住宅ローンの期間を短縮する方法として有効な「繰り上げ返済」ですが、いつでも自由にできるわけではありません。手数料がかかったり、銀行によって回数に制限があったりします。また、繰り上げ返済できる金額にも決まりがあります。繰り上げ返済の仕組みやメリット・デメリットを知っておき、上手に活用してローンの早期返済に役立てましょう。

1.ベストなタイミングとは?

もし、あなたが住宅ローンを返済中ならば、ローンの残債を早く減らしたいと考えることもあるでしょう。そうした際に有効なのが、「繰り上げ返済」です。お金に余裕があると、残債を減らすために、頻繁に返済をしたいと考える人もいるかもしれません。しかし、手続きはいつでも行えるのでしょうか。また、行えるとしたらベストなタイミングはあるのでしょうか。

「お金が貯まったらその都度繰り上げ返済する」という手段もありますが、これには、デメリットもあります。住宅ローンの繰り上げ返済の制限は、ある銀行では最高で「月4回まで」と決められています。しかも、先述した通り、手続き方法によってはその都度手数料がかかることも忘れてはいけません。

また、返済金額に最低額があるのかも気になるところです。こちらもひとつの例ですが「6回分の毎月返済元金の金額」プラス「一回分ボーナス返済元金の金額の合計額」が最低金額です。もし、それ以上返済したい場合は最低金額の倍数金額のみ受付可能です。

2.繰り上げ返済では、この点を要チェック!

繰り上げ返済時には手数料がかかります。ただし、繰り上げ返済の方法によって手数料を下げる、もしくは無料にすることも可能です。

たとえば、店頭窓口で手続きをすると1万6,200円、電話手続きでは5,400円かかるのに対し、インターネット手続きでは無料になっています。そのほかにも保障会社事務手数料がかかりますが、インターネット手続きならばこの手数料も不要です。

以下にもチェックポイントを記載しました。それぞれ解説していきます。

繰り上げ返済した時のメリット

住宅ローンの繰り上げ返済をするメリットは「残債が減る」ということですが、残債を減らした後の支払いがどうなるのかも確認する必要があります。繰り上げ返済には、毎月の返済金額はそのままで返済期間を短縮させる「返済期間短縮型」と、返済期間はそのままで毎月の返済額を少なくする「返済額軽減型」があります。どちらを選ぶかはもちろん契約者次第ですが、「返済期間短縮型」の方が総支払額を減らせるというメリットがあります。

繰り上げ返済をする時の注意点とは?

まずは「住宅ローン減税」の注意点からです。住宅ローン減税とは住宅ローン利用開始から10年間、年末のローン残高から1%の金額が控除され、確定申告によって返金されるという制度です。繰り上げ返済で返済期間を短縮し、残り期間10年未満にしてしまった場合はこの減税の対象外になります。10数年程度の短い期間のローンを契約した人は、期間短縮型の繰り上げ返済に気を付けてください。

また、こまめに繰り上げ返済をしたいという人も注意が必要です。返済で住宅ローン残債を減らすことはできますが、手元の預貯金も減りますし、不測の事態でお金が必要になった際などに対応できない恐れがあります。残債を減らすことは大事ですが、その後の生活のことも考える必要があります。

住宅ローンの繰り上げ返済によって受けるメリットは大きいものですが、注意しておかなければいけない点も多くあります。迷うことがあれば、繰り上げ返済の手続き前に銀行で一度確認しておくことをおすすめします。