き下げ
[フラット35]子育て支援型と[フラット35]地域活性化型は、[フラット35]S・[フラット35]リノベのいずれかと組み合わせて利用することができます。
[フラット35]リノベと[フラット35]子育て支援型、[フラット35]地域活性化型を組み合わせると、金利を最大で12年間、0.6%も引き下げられます。
金利の引き下げ率と対象年数は組み合わせによって異なります。組み合わせ・引き下げ率は下記のとおりです。いずれも「子育て支援型・地域活性化型」との組み合わせです。
参考までに、フラット35S単体の金利優遇施策は、金利Aプラン(開始10年間)と金利Bプラン(開始5年間)ともに年率0.25%の引き下げとなっています。
「フラット35優遇金利施策がおすすめの人は?」
フラット35Sとフラット35「子育て支援型・地域活性化型」の組み合わせによる優遇金利施策は、子育て中の若い世代、地方に住宅を購入した人におすすめです。
各地方自治体は首都圏からのUターンなどを促して地元の活性化をはかるために積極的に施策を実施しています。特に十分な資金を事前に用意することが難しい若い世代には、低金利で借り入れができるのでおすすめです。
ここからは施策の対象地域や適用条件などについて解説していきます。
■子育て中・地方に住宅購入したい人に嬉しい
フラット35「子育て支援型・地域活性化型」は、子育て中の若い世代の人たちの中で地方に移住したい、少しでも負担を軽くして住宅を購入したい場合に嬉しい制度です。
例えば、通常のフラット35を利用して3,500万の借り入れ、借入期間35年、ボーナス返済なし、借入金年率1.15%の場合、総返済額が37,659,981円となります。
一方で、「フラット35S+子育て支援型(金利プランA)」の組み合わせで借りると37,270,865円となり、返済総額が389,116円も少なくなります。
両親が地方に住んでいて同居を考えている、子育てに良い環境の場所に住みたいと考えている子育て世代の方には、[フラット35]Sと[フラット35]子育て支援型、[フラット35]地域活性化型の組み合わせがお得な制度となっています。
■子育て支援型・地域活性化型対象地域は?
住宅金融支援機構と提携して「子育て支援型・地域活性化型」を実施している地方自治体は、2018年7月9日時点で46都道府県の地域が対象となっています。
東京や神奈川も含まれていますが大都市圏は対象となる地域が少なく、大都市圏を除く地域が積極的に実施をしています。特に北海道・東北地方・中国地方・四国地方の各県が対象地域を広く設定し、積極的に若い子育て世帯の誘致を行っています。
子育て支援型・地域活性化型は各自治体によって事業名が付けられているので、対象地域で探す場合は、子育て支援型なのか地域活性化型なのかよく確認しましょう。例えば北海道室蘭市の子育て支援型の事業名は「室蘭市子育て・若年者世代転入者マイホーム購入助成金」、地域活性化型の事業名は「室蘭市空家活用促進助成金(空家バンク解体助成事業又は空き家リフォーム助成事業)」となっています。
フラット35のホームページには、実施している自治体の一覧が掲載されています。実施地域から詳細を閲覧できるので、対象の優遇金利施策を行っているか確認すると良いでしょう。
フラット35のホームページには、実施している自治体の一覧が掲載されています。実施地域から詳細を閲覧できるので、対象の優遇金利施策を行っているか確認すると良いでしょう。
■お得だが適用条件は厳しい
[フラット35]の各種金利優遇施策は、住宅金融支援機構が単独で行っています。しかし[フラット35]子育て支援型と[フラット35]地域活性化型は、住宅金融支援機構と各地方自治体が連携して金利優遇政策を実施しているため、基本の適用条件に加えて各地方自治体の実情を踏まえ、個別に条件を設定しているケースがあります。そのため、[フラット35]や[フラット35]Sなどと比べると、適用条件が厳しくなっています。
基本の適用条件は下記の3点です。
【1】居住地の地方自治体が住宅金融支援機構と協定を締結していること
【2】審査完了後に速やかに地方自治体が発行する「フラット35子育て支援型・地域活性化型利用対象証明書」を契約の面談までに提出できること
【3】フラット35子育て支援型の受付期間中に借り入れの申し込みをすること
このほかに若い子育て世帯の子供の年齢、子育て家族と親族が同居する場合の住宅の要件などを個別に定めている自治体もあります。[フラット35]子育て支援型と[フラット35]地域活性化型は、[フラット35]よりも金利が低くなっている分、審査基準が厳しくなっていることに注意してください。
まとめ
[フラット35]子育て支援型と[フラット35]地域活性化のお得な住宅ローンの優遇金利施策について解説してきました。適用条件が厳しく誰でも借り入れができる訳ではありませんが、条件に合致するのであればとてもお得な住宅ローン商品です。
多くの地方自治体がこの施策を実施しています。住宅購入を考えている方は一度、実施している地方自治体を確認することをおすすめします。利息の支払いを少しでも減らして、子育てや家族の生活にお金を回しましょう。