人生で最も高い買い物といわれる住宅購入。できれば、自分の思い描いた住宅を購入したいものです。しかし、住宅の購入には数千万の費用がかかるのが一般的です。金額的にもキャッシュ(一括払い)で支払うことのできる人はごくわずかでしょう。

住宅を購入する際には多くの方が住宅ローンを組みます。ローンを組むことにより、その返済は20~30年に及びますが、住宅ローンの返済をしていく際には、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。かしこい返済方法を考えていく必要があります。

1. 借りるときには返済のことも考えよう

住宅ローンを借りる際に返済に関してしっかりと考えているでしょうか。住宅は生涯で一番大きい買い物といわれ、その返済額もまた非常に大きいものです。ローンを組んで借入をしたものの返済できずに困っている人も多くいます。借入を考えたなら、住宅ローンについてしっかりと考える必要があるでしょう。

たとえば、住宅ローンを返済していくなかで、活用したいのが「繰上返済」です。住宅購入時の金利と繰上げ返済検討時の金利を比較し、返済期間を短縮する「期間短縮型」と、期間を変えずに月額の返済金額を軽減する「返済額軽減型」に分かれます。

繰上げ返済は「金利変動」が前提となるため、決して「お金が貯まったらその都度行う」というものではありません。ファイナンシャルプランナー(FP)など金利市場の変動に精通している専門家に相談をしたうえで、繰上げのタイミングを見定めなければ、繰上げ返済を行ったあとでさらに金利が下がり、損失を発生させてしまったということにもなりかねません。

2. 返済で知っておきたい3つのこと

適用金利によっては、期間を短縮しても月額の負担が増えてしまったり、返済期間が伸びてライフプランに狂いが生じてしまったりすることもあります。また、金融機関によって繰上げ返済の手数料が必要となるため、その金額も含めて繰上げ返済がお得になるのか、判断するようにしましょう。金融機関によっては、手数料がゼロになるところもあります。

金利には固定金利と変動金利がある

住宅ローンの金利には固定金利と変動金利があります。固定金利とはローンの支払いをしているなかで借入時の金利が固定されている金利タイプです。また、変動金利とは返済期間中定期的に金利が見直される金利タイプです。一定期間金利が固定される固定金利期間選択型というタイプもあります。

借入後の金利の上昇や低下により、それぞれにメリット・デメリットがあるため注意が必要です。たとえば、固定金利の場合は、借入後、金利が上昇したとしても借入時の金利のままとなり、お得な状態となります。しかし、逆に借入後、金利が低下したとしてもやはりそのままの金利となってしまいます。

住宅ローンの返済には返済比率が重要

年収に占める住宅ローンの年間返済額が占める割合のことを返済比率といいます。ローンを借りる際の目安として用いられます。金融機関により異なりますが、30~35パーセント程度となっているところが多いようです。

年収に占めるローンの割合が増えれば増えるほど、家計が圧迫されます。結果としてローンの返済が滞るという事態にもなりかねません。例として、フラット35の場合は、300万円未満は25%、300万円以上400万未満では30%以下、400万円以上750万円未満の場合では35%が基準となっています。

(参照:住宅金融支援機構(フラット35)「10月よりフラット35のご利用条件を簡素化します(【フラット35】(保証型)も同様に簡素化します)」

繰り上げ返済のメリットとデメリット

繰上げ返済は住宅ローンにおける家計の負担を軽減しますが、その一方で現時点での手持ちの現預金を減らすことになります。住宅ローン返済の期間はさまざまな支出が必要な期間です。子育ての費用、老後資金のほか、近年は介護費用としても著しいお金がかかります。将来的な返済期間を短縮化したとしても、現在の生活環境が悪化してしまっては元も子もありません。全体像を見て判断するようにしましょう。

最近はインターネットサービスや金融機関のウェブサイトなどで、繰上げ返済をした場合の金利負担が短時間で算出されるシミュレーションが人気を集めています。自身の貯金が貯まったらではなく、金利変動も見ながら、自分自身は繰り上げ返済をするのが良いのか、するとしてもどのタイミングで何回するのがベターなのかを考えましょう。繰上げ返済を行うごとに手数料がかかるため、その費用計上も忘れずに行う必要があります。